第2講
対症療法から原因療法へ
何事も不具合は対処の在り方に問題が潜んでいます。例えば水虫の治療に皮膚科の先生方は薬を処方されています。これでは完治せず、着装要領を変えない限り再発は免れません。皮膚医学界では、どのような討議がなされているのか、11,000名を超える学会ですから、かなりの知識が集約されていると思うのですが、先生方の著書に目を通すと関係の深い靴下や靴に対する認識不足が伺えます。寧ろ、私がご指導いただいてきた若杉医博のような専門外の方に正解者がおられるという不思議な世の中です。
E‐WOOL談義①
こんなことがありました。水虫予防を謳って然る会社にウール靴下を売り込んだとき、窓口の女性が、「私はアレルギー疾患(アトピー性皮膚炎)で、かかりつけの医師からシルクか、コットン以外のモノは身に着けてはいけません。抗菌加工などの加工品も、と云われています。このウール靴下は大丈夫か?」 と。
これに対し、「私が責任を持ちますから履いてみてください。」 と応え、十数日後に再訪問すると、「不思議ですね。温かくて気持ちが良く、冷え性の私には二重の喜びです。私共でも扱ってもらえれば有難いのですが・・・。」 この交渉、価額面で破談となりました。
E‐WOOL談義②
下段の書籍は、1995年に福村出版から発行された学術誌です。人類の健康と環境とをどう調和させるかということは、今や地球レベルでその解決が迫られている。まえがきのスタートで、編者鈴木路子女史がこのように述べておられます。そして、同女史が担当された11章では、環境にやさしい技術開発の試み「羊と人との共存」 と題して、E‐WOOL誕生の意義について所見を披露しておられます。
かなりの実験項目について解説されている中に、既に大阪大学農学部獣医学科の野村紘一博士がラットの創傷を被覆する治療用被覆材として、E‐WOOLを用いた実験を行っており、従来の被覆材である豚皮と比較して、勝るとも劣らない良好さを有するものと結論づけた経緯がある。と、紹介しておられ、水虫の治癒に関する実態報告も映像を介して記述されています。画期的な防縮技術により改質されたウールが、今後どのような場面で活用されるか注目したいところです。
一皮剥いたのがE‐WOOL
初講 「E‐WOOLの採用」 の項で解説しておりますが、何事も問題の箇所は覆い隠すのではなく、取り除くことが良識派の採るべき方策です。E‐WOOLの開発者、北条博史氏との出会いが転機を生み、私の視点を180度転換させたのです。従来の防縮加工法は、合成樹脂加工を施すことでフエルト化を防止するのが主流でした。下段の画像(断面図)をご覧下さい。そこから脱却して最も外側にある堅いケラチン層を一皮剥いたものです。進展の途は欠陥の削除がスタート。結果は左右に分かれ、時を経るに随い格段の差が生じます。再び不都合が浮上したとすれば、それらの特徴を調べ上げ対策を練る。これが昨今の私流です。
室内履きの輸入元 ㈱アキツ トレーディングに感謝
これも初講 「ウール靴下の課題点は擦り切れやすいこと」 の項で触れていますが、靴と共に密接に関わりのある室内履きの企画変更により大きく改善しました。外観を同項に紹介していますので今一度お目通し下さい。従前のそれと比較して、材質の改良にはじまり、爪先部を広げてゆとりを持たせ、足裏に添った中敷(下段の映像)の新規採用等が功を奏し、母趾爪先と踵下中央部の擦り切れが解消するという幸運を招来したのです。
我が家は一間の和室以外はフローリング仕様、室内履きで過ごします。これまでは、表面にナイロン補強を施した 「すこやか靴下・活き活きスタイル」(下段の映像) を着用していました。
それが、この度のニュータイプの採用で、ウール100%製 「すこやか靴下・おだやかスタイル」 での行動が可能になり、年間、同カラー・14足(週間7足を交互に着用)もあれば事が足ります。 “待てば海路に日和あり” アキツ トレーディングさん有難う。
ここで、改めて 「すこやか靴下」 のコンビを紹介しておきます。下段の、サッと履けてスッと脱げる 「おだやかスタイル」 、“しびれ” や “むくみ” の解消に著効があります。そして上段の 「活き活きスタイル」 。表面にのみ細番手のナイロン補強を施した活動派向きです。
※ ブランドの 「すこやか」 表示は、大阪市の、萬星衛生材料㈱の登録商標ですが、萬谷社長のご好意により使用許可を得ています。
意外に低い足の体表温度
足の体表温度を紹介します。室温が20℃で計測された各部位の温度です。山水社発行「シューフィッターが書いた靴の本」 から引用しました。これ以下にならなければ敢えて温める必要がないというのが私の見解なのです。元来、冷たい部位なのですから・・・。
世間では、足湯などと称して温めることの効用を報道していますが、病弱の方は論外として、動けるうちはウォーキングなどで健康増進を図るべきであり、私に云わせれば愚かな行為です。
“ふくらはぎ” の神秘
冷え性の方にお薦めしたいのが、下着の上からレッグウォーマーなどで “ふくらはぎ” を覆うことです。手っ取り早い対策要領を下段に紹介します。前々項で紹介しております 「すこやか靴下・おだやかスタイル」 の再生品の活用ですが、擦り切れた爪先部をカットし、そのままでは解けてきますので伸縮を持たせたミシン掛けを施して使います。ゆったりした編地ですので締め付けず、心地良い温もりをもたらします。後部のたくれは踵部分、ミシン掛けラインとともにスラックスを穿いておれば外から見えません。肌着類の重ね着は2枚がベスト、過度の厚着は動きを緩慢にし、表面積の拡大が逆に放熱を促します。
再生マスクの効用!
寒気の訪れとともにインフルエンザ情報が気になる昨今です。予防接種が有効とされ、私も受け続けておりましが今は止めています。オールシーズン、外出には必ず再生マスクを着けているからです。
このマスク、前項に引き続き「すこやか靴下・おだやかスタイル」 の再生品で、自然に備わった空気の浄化機能が働き、副作用の心配がありません。履き口から適当な長さに切断して創るのですが、汚れに応じて2枚を交互に使えばかなりの期間、用が足ります。お陰で風邪とも縁が切れました。
課題は花粉症でした。私のそれは、クラス2後半のすぎ。それに慢性の「眼瞼縁炎」 が絡んでおり、飛散期の2ヶ月程度は目薬が欠かせません。「眼瞼縁炎」 に対しては、独自の手当てを年中行い、難を逃れるという状況が続いていました。ところが、漸くにして飛散期の対策を見出したのです。就寝中にもこのマスクを着けてみたところ、痒みは激減、十数年続けてきた点眼薬が不要となりました。これにて一件落着。
次に手首を覆っているのは同じく再生品で、「若杉ウール靴下」の履き口です。寒冷季に入ると、今や私の必需品となっています。昔は袖口を折り返して着けていた肌着ですが、何時の頃からか袖丈が短くなり、冷え性の私には不向きなために考えたグッズです。パソコンに向かうときなど重宝しています。
シルクとの比較
皮膚科医の先生方に多いのがシルク信奉派。日本人に馴染みが深く、衣類に多用されてきたシルクだけに、生活者もまたその良さを信じてやまない繊維です。
一例を挙げますと、皮膚病に効くとか、蚤(のみ)や虱(しらみ)がつきにくいといわれます。更に、紫外線を吸収して肌を守ってくれます。これらは、ウールと比較しても劣りませんが、肌に触れたときの感覚や、保温、保湿、フィット感、等々に至ってはウールには叶いません。画像は、これも繊維学会編「おもしろい繊維のはなし【第2版】」 からの引用ですが、ウールと比較すると単調な構造をしています。
コットンの構造
最も馴染みの深い衣料繊維、コットンについても少し触れておきたいと思います。主成分は筍(たけのこ)と同じ繊維素で、セルロースと呼ばれる高分子です、各種麻繊維、レーヨンやテンセルなどもその仲間。衣料用繊維として広く定着しており、生産高は化合成繊維の発達した今日にあっても繊維生産量の約50%を占めると聞いています。下段がその模式図です。初講で紹介のウール、当項のシルク同様の書籍から引用しました。比較的単調ですが、神秘に富んだ造りに自然派の世界が伺えます。ウールの心地良さに気づくまでは、私も肌着として愛用してきたわけですが・・・。
家庭で洗える簡便さ
我が家では、ベスト、セーター、カーディガン、敷き毛布や掛け毛布に至るまで自宅で洗っています。洗濯機の性能が良くなったこと。洗剤の品質向上がこのような利便性をもたらしました。加えて屋内でも乾きが早いというのがウール製品の特徴でもあります。平素は家内と私の肌着、靴下ともに一週間分のまとめ洗いですが、肌着はネットに、靴下はそのまま、右に私共が採用している洗剤を紹介しています。
化合繊維との共存を!
知識は広く求めねば時代遅れとなります。レーヨン、キュプラ等、再生繊維に始まり、ナイロン、ポリエステル、アクリル、ポリウレタン等々、科学の発達は様々な繊維を生み活用されています。しかし人体に優しい天然繊維との差異を埋めることは不可能です。とは申せ、化合繊維を肌に直接触れる部分には配置しない「複合糸」 の出現や、同様の効果が得られる編み組織の採用等、長所同士の結合でアピールするなど、納得のいくケースも散見されます。生活者もまた、これらの事情に通じてほしいもの。当講、4項目で紹介の「すこやか靴下・活き活きスタイル」 は、後者です。詰まるところ、肌に直接触れる面には天然繊維がベスト、そして私のお薦めはE‐WOOLです。
ご協力いただいた先生方
ここで折に振れご指導いただいてきた生理衛生学がご専門の、川村一男先生(和洋女子大学名誉教授・医学博士)のご見解を披露して、E‐WOOLの真骨頂に触れておきたいと思います。お会いするまでの先生はシルク派でしたが、画期的な防縮加工法の解説に加え、「すこやか靴下・おだやかスタイル」 のテストをお願いしたところ、理にかなった新企画だと、お褒めの言葉を賜り、早速然る月刊誌に 「足の裏が驚くほど心地よく体の毒素まで排出させる新機能のウール靴下を発見」 のタイトルで紹介してくださいました。文中、科学者としての私の観点から、健康的に非常に理にかなっており、また環境問題にも対応した製品として、ぜひお勧めしたい靴下です。特に 「保養靴下」 に最適です。と、述べておられます。
なお、繊維工学に造詣の深い、元京都女子大教授・工学博士古賀城一先生には、“ウールの秘密” と題した推薦文をいただき、E‐WOOLの物性面での優れた機能を裏付けてくださいました。初講2項の、図 ウールの形態組織図は、同先生が第一話(C)羊毛の項で解説に使われていたもののコピーです。
推薦文の冒頭には、私達人々は、石器時代からウールの良さに気づいていて、アパレルやインテリア素材として使い続けて来ました。しかし、ウールの素晴らしさの秘密が科学的に解き明かされ始めたのは最近のことです。研究が進むにつれて、今まで気づかなかった機能が次々と明らかにされ、今ウールの素晴らしさが見直されております。と。
お二方から頂いた、当時の写真、前者が川村先生、そして、古賀先生です。
メインの存在 若杉文吉医学博士
ご あ い さ つ
私が靴下の研究をはじめてから半世紀が過ぎました。1985年には「水虫は全羊毛靴下で無症状」を日本医事新報(№3185)に発表しています。この間、1970年にはT紡をはじめとして、K紡、N社、O社と、理想の靴下を求めて試作研究を進めてきましたが、何れも実を結びませんでした。
1995年の年明け、ハリソン社から熱心な共同研究の申し入れがあり、漸くほぼ理想とする100%ウール靴下が完成しました。勿論、これを履き続ければ 「水虫」 に悩まされないというのがこの靴下の特徴でありますが、「水虫に・・・」 は薬事法に抵触するとのこと。商品には一言も載せてありません。履き心地の良さを最優先して創り上げた靴下です。もっとはっきり言えば、これを履けば、ナイロンや綿のような無駄な汗をかかず、一日履いてもサラッとしていて大変爽やかに過ごせるということです。これが「水虫」にならない、むれない、臭わない、清潔を保てる大きな原因です。ひいてはストレスの解消にもつながります。
ところで、この商品を世に出して普及させるのは並大抵ではないと思います。第一に、“ウールは、夏は暑いのではないか” という誤解です。次に、“チクチクしないか” “洗うと縮んでしまうのでは” 等々、ウールに対する疑念が根強くあります。これらをすべて解決したのが改質ウール(E-WOOL)です。特に私がおすすめできるのは、薬品加工とは無縁で、どなたでも安心してご利用していただける優れモノだからです。発汗を促す素材に抗菌防臭加工を行うなどは、全く理に合わない対策であり、対症療法的な手段からは良い結果は得られません。
そこで 「Dr.若杉」 のブランドにしたいというのが窪田氏の強い要望で、私はあまり気がすすみませんでしたが、この靴下のメリットは大きいことから、それが普及の引き金になればと同意しました。ひとの健康は足元からで、靴下と靴にこだわることが重要と考えております。課題点をあげるとすれば、擦り切れやすいことです。でもそれは靴選びと履き方次第で大きく変わります。少々お値段は張りますが、ドイツ製の健康靴をご利用ください。私も愛用しています。
なお、逐次開発が進み、OEM生産の 「ゆったりくつ下」、自社販路の 「すこやか靴下」 等々、療養分野にも同社独自の優れた靴下が登場しています。併せておすすめします。
皆様の履き心地、ご意見、ご感想をお待ちしております。
【著者の紹介】
若杉文吉(わかすぎぶんきち) 医学博士
武蔵野病院名誉院長
わが国ペインクリニック医療の草分け的存在。診療はもとより、学会活動等を通じ、広く社会に貢献されています。
「星状神経節ブロック療法」(マキノ出版)等著書多数
※ 諸般の事情から、本講はじめに掲載しておりますように現行 「若杉ウール靴下」 にブランドを変更しています。
なお、ご協力くださいました先生方は、既に現役を引退され悠々自適の生活に入っておられます。
私の既往症、持病の数々
後期高齢者ともなれば、誰もがかなりの不具合とお付き合いされていると思います。私のそれらを列挙します。
体躯・・・1929年生まれ。男性。血液型A。現在の身長164cm,体重47kg。
やせすぎ・・・標準体重表(松木式)では59.8kg、±10%以内が正常とのこと。年齢を一本化した指標ですから検討の余地は残されていると思いますが、それにしてもやせすぎです。親兄弟の身体状況から推して遺伝性と考えられます。共通している点は歯の噛合わせ不良です。自分では噛み砕いていたつもりが不十分なまま呑み込んでいたようで、このことが消化器系統に負担をかけ、栄養の吸収力を弱めたのではないかと思います。胃潰瘍の手術を受け、胃を3分の1にした親父、弟達も胃がん、胃潰瘍の手術を経験するといった過去を持ち、私も30才を過ぎた頃、胃潰瘍の疑いで3ヶ月ばかり養生したことを記憶しています。
冷え性・・・幼い頃、手足が凍傷に罹り難儀していました。当時の傷跡が左手甲の小指の付け根、右足小趾に残っています。一昨年まで、デスクワーク時には膝掛けと電気ミニマットを使用していましたが、再生ふくらはぎ覆い(「すこやか靴下・おだやかスタイル」の破損品)を着けることでそれらから開放されました。また、重ね履きをしていた靴下も、新規購入した、ニューデザインの室内履きが効いているようで、着用靴下は「すこやか靴下・おだやかスタイル」 の一枚のみ。但し、室温は20℃をキープしています。
扁桃腺炎・・・旧制中学に入学してすぐの冬休みを利用し、通院で摘出手術を受けました。勉強が苦になっていたのでしょう、よく風邪をひき、熱を出して父母をはじめ周りに心配をかけたものです。
盲腸炎・・・当時は長男が生まれ、仕事にも熱が入っていました。時折痛むので診てもらったところ、成人すれば無用の臓器とのこと。切除しましょうということになったのです。前項の扁桃腺炎もそうですが、これら摘出手術がその後の体調にどのような影響を与えたのか、ひとまずそれで事なきを得たのですが不自然な体になっています。
低血圧・・・検査時によって数値に若干の変動がありますが、私の判断では 98/64 です。以前お世話になっていた診療所で星状神経節ブロック注射を受け、約45分安静に過ごした後の計測では、90を切ることがあって、看護士さんから「窪田さん、大丈夫?」 などと声がかかったりしていました。常識的には異常なのでしょう。
肩こり・・・40才過ぎからです。特に左肩のこりがきつく、当時、指圧、鍼灸と通いつづけましたが3日もすれば元の木阿弥、いっこうによくなりませんでした。過労による姿勢の悪化が原因です。スイミングが最良の緩和手段と考えますが、消毒剤の所為で肌荒れが激しく数年前に中止、代わりにストレッチングを日課に組み込んで小康状態を維持しています。従来からのウォーキングも一役買っているものと思いますが、自助努力だけでは限界を感じています。
痔・・・私のそれは痔核、外側にできたイボ痔です。40才台の後半に突如として罹患、公私にわたる無理がたたったのだと思います。幸い軽症にとどまっていますので、治療を受けたことはありませんが、疲れがたまってくると張り出して不具合を感じます。体調を示すシグナルのようなものです。ここ2~3年は小康状態を保っています。
坐骨神経痛・・・罹患のはじまりは1984年12月のさかのぼります。ゴルフコンペを数日後に控え、練習場で突然ギクッときて動けなくなったのです。どなたかのご紹介で隣接するK市・S整形外科を受診、ブロック注射一本で治まりましたが、その後数回の再発があり、1992年には市内のY整形外科で、「側弯性変形性脊椎症,右根性坐骨神経痛」 と診断されました。担当医のご指導もあって、身のこなしには人一倍気を配っています。クロール泳法でのスイミングが再発防止に役立っていたのですが、肩こり同様、ストレッチングに切り換えました。
末梢性顔面神経麻痺・・・1995年3月12日(日)朝、気がつくと顔面左半分が麻痺状態、激務が続いたあげくの発病でした。週明けに神戸医大で検査の結果、幸い神経は生きているとの見立てで一過性でしたが、養生を余儀なくされ、完全回復には1年と数ヶ月を要しました。ちょうど阪神淡路大震災の直後のことです。
水虫、悪臭・・・ウール靴下の常用で解決しました。お履きになれば納得がいくと思います。女性のドレスアップにはシルク製のストッキングがお薦めです。ナイロンストッキングを常用している限り、水虫、悪臭からは解放されませんし、精神衛生にもよくありません。水虫の正体は、カビの一種 「白癬菌」 、高温多湿の環境で増殖します。ウール靴下には 「抗菌性」 も備わっており、自然の営みは偉大としか云いようがありません。
外反母趾、足裏のタコ・・・履き続けてきた靴に欠陥があったのです。ドイツ製健康靴の採用で緩和、改善し、最早歩行に伴う痛みはありません。水虫予防をうたって開発したウール靴下が耐久性に欠けるというところからの原因究明が功を奏したのです。衝撃や摩擦が起きにくい靴とその履き方を見出したというわけ。不幸中の幸いとでも申しましょうか、私が健康で暮らせるのも顧客からのクレーム処理が発端です。それなりの投資は伴いましたが、持病の大方は姿勢の悪化からのものです。それもこれも強い靴下、ストッキングの出現が元凶です。とはいえ大元は、若気の至り、ファッションに憧れて履き続けてきた靴の所為です。
不整脈(心室性期外収縮,完全右脚ブロック)・・・先天的なものなのか記憶にありません。厳密にはかなりのタイプがあるようですが、健康診断の度に過激な運動は避けるよう注意されています。今のところ、これといった自覚症状はありません。
高脂血症・・・総コレステロール値が250mg/㎗という数値が計測された時もあり、要治療の判定が続いていますが前項同様自覚症状はなく、薬も服用しておりません。聞くところよりますと、世間で騒がれているほどの心配事ではないようです。しかし、食事には気を配っています。
膝痛・・・左膝だけの症状ですが、時折階段の昇降時に微かな痛みが走っておりました。幸い、わが家は平屋づくりで床はフローリング、寝室もベッドという生活のため、膝への負担は最小限にとどまっており、「セッティング法」 に準じたストレッチングを組み入れ、大腿四頭筋の強化に努めており、今のところ悪化の兆しはありません。自家用車での移動をとりやめ、会社までの道のりを1日2往復・約5kを自転車で通うようになり、回り道しての、ゆるやかな坂昇りなども功を奏しているように思います。年季の入ったウォーキングも底辺を支えている筈です。
花粉症(すぎ 2.96UA/ml)・・・目がかゆい状態(睫毛の生え際)が、1997年春先から続いていましたが、02年に至り、軽度のすぎ花粉症が確認されました。症状が通年であったため、眼科医も気づかなかったのです。期待した「神経ブロック」 も、施術者の技量、受診者の個人差があるようで、私なりに工夫した結果、昨今は小康状態を維持しています。詳しくは、 「私の花粉症対策」 に述べていますが、そのポイントは外出時における手づくりマスクの着用です。擦り切れたウール靴下の筒編み部を使った自前のもの。今一点は、自分で調整した天日塩水を脱脂綿に含ませ、睫毛の生え際を軽くなぞるという独自の治療法です。前者は年間、後者はかゆみを覚えるとき。ここで関連事件をひとつ。03年の春先、身近でマスク着用による事故が起きました。唇が荒れて難儀したというもの。抗菌性が強すぎると起きる可能性大です。ウールには天然の抗菌性が備わっています。
飛蚊症・・・04年7月のある日、眠ろうとしてベッドから消灯した途端に右目に異様な光が走りました。そして翌朝から、かぎ型の黒い物体が一つ飛びはじめたのです。家内が経験していたこともあって驚きはしませんでしたが、件の眼科で飛蚊症と診断されました。老化現象の一環とのこと。間もなく暗がりでの異様な光は治まりましたが蚊は居着いています。いまのところ悪化の気配はありません。
下痢型過敏性腸症候群・・・いまや国内に500万人以上がこの症状に悩んでいるとのことですが、ストレスや精神的な不安などにより、下痢を伴った腹痛や腹部の不快感が起こる病気です。これといった治療法は確立されていないようです。私も、05年後半から便がゆるみ、痛みこそないものの、日によっては朝食後に2~3回、トイレに通うことがありました。種々対策を講じながら根気よく努力を重ね、昨年の春先より緩和傾向にあります。
胆石・・・前項の症状が治まらず、体重が激減、少々気重になってきましたので、05年10月、念のため消化器系統の検査を行いました。胃カメラによる食道、胃には異常はありませんでしたが、下腹部の透視で胆嚢に極小の石が2個発見されました。自覚症状がないのであれば様子を見ましょうということで手当はしておりません。
前立腺肥大・・・同時に 「大分肥大していますね。ご年配の方に多く見られる症状ですが・・・」。担当医から前立腺の肥大を告げられ、やはりそうだったのかと思った次第です。トイレに行く回数が増え、就寝時のそれは2~3回、尿の勢いがなく、時間がかかっていました。しかし、その後の着装考慮による冷え対策が効いたのでしょう。日課に採り入れている「ウォーキング、ストレッチング」 とも相俟って今のところ小康状態を保っています。
老人性皮膚掻痒症・・・4~5年前から寒冷季に入ると背中、腰部に痒みを覚え、爪にも縦筋が目立つようになりました。夕食時に嗜むアルコールにも反応して起こります。
左肩腱板断裂・・・2008年9月15日、雨上がりの自宅玄関先で足を滑らせて転び左肩を強打しました。1ヶ月が過ぎた頃から痛み出して我慢ができなくなり、病院に行くと、「左肩腱板損傷」 を告げられ、痛みを緩和する注射を打ってもらい、暫く様子をみましょうということになったのです。私なりに別途手当てを試みたのですが好転せず、再検査の結果、「断裂」 に変わり、翌年春に内視鏡手術を受け、その後リハビリに通うこと半年、漸くにして普段の生活に戻りました。動きは85%程度に落ち込んでいます。
鼠径ヘルニア・・・75才を過ぎる頃から少しずつ膨らみだしたのがかなり目立つようになり、若しものことが起きてからでは手遅れになるとの判断から昨年春、左右ともに手術を受けました。
歯科治療・・・元来、歯並びが悪い上に、部分的に補綴(ほてつ)治療を施していた私です。一昨年あたりから歯周病に見舞われ、それらの補修に60数回の歯科医院通い、いま、やっと落ち着いています。本来、毎食後に励行しなければ意味のないブラッシングを、朝の起きぬけの1回だけで過ごしてきた罰です。
誤嚥癖・・・特に喉越しで味合うアルコール類を食したときに起こりやすく、つい最近からの不具合です。極少量ではありますが晩酌を楽しむ私には気がかりでなりません。高齢者にとって、その延長にあるのが誤嚥性肺炎、無視できない傾向に見舞われており、対策を思考中。
良性発作性 頭位めまい症・・・去る1月25日夕刻のこと、気分が悪くなりベッドで横になったところ、天井が回るという事態に驚き救急車で病院へ。CT、MRI撮影、耳鼻科等、受診の結果の病名です。翌日帰宅で一件落着。パソコンに熱中しての無理が原因です。
以上が私の抱える諸症状です。
主旨からは外れますが
食生活もまた健康増進には欠かせないアイテムです。ところが、世間の常識として通用してきた食順一つ取り上げても間違いを冒しています。例外はあるものの、果物は食後ではなく食前がベストなのです。我々日本人には牛乳の摂取も問題です。地産地消もまた論議の余地あり。等々、整理しなければならない課題が山積しています。
住環境については、既に17年前に投資完了。3~4年前までは自己満足に浸っていた住まいですが、一箇所だけ落度がありました。左肩腱板断裂がその証左です。折角の平屋造りにしておきながら、玄関先だけが4段の階段になっており、この段差が招いた不始末なのです。ここにきて、膝を痛めている家内にも昇降時に負担を余儀なくしており反省しきりです。とはいえ、今となっては 「大難は小難」、折を見て緩やかなスロープに改造せねばと考えています。
現代の美徳・健康投資
超高齢化社会の到来とともに医療費が嵩み、抜本的な税政の見直しが不可欠となっています。国民の一人一人がその事を真剣に受け止め、世間に負担を掛けないよう行動を起こさねばなりません。高齢者もまた自らが生活の在り方を転換すべきであり、衣食住の改革に向け、具体策を推進していくことが望まれます。かなりの蓄財を残して旅立つ方々が多い世の中です。健康投資により景気回復への道が開けるわけで、私に云わせれば、「現代の美徳は健康投資にあり」。ウール製品の活用を願って止みません。
旧聞ながら、ノンフィクション作家・平野久美子さんが 「すこやか靴下」 をJTB発行月刊誌 「旅」 に紹介してくださいました。(2001年8月号)
2011/03/22
更新 2011/04/27
窪田孝弘