プロトコール

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HaCaT細胞もしくは,HEK293F細胞を利用した場合のプロトコールを示す.

準備するもの

・ターゲットゲノム切断ベクター(pX330を利用 https://www.addgene.org/42230/

・ドナーベクター(pVKG1_PURO,Puromycin耐性,Addgeneより配布予定)

・ドナー切断ベクター(pX330_VKG1,Addgeneより配布予定)

※ドナー切断ベクターとドナーベクターとを合わせて「VIKINGモジュール」を呼びます.ターゲットゲノムの配列にかかわらず利用可能です.

Addgene経由で配布しています(https://www.addgene.org/browse/article/28193003/).

日本国内からのリクエストにはこちら、もしくは、shun-sawa2@tokushima-u.ac.jpもしくは,shigeo.sugano@aist.go.jpでも対応しております.

手順

Step1:細胞培養

HaCaT細胞またはヒト胎児腎細胞293F(HEK293F)細胞を,ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)(043-30085; Wako,Osaka,Japan)に10%ウシ胎仔血清(S1780-500; Biowest,Nuaille,France)および1Uペニシリン・ストレプトマイシン(161-23181; Wako)を加えた培地(D10培地)で培養を行う.

Step2:遺伝子導入

◆エレクトロポレーション法

HaCaT細胞をOpti-MEM(11058-021; Life Technologies)に懸濁し,VIKINGモジュールおよびpX330プラスミドを合計15 μgのDNA(モル比,ドナー切断用プラスミド(pX330_VKG1):ドナープラスミド:ターゲット切断プラスミド=1:1:17)をエレクトロポレーター(CUY21EDITII; Bex,Tokyo,Japan)を用いて,エレクトロポレーションにより導入する.エレクトロポレーションした細胞を,100 mmディッシュにうつし,抗生物質を含まないD10培地中で24時間前培養する.

◆リポフェクション法

HEK293F細胞に,VIKINGモジュールおよびpX330プラスミドを合計15μg(モル比,pX330_VKG1:ドナープラスミド:ターゲット切断プラスミド=1:1:17)のDNAをTurboFectトランスフェクション試薬(R0531; Thermo Fisher Scientific,Waltham,MA)を用いて導入する.細胞は100 mmディッシュにうつし,抗生物質を含まないD10培地中で24時間前培養する.

Step3:選抜

形質転換された細胞を培地に展開する.D10培地にはピューロマイシン(0.3 μg/ mL)を加えて14日間細胞を培養する.

ピューロマイシンに耐性を示すシングルコロニーを単離し,24 well プレートにうつす.

24 wellプレートで数日間培養後,100 mm ディッシュにうつして培養する.一部はジェノタイピングのためにDNA抽出を行う.

Step4:DNA抽出

細胞の一部からDNA抽出を行う.DNA抽出は通常のプロトコールにしたがう.

例えば,OpenWetwareを参照.

https://openwetware.org/wiki/DNA_extraction_from_tissue

Step5:ジェノタイピング(PCRによるノックインの確認)

抽出したDNAをテンプレートとして,PCRを利用してノックイン挿入とランダム挿入の確認を行う.

PCRに利用する酵素には,特別なものを利用する必要はない.

本プロトコールではGoTaq Polymerase (Promega, M3001)を利用する.

◆必要なプライマーの設計

図:ジェノタイピングの概念図

VKG1配列を挟むようにプライマーを設計する.

例:

Primer1 (VKG1_4561F), 5'-GCCTATGGAAAAACGCCAGC-3'

Primer2 (VKG1_250R), 5'-TTCCTGTCTAGCGGTACGCG-3'

ターゲットゲノム配列特異的に結合するプライマーを設計する.

例:

Primer3 (VDRgenome_del3F),5'-GGTGGGCCTCATGTCTTCTG-3'

Primer4 (VDRgenome_del1R),5'-CCTTCATCATGCCGATGTCC-3'

◆PCRによるジェノタイピング

PCR反応

2x GoTaq® GreenMaster Mix 12.5 uL

10 uM Primer A 2.5 uL

10 uM Primer B 2.5 uL

Nuclease-Free water 6.5 uL

genome DNA 1 uL

Total 25 uL

thermocycler cycle

95℃ 2 min

[95℃ 30 sec、55℃ 1 min 、72℃ 2 min] x 30 cycles

72℃ 4min

12℃ hold

Step1. ランダム挿入の確認

Primer1, Primer2 を用いてPCRを行う.

DNA断片が増幅すれば,ランダム挿入が見られると判断する.

Step2. ターゲットゲノムへのノックインの確認

-順方向

Primer1とPrimer3, Primer2とPrimer4を用いてPCRを行う.

DNA断片が増幅すれば,順方向のノックインがされたと判断する.

-逆方向

Primer2とPrimer3, Primer1とPrimer4を用いてPCRを行う.

DNA断片が増幅すれば,逆方向のノックインがされたと判断する.