ここ数年どうも枕が合わない。どうもしっくり来ないのだ。大体¥10,000-前後からせいぜい¥15,000-くらいの物を何年かおきに買い換えて使っている。いつも使い心地はこんなもんかなと思って使っていた。その内ちょっと古くなると、気になってタオルを敷いて高さを調節するようになる。バスタオルを半分に折って枕に乗せて高さを調節する。最近はバスタオル2枚で落ち着いていた。それでも、これで高さが合っているんだろうか?少々気になる。
そんな時、テレビ朝日の『カンブリア宮殿』と言う番組で『日本橋西川』が取り上げられていた。サラリーマン時代、仕事で日本橋界隈には毎日のように通っていた。職場が銀座にあった関係上、京橋、八重洲、丸の内、日本橋などは顧客が多かったのだ。ただ、西川本店の前はいつも素通り。何と言っても高級寝具店だから、根っから貧乏育ちのおいらには縁がないものと思っていた。一二度店内を覗いた事はあったが、腰痛持ちで床にせんべい布団を直接敷いて寝るスタイルに満足していたので、鼻から無縁の店と思っていた。今年『オーダー枕』でお世話になるとは、まったく思ってもいなかった。
西川の歴史は、今を遡ること450年前の永禄9年に始まる。近江出身の初代仁右衛門が19歳で蚊帳、日用品の販売から始めた。この頃は世の中、戦国時代の真っ只中である。永禄年間の出来事を調べて見ると、元年正月武田信玄が信濃守護に任じられる。同年9月木下藤吉郎が尾張の織田信長に仕えている。3年には尾張に攻め入った今川義元が桶狭間の合戦で織田信長によって敗死する。8年には永禄の変。三好三人衆と松永久秀らが共謀して二条城を襲撃、室町幕府13代将軍足利義輝を殺害する大事件が起きている。ちなみに永禄年間に誕生した武将・大名は、賤ヶ岳七本槍の一人の平野長泰、豊臣家重心の石田三成、徳川四天王の井伊直政、以下有名な武将は福島正則、加藤清正、細川忠興、伊達政宗、黒田長政など枚挙にいとまがない。戦国の世から江戸時代を経て、明治、大正、昭和、平成と暖簾を守り続けて来た底力は素晴らしい、日本の誇りとも言える老舗の一つだ。
さて、枕だ、まくら。『オーダー枕』です。去年の8月にオーダー枕を知ってから、日本橋西川に行きたい行きたいと思っていた。値段は¥25,000-プラス消費税と少しお高いが、オーダーでこの値段なら決して高い値段ではないかも知れない。今年の6月に時間が取れたので行って参りました。
①先ず第一にカルテを作成。次に②正しい立ち姿勢から採寸、クイック測定を始める。一人一人の骨格や体格に合った枕を作るにはとても重要な工程。次は③素材選び、籾殻から柔らかな素材まで何種類もある。この段階はあくまでも個人の好みが優先される。おいらはちょっと硬めの感じが好きなので表面材は籾殻を選んだ。最後の工程は④『体感・調整』、この段階で実際ベットに横になり、自分にとってしっくり来る感覚に調整する。体感・調整が終わって、それを基にいよいよ枕の製作が始まる。おおよそ20分から30分くらいでお望みの枕が完成する。専用の枕カバーも¥2,000から¥5,000くらいで売っているので、自分用には¥2,000のサテン素材の枕カバーを購入した。
この枕の良いところは、仰向けに寝る時と、横向き(側臥位)の時の2種類の高さ調整がなされている所だ。枕の中央部は仰向けに寝る時の高さに調整されていて、両サイドは側臥位用の高さに調整されている。最近のテレビ健康番組でも、側臥位の寝姿勢こそ疲れが取れ、体に良いと言う内容の放送があった。二つの寝姿勢に対応しているのは、とてもありがたい。
メンテナンスもある。数ヶ月してちょっと感じが違って来たら、カルテに沿って微調整もしてくれる。安物買いの銭うしないとは良く言ったものです。必ずしも、高いものが良いとは限らないが、良いものは高いものです。買って大満足の一品でした。
局長