ゴーストタッチはスマートフォンの異常動作の一種だ。しかも、極めて厄介な領域の異常動作と言える。利用者が何とか回復しようとしても、とても治せるとは思えない。
私もゴーストタッチを自ら経験して、その異常動作の症状をインターネットで色々検索して初めてその呼び名を知ったのだ。まさしく、これは『ゴーストタッチ』現象だ。
思い返して見ると、まずゴーストタッチの初期症状はタッチパネルの反応の鈍化であった。正常な時は軽くタッチしても作動してくれるが、タッチパネルの反応が鈍化すると、何回も押したり、より強く押したりしないと動いてくれない。この時期は差し迫る問題が生じるとは、思ってもいなかった。
それは、突然現れた。しかも幽霊(ゴースト)のように。
ある日、私がメールを打っている時・・・・
「○○ 様 打ち合わせの日時ですが前回通りの」ここまでは何の問題も無し。
ところが次の文字を打とうとした瞬間、タッチパネルが勝手に文字を打ち始めた。
「ややややややややややや」と、何やら自動でしかも物凄い速さで打ち込んで来る。私はびっくりして、ただひたすら『消去』ボタンを押し続け、勝手に打ち込まれて来る『や』の連続文字に対抗した。何が起こっているのか理解出来ない。今までに経験した事のない現象が目の前で起きている。形勢はと言えば、残念ながら大いに不利。攻め込まれて、私は防戦一方だ。
突然相手の攻撃が変わった。今までは『やややや』の連続であったが、今度は
「たたたたたたたたたたたたたたたたたたたた」と攻撃して来る。
このまま、このメールを送る訳には行かない。送ったメールの内容が
「ややややややややややや」や「たたたたたたたたたたた」では、先方にからかいメールと誤解されかねない。孫子の兵法では、不利な戦いはご法度だ。すぐにメールを中止して、素早く終了ボタンを押した。続けてスマートフォンの本体の電源も切った。これで一安心。
想定外の出来事の発生に、頭の中で様々な答えを探し求めた。まず浮かんだのが『ウイルス感染』。
インターネットを利用している限り、ウイルス感染の可能性は大いに考えられる。『ウイルス感染』であれば、情報の流出や登録アドレスへの勝手なメールの自動送付など大いにあり得る。これは厄介な事になった。
とりあえず先ず第一に、この敵の情報収集だ。早速インターネットで検索。
検索ワードはちょっと長いが
「スマホ、勝手に文字が打ち込まれる」。
結果、結構同じ症状の経験者が多いことに驚かされる。どうやらウイルス感染では無さそうなので、一先ず安心した。原因も色々考えられるし、素人なりの対処法もあるらしい。ただ症状が悪化した場合勝手にアプリを立ち上げたり、勝手にメールを送ったりする可能性があるらしい。
これは自分であれこれやるよりは、治ろうが治るまいが業者に一任した方が早いと判断して、早速業者選びに入った。iphoneの修理業者は思ったより多い。チェーン店もあれば数人でやている個人店もある。近場にあればと思い市内の業者を探した所、見つけました。車でよく通る踏切の近くに、確かその店の看板が出ていたのを見た事がある。電話で故障の症状がゴーストタッチである事を話し、修理代金の見積もりを確認した。修理代金は¥15,000-前後で、修理時間はおおよそ30分もあれば出来るらしい。すぐに店を訪れ、携帯を差し出した。
店側「タッチパネルを交換して100%治るとお約束は出来ません。今までの修理経験では、ほぼ80%くらいの確率で治っています。」
私は「それで結構です。タッチパネル交換で進めてください。」
お店側がとても真面目そうだったので、頼んで見る気に成ったのだ。
30分後に引き取りに行った時には、既に修理は完成していた。タッチパネル交換ですっかり『ゴーストタッチ現象』は消えたらしい。
あれから一ヶ月以上経つが、私のスマホは元気に働いてくれている。修理代金は¥13,000。思わぬ出費であったが、先づは『めでたしめでたし』と言った所だろうか。