63.また今頃?「君の名は。」

今頃になって「君の名は。」に関する考察

らんぞうです。

「真田丸」に続いて「いまさらシリーズ」第二段。

今回は映画「君の名は。」についての考察であります。

アニメ映画「君の名は。」 昨年えらく流行りましたねー。

それはそれはスゴいブームでした。中には10回以上観た!なんて人もいたりして、人気は絶大でございましたね。

我が家でもいつの間にか家族全員が観ておりましたよ。

内容はアニメや小説で昔からありがちな、男の子と女の子の心が入れ替わってしまって、いろいろと大騒ぎになっちゃってー・・的な青春ものですか。やっぱりオジさんが見るもんじゃないよなー・・などと思っておりましたけれども。

まあそんなに流行っておるなら、一応観ておいても良いかなぁ・・くらいな感じでおりましたのに、いやいや予想に反して、次第しだいに「瀧くんと三葉」の世界に引き込まれてしまいましたよ。もどかしくも切なく、そしてまさかのこの展開―?(ストーリー説明しませんよ)

オジサンが観るにはこっ恥ずかしい青春アニメか?と思っているうちに、いつのまにか時空を越えた壮大なストーリーに!

エンディングでは、私らんぞうめも、恥ずかしくも涙腺うるうると感動してしまいましたよ。

これはもう一回観るしかない!などと年甲斐もなく、危うくリピーターになってしまうところでございました。

という事で観ていない方は是非! ・・・ などと、今回はただお勧めして終わったりはしないのでありますよ。

このところ最近、何でもZAZEN(ココロの観察)に結び付けて考えてしまう悪いクセが出来てしまいまして。

なぜにこのオジさんのココロをハゲしく動かしたのかー?なぜにこんなにブームになったのかー?という原因を考えてみたわけでございます。(わりとヒマですね・・。)

以前のつぶやきにも登場しておりますが、最近欧米ビジネス界で盛んに取りざたされている休息法「マインドフルネス」(mindfulness、初期仏教をベースとしたココロ・コントロール法)に言われておりますのが、「怒り」にせよ「悩み」にせよ今回のように映画をみて「感動した!」にせよ、ココロが大きく動いた時には何らかの煩悩(苦dukkha)が作用していると言われております。

この映画も主人公に感情移入して、ハラハラ・ドキドキ。最後がハッピーエンドで良かったー・・と思うのは他のエンターテイメントと同じですが、

考えるに他の映画と異なる一番の感動(煩悩)ポイントは、主人公の二人の記憶の中からお互いが消えてしまっているのに、何か重要な事を忘れているのではないかという心の葛藤、もどかしさ(つまり苦)にフィーチャーしている事だと思うのですよ。(観てない方すみません。)

例えば・・

「自分にはきっと出会うべき運命の人がいる・・」

「自分には実は自分も知らない秘密があるのでは?」

「自分は実は特別に選ばれた人間な気がする・・・」

「この仕事じゃなく、きっと他に天職があるにちがいない。」

「自分の生まれてきた意味って何なんだろ?」

「本当の自分に出会うため、自分探しの旅にでるぜ!」等々‥。

現実がうまくいかない事が多すぎて、自己否定をしたくなることや、ありのままの自分自身を受け入れたくないことって良くあります。

そんなココロの中に、こんな筈じゃない、こんなんイヤダーという「瞋(いかり)」の煩悩が多ければ多いほど、自分のもどかしさ(苦)を体現してくれる主人公が、現実ばなれしたハッピーエンドを体験してくれる事により、疑似体験している我々のココロにも激しい「感動」という名の快感(=苦が消える時の反動の開放感覚)の波が押し寄せてくるのでは?

但しこの快感、苦が一時的に消える瞬間に放出される脳内麻薬(ドーパミン)によるものらしく、気持ちよいが故に多用すると、またまたその世界(妄想?二次元?)に逃避してしまいそうな気がいたしまして、この快感を使用するときは用法用量には十分注意が必要と思われます。(うまく言えないですなぁ・・)

人間生きている以上は、ココロがすべて満たされる事はありえないのですが、この映画は皆が持っている「満たされないココロ」=「本当の自分はこんなんちゃうよ」という現実否定の「瞋(いかり)」の煩悩をフワリとくすぐって変身願望を叶える疑似体験をさせてくれ、一時的に素敵な快感を与えてくれるのだなあと思ったわけでございます。

突然話しは変わりますが、以前、ある歴史学者さんの講演を見ていた時に、歴史モノ雑誌の話しをしていた事を思い出しました。

この種類の雑誌は元々発行部数が少ないそうですが、ある人物の特集を組むとそのときだけ部数が大きく伸びるそうです。

そしてそれはズバリ予想どおり「織田信長」と「坂本竜馬」。

彼らの人気の理由は様々だと思いますが、その先生の見解によると人気の秘密はズバリ「変身」。

「尾張のうつけ」だった信長が桶狭間を境に快進撃して天下をとったり、はたまた土佐の脱藩浪人だった竜馬が突如として八面六臂の活躍をするなどなど。

「わし今こんなんだけど、いつかはスゴく偉くなるけんね!」とか「チャンスさえあればワシだって・・」とか、現実はダメダメな自分なのに、歴史上の英雄に自分を重ね合わせて強くなった妄想などしてしまいます。なるほど、仮面ライダーも大好きだったしなー。

・・・・

「君の名は。」がこれほど多くの人に熱狂的に支持されたのは、なるほど、私らんぞうと同じように、煩悩多き方達がそれは沢山いらっしゃるのだなあと、しみじみ思ったわけであります。

もうじきDVDも出るようですね。

観ていない方は「煩悩バロメーター」?としてご覧になってはいかがでしょう?

(ファンの方すみません!戯言ですのでくれぐれも炎上などされぬようお願いします。)

(らんぞう)