講義概要

• • この講義は3年次生の専門選択科目です。

  • 日本の医薬品や医療機器の業界は，多様な規制や制度が存在し，他の産業にはない独特な取引慣行が数多く存在するなどの特殊性を有しています。この講義では，医薬品や医療機器といった医療関連産業について，産業を取り巻く制度やその流通構造に焦点を当て，日本の医療関連産業における課題を明らかにするとともに，今後の展望を検討していきます。

講義の目的

• • 医薬品，医療機器に関連する規制や制度の概要，特に薬価基準制度の仕組みを理解すること

  • 規制や制度によって生じるインセンティブについて理解すること

  • 日本の医療関連産業の現状や産業構造について理解すること

  • 今後の医療関連産業のあり方や方向性について検討できるようになること

  • シラバスはこちら

使用テキスト

• • 特に定まったテキストは用いませんが、以下のテキスト（特に第9講）を読んでおくと講義の理解が深まります。

    • 細谷圭・増原宏明・林行成（2018年）「医療経済学15講」新世社

  • 講義の理解をより深める上では，以下の研究論文が参考になります。興味に応じて読むとよいでしょう。

    • 櫻井秀彦，丹野忠晋，増原宏明，林行成，恩田光子，山田玲良（2016年）「医療用医薬品の流通分析：卸の機能と情報提供サービスに関する実証研究」、『日本商業学会 流通研究』第19巻第1号、pp. 15-24.

    • 丹野忠晋，林行成（2015年）「医療用医薬品流通における交渉力と薬価基準制度」、『Studies in Applied Economics 応用経済学研究』、第8巻、pp.115-127．

    • 丹野忠晋，林行成（2013年）「日本の医療用医薬品の卸売企業の現状とその経済学的分析」、『跡見学園女子大学マネジメント学部紀要』、第15号、pp.151-175．

    • 林行成，丹野忠晋（2012年）「医療用医薬品の流通に対する経済学的視点」、『広島国際大学 医療経営学論叢』、第5号、pp.17-30．

• 講義資料は，講義日前までにアップしますので，予習をしておくと，講義での理解が深まります．

• 医療制度の理解については厚生労働省の資料が参考になります．講義で解説した制度を学んだら、厚生労働省のホームページを確認し復習するようにして下さい．

• 講義で使用するデータは、厚生労働省関係で公開されているものを使用します。こうした統計データも必ずWeb上で確認してください。

• わからないことがあればメールでもよいので早めに質問するようにして下さい。

関連資料

• 医療制度、薬価基準制度について

  • 高額療養費制度について：厚生労働省へのリンク

  • 薬価基準制度について：厚生労働省へのリンク

  • 国民医療費、薬剤費、推定乖離率（薬価差益の推定）について：厚生労働省へのリンク

  • 薬剤費の推定の問題について：日本総研西沢和彦氏「「国民医療費」における薬剤費統計の不備を改めよ」

  • 医薬分業率について：日本薬剤師会へのリンク

  • 平成30年度診療報酬改定について：厚生労働省へのリンク

• 製薬産業について

  • 日本製薬工業協会「日本の製薬産業：その規模と研究開発」

  • 日本製薬工業協会「DATA BOOK 2017」

  • 厚生労働省「医薬品産業強化総合戦略：グルーバル展開を見据えた創薬」

  • 厚生労働省「医薬品産業ビジョン2013（本文）」「医薬品産業ビジョン2013（資料）」

• 医薬品卸売産業について

  • 医薬品卸売業連合会へのリンク

• 医療機器産業について

  • 経済産業省「我が国 医療機器産業の現状」

  • 厚生労働省「医療機器産業ビジョン2013（本文）」「医療機器産業ビジョン2013（資料）」

  • 医療機器産業連合会へのリンク

• 医薬品流通について

  • 公正取引委員会「医療用医薬品の流通実態に関する調査報告書」（概要）（本文）

  • 厚生労働省「医療医薬品の流通の改善に関する懇談会」

  • 厚生労働省「医療用医薬品の流通改善に向けて流通関係者が遵守すべき ガイドライン」

  • 厚生労働省「医療用医薬品の流通改善への対応」

• ジェネリック医薬品について

  • 厚生労働省「後発医薬品の使用促進について」

  • 厚生労働省「後発医薬品の使用割合の推移と目標」

  • 厚生労働省「後発医薬品の使用促進等について」

  • 日本ジェネリック製薬協会へのリンク

• ドラッグ・ラグについて

  • 独立行政法人医薬品医療機器総合機構「ドラッグラグの試算について」

  • 独立行政法人医薬品医療機器総合機構 資料

  • 辻香織「日本におけるドラッグ・ラグの現状と要因」『薬理と治療』第37巻第6号

• 混合診療の禁止について

  • 厚生労働省「いわゆる混合診療について」

  • 日本医師会「混合診療ってなに？～混合診療の意味するものと危険性」

  • 林行成・山田玲良（2003）「混合診療禁止制度に関する経済理論的考察」『医療と社会』第13巻第3号

• 新薬創出等加算について

  • 厚生労働省 中医協資料

  • 厚生労働省「薬価制度の抜本改革：新薬創出等加算の在り方について」

  • 内閣府 経済財政諮問会議 社会保障ワーキンググループ 第22回（平成29年10月18日開催）資料1-3

  • ※ 経済財政諮問会議で示された，新薬創出等加算の要件が戦略的に仕切価格をさらに引き上げるインセンティブを与えるという問題については，制度試行の早い段階で以下の論文p22-23において指摘している。

    • 林行成，丹野忠晋（2012年）「医療用医薬品の流通に対する経済学的視点」、『広島国際大学 医療経営学論叢』、第5号、pp.17-30．

• DPC/PDPSについて

  • 厚生労働省「平成30年度 診療報酬改定の概要DPC/PDPS」

  • 厚生労働省「基礎係数（医療機関群）について」

• 参照価格制度について

  • 厚生労働省「先発医薬品価格のうち後発医薬品に係る保険給付額を超える部分の負担の在り方について」

• 未妥結減算について

  • 厚生労働省「妥結率の低い保険薬局等の適正化について：いわゆる未妥結減算について」

  • 厚生労働省「未妥結減算の見直しについて」

• 調剤報酬について

  • 厚生労働省「平成30年度診療報酬改定の概要：調剤」