半透明材質レンダリングのための適応的サンプリング(IEEE Transactions on Visualization and Computer Graphics)


二段回再サンプリングによる双方向パストレーシング(Computer Graphics Forum 2020)

複数の光源側経路を用いた双方向パストレーシングのための2段階再サンプリング手法を提案しています.多くの光源側経路をサンプリングすることで,より寄与の大きい経路をサンプリングすることが可能となりますが,経路数に比例して計算コストが増大するという問題があります.そこで,1段階目に(低コストな方法で)多くの光源側経路をサンプリングし,2段階目に重要な経路をサンプリングすることで,同時間で先行研究よりも2桁以上多くの経路をサンプリングする手法を提案しました.

双方向パストレーシング(ACM Transactions on Graphics 2020)

視点と光源の両方から経路を生成し,経路頂点同士を接続することで光輸送経路をサンプリングする双方向パストレーシングのための重み関数を提案しています

スーパーサンプリングを考慮した多光源レンダリングのための誤差推定法(SIGGRAPH ASIA Technical Brief 2018)

アンチエイリアシングやDepth of Field, 関与媒質を考慮したレンダリングでは,輝度を計算するシェーディング点を複数サンプリングして各ピクセル値を計算する必要があります.本研究では,VPLとシェーディング点をクラスタリングし,代表点をサンプリングすることでピクセル値を推定します.クラスタリングによる誤差を推定し,先行研究よりも推定精度を2倍以上向上させています.

見る方向によって全く異なる複数のカラー画像を表示することができる反射板の設計方法を提案しています.UVプリンタで印刷できるカラーパターンを設計します.黒インクを重ねて印刷することで,光を遮蔽する微細な壁を作成します.微細な壁を適切に設計することで,ある方向からのみ反射板のある領域が見えるようになり,複数の画像を提示することが可能となります.

マルチグリッド法のためのNサイクルの提案 (CAVW2018)

煙などの非圧縮性流体をシミュレーションするためには,圧力のポアソン方程式を解く必要がありますが,計算コストが高いことが知られています.本研究では,ポアソン方程式を効率的に解く手法であるマルチグリッド法のサイクル手法を提案しています.広く使用されているVサイクル手法と同時間で比較して,提案法のNサイクルは残差ノルムを30%から40%にまで削減できます.

写真を用いた雲のモデリング

雲の3次元ボリュームデータの作成には,従来手続的アプローチや流体シミュレーションが用いらてきましたが,所望の形状や外観をもつ雲のモデリングにはパラメータ調整の試行錯誤が必要という問題があります.本研究では,写真を入力したらその形状と外観に類似した雲のボリュームデータを生成する手法を提案しています.

多光源レンダリング法は,光源からの直接光やシーン中の物体で反射した間接光を仮想的な点光源(VPL)で近似する画像生成法です.効率的な画像生成のためにVPLをクラスタリングする手法が一般的ですが,クラスタリングによる誤差を制御できないため,誤差がノイズとして画像に現れてしまいます.提案法は,誤差を制御することでノイズのない画像を生成できます.

布の画像を生成するためには,布を構成する糸の織り込みパターンや,糸の表面や内部での光の散乱を考慮する必要があります.そのため,従来法では単純な照明においてのみインタラクティブレンダリングが可能でした.本研究では,現実世界の複雑な照明である環境照明下における布のインタラクティブレンダリングを実現しました.

画像生成の基盤技術の一つであるレイトレーシング 法は,レイ(光線)とシーン中の物体を表す三角形との交差判定を解く手法です.この交差判定問題を分割統治法で解くレイトレーシング 法を最大2倍高速化しました.

金属表面には目に見えない微細なスケールの凹凸があり,この凹凸によって目に見えるスケールでの光の反射特性(BRDF)が決定されます.本研究では,微細な形状を編集して得られるBRDFを,球面ガウス関数を用いて高速に計算することができます.

現実世界の複雑な照明を表現する手法の一つである環境照明を用いて画像を生成する研究は提案されてきましたが,鋭い反射を伴う材質や変形する物体を扱えないなどの制限がありました.提案法は,環境照明と反射特性(BRDF)を球面ガウス関数で表現することでこの問題を解決します.

冷蔵庫などで作成した氷は,氷結途中で水に溶け込んでいた空気が泡となって表れます.これらの細かい泡をモデリングすることは大変労力がいるため,氷の中の泡をシミュレーションする手法を提案しています.

氷内部の伝熱計算と,氷が融解した後の水の流れを粒子法を用いてシミュレーションする手法を提案しています.従来法では,融解後の水を考慮していませんでしたが提案法により,氷柱が融解して融けた水が薄い膜となって氷柱の表面を流れ,先端で水滴となって落ちる現象を表現することが可能となります.