67歳にしてネイルサロンを初体験するとは・・・
別においらに爪のオシャレを楽しむ趣味は無いし、そう云う方向性も余裕も無い。
ただネイルサロンに来なければならない止むに止まれぬ、差し迫った事情があるから来たのだ。いやっ、来てしまったのだ。其処は娘がたまに行くネイルサロンで、予約はすでに娘にしてもらっている。実は娘に予約を頼む前に別のネイルサロンに自分で直接予約の電話をしたのだが、あっさりと門前払いを食ってしまった。男だと告げた途端「女性しか受付出来ません。」との返事であった。
問題は5日ほど前に起きた。
おいらの足の親指の爪が縦に3分の2割れてしまったのだ。親指の爪の長さが15mmだから、10mm
ほど裂けて、残りは5mmしか残っていない。しかも割れた所の爪と肉が剥がれ、血が滲んでいる。痛いか、痛く無いか?確かに痛いのだ!「とても痛いっつうの!」
先づは看護師である、我が妻を頼った。さすがに消毒と化膿止めの処置が見ていても手際よい。そこでチョット聞いて見た。
患者:「こう云う場合、病院に行って処置してもらうとどうなるの?」
看護師:「そうね・・・外科での処置は一般的には局部麻酔をして割れて剥がれている爪を全部とり除きます。」
患者:「ゲッ!」「まだ5mmほどの領域は健康そのものなのに、根こそぎ全部剥がして取る???」「親指の爪が全部無くなっちゃう?!」 「それ、痛いんじゃない?!」
看護師:「麻酔をするのでその時は痛みは感じ無いと思うけど、麻酔が切れればそれなりの痛みは出るでしょうね。新しい爪が全部生え終わるまで普通3ヶ月位はかかるでしょう。」
患者:「その外科と云う選択肢は、取り敢えず保留にしよう・・・!」「先づは、割れて剥がれて、血が出ている部分の炎症がおさまった段階で、冷静になって考えよう。」「ん・・・・」
看護師:「それじゃ、朝晩患部を消毒して薬をつけましょう。くれぐれも患部をぶつけたりしないように注意してくださいね。」
患者:「はっ、はいっ!!!」われながらなんと云う、素直な返事なのだ!
と云う訳で、毎日消毒して薬を塗布して三日目で痛みもほぼ無くなった。ただ、爪が割れている状況には何の変化も無い。喫緊の課題は縦に3分の2割れてしまった爪を、これ以上裂けさせないようにすることだ。残った健康な5mmの部分を何としても死守せねば。
こんな状況でも・・・、いやっ、こんな状況だからこそ朝晩3回づつの大雁気功は実践した。大雁気功が終わると本物の太極拳『永年太極拳、楊式28式』を通して稽古する。傅清泉老師の伝統楊式太極拳は免疫力をグッと高める。
そんな中でいろいろ対策を調べた。
100円ショップの『ダイソー』で爪用の接着剤の『ネイルグルー』なるものがあるらしい。元々は付け爪用の接着剤らしい。これがあれば割れた爪を接着して裂け目の広がるのを防ぐことが出来る。但し、接着効果は1週間から10日ほど。その間に次なる良い手を探そう。
早速翌日、近くの100円ショップのダイソーに行った。ネイルのコーナーに行って探したが『ネイルグルー』は見当たらない。店員さんに聞いたところ在庫切れとのことであった。仕方ないので一般の瞬間接着剤を買う事にした。一刻も早く裂け目を接着したいのだ。家に戻り患部を消毒し、慎重に接着を試みた。接着には正確さが何よりも重要だ。段違いで付いてしまえば、そのまま固定されてしまう。片手で爪の位置合わせをしながら、片手で慎重に接着液を付ける。一度つま楊枝に接着液をつけて、それから裂け目部分に液を落として行く。慎重に、慎重に・・・
付け終わってしばらくは完全に爪が接着するまで、両手で爪を固定した。何とかうまく行った。
接着作業が終わって、すぐ娘に電話を入れた。以前、娘の爪が割れた時にネイルサロンで補修処理をした話しを憶えていたのだ。詳しく聞いて見ると、透明のアクリル剤で爪の表面をコーティングするらしい。コーティングする爪の下地処理をした後、白い粉を爪の上にまぶしてから何やら透明の樹脂をかけると、少し厚みのある透明で硬い樹脂コーティングが出来ると云う。
その日、ネイルサロンに入って予約している事をつげると、すぐカウンターに案内された。ちょっと見せていただけますかと言われたので、まず手ではなく足の爪である事を説明した。カウンターの上に足は乗せづらかったのだ。
お店:「足ですか?足ですとジェルの方が良いですね。入浴しても剥がれにくいと思います。」
返事はもちろん「それでお願いします。」
それから奥の部屋に案内された。そこはペディキュア専門の部屋らしく、ゆったりした足を伸ばせるマッサージ椅子のような椅子が用意されていた。何はともあれ、爪を保護するコーティングを希望し、透明ジェルで仕上げてもらうようにお願いした。作業は手際よく15分ほどで終了した。爪をヤスリで磨いたり下地処理用の液体を何種類か塗ったり乾かしたりしていたが、仕上げは透明な樹脂のようなもので仕上げてくれた。乾燥はUVライトのような小さなライトを数分当てて乾かした。
触って見ると、しっかり割れた爪がコーティングされている。しかも、これならと云う厚みも確保されている。さすがにプロの仕事だ!
後で知人から聞いた話しだが、大リーグのドジャースで活躍した野茂英雄投手。現役の頃、爪が割れてネイルサロンで処置した事があったらしい。当時は日本にまだネイルサロンは無かったので、やはりそういう点でもアメリカは一歩進んでいたのだろう。
今日もおいらの左足親指の爪はピカピカと輝いている。出来ればつや消しの方が目立たなくて良いんだが、それは次の時にプロに相談しよう。割れた部分の爪が新しく出てくるまで、このコーティングがもってくれる事を切に願う。年々歳々、あっちのパーツが壊れ、こっちのパーツが故障し続けて行く日々の中で、こんな調子で苦戦しながら戦って居ります。