8月26日(金)
[特別講演]
演題: iPS細胞を用いて網膜を再生する
演者: 高橋政代
(理化学研究所・多細胞システム形成研究センター・網膜再生医療研究開発プロジェクト)
2014年iPS細胞を用いた臨床応用が開始された。網膜の中央が傷害される加齢黄斑変性が対象で患者自家iPS細胞から作った網膜色素上皮細胞シートを移植した。最初の臨床研究の目的は細胞シートの安全性を示すことである。1年半を経過して拒絶反応や腫瘍形成などなく、安全性が確認された。移植実施は1例であるが、期待通りの結果であり、多くの情報が得られた。
また、視細胞移植については動物実験でヒトiPS細胞由来網膜シート移植にて移植視細胞が成熟して長期に生存しているという結果が得られている。今後効果を判定し臨床に使えるように手順を整えていく非臨床試験を行っている。
日本は昨年11月から新しくなった薬事法の中に再生医療の新しい章を作り、再生医療を推進するのに適した法整備がなされた。この法律は省庁とアカデミアの協力で生まれ、成功させなければならない法律である。再生医療の今後を考える。
本講演は、視覚科学フォーラム第20回研究会参加者のみならず、関心のある方はどなたでも参加できます。また、ランチをとりながらお話を伺うランチョンセミナー形式で行います。