研究内容
・たった一つの細胞である卵から”三次元”の体が作り出される仕組みの解明〜体軸形成の分子メカニズム
・外界の環境情報をセンスして幼生の体を動かす神経細胞分化の分子メカニズム
・環境情報にどのように神経細胞が応答するのか?特に我々地球上の生物にとって最も大切な”光”に対して体の内部の消化管が応答するメカニズム
1)体軸形成を担う分子メカニズムの解析
体軸形成は生物の発生過程において最も早くおこるイベントの1つです。多細胞生物が三次元の体を構築するためには一次軸(前ー後)、二次軸(背ー腹)に沿った細胞・組織・器官の正確な分化と配置が必要です。「体軸情報の分子実体は何か?」「細胞が体軸情報を認識する方法とタイミングは?」等の疑問に答えるため、様々な遺伝子機能を抑制して体軸形成を担う分子メカニズムを明らかにしています。
2)神経形成を担う分子メカニズムの解析
ウニやほ乳類の細胞運命は、もともと神経細胞になる傾向にあります。「何が神経の運命を決定づけるのか?」「神経の運命を抑制する分子メカニズムは?」等の解明を試みています。
1)2)に関して2023年に「比較生理生化学」にて日本語のreviewを書かせていただきました。https://doi.org/10.3330/hikakuseiriseika.40.137 pdfの別刷をお送りしますので興味があるかたは yag@@@shimoda.tsukuba.ac.jp まで(@@@を@に変えてください)。
3)光への応答
ウニ幼生ではこれまで光に応答するという科学的な報告はありませんでした。しかし、光を当てると「ウンチ」をするという偶然の発見をして、そこから光→肛門が開くという経路を明確にすることに成功しました。ウニ幼生は透明で外から消化管を丸ごと観察することができるだけでなく、移動に筋肉を利用しない唯一の左右相称動物であるため、消化管の実験観察に非常に適しています。その利点を活かして、光と消化管応答の関係を今後も調べていきます。大学のプレスリリースはこちらから https://www.tsukuba.ac.jp/journal/biology-environment/20241018180000.html