BIOMOD(Biomolecular Design Competition)とは、生体分子をデザインする国際大会です。8人以内の学部生でチームを構成し、秋に開催されるジャンボリーでその成果を競います。これまでに世界各地の学生達がDNA、RNA、タンパク質などを用いて、自律型ロボット、分子コンピューター、およびナノスケール治療のプロトタイプなどをデザインし、「分子ロボティクス」の発展に貢献してきました。
DNAは、“生命の設計図”とも呼ばれるように遺伝情報を保持し伝達する役割を担っています。一方でDNA origamiにおいては、DNAを“マテリアル”としてナノ構造物に利用します。DNAの塩基同士は、アデニンとチミン、グアニンとシトシンの間でそれぞれ高い相補性を有しています。そのため、容易な構造設計と自己組織化が可能になります。また、DNAは様々な物質を修飾、つまり特定の分子やナノ構造を組み込むことが可能です。これにより、機能性を付加したり他の分子との相互作用を制御することができます。私たちは、DNA origamiのこのような特性を応用することで、新たな機能を持たせた生体分子を考案することを目指しています。
リポソーム(liposome)はリン脂質の二重膜によって形成されている小胞です。リン脂質分子は親水性部分と疎水性部分を持つ両親媒性構造であり、自己組織化して膜構造を形成することができます。リポソームの膜表面には、様々な分子を導入することで機能を持たせられます。また、リポソームの内部に物質を封入することで、リポソームを“入れ物”として利用できます。これらの手法により、分子ロボットやドラックデリバリーシステム(DDS)として、リポソームを活用することができます。