ごきげんよう、みなさん。誰よりもぺいぺいのペイ子です。
汗をかきかき夏本番、リオデジャネイロオリンピックも間近ですね。
ペイ子、本日も勤めを終え帰宅しTVを見ていましたところ、NHKスペシャル『ミラクルボディ~未知の力を呼び覚ませ~』でとても興味深い人が特集されていました。
マルクス・レームさん、ドイツ出身の『義足のジャンパー』として有名なアスリートです。
レームさんは、右脚に義足をつけ走り幅跳びで8m40cmを記録するなど、健常者の世界記録に迫る成長をしているそうです。
そして、健常者と同じ扱いでつまり、五輪に正式に参加したいと願っています。それは自身の記録を健常者のそれと同じ扱いで残すということ。
「オリンピアンとパラリンピアンの差をもっと近づけたい。」
ところが、2015年に国際陸上競技連盟はこれに高い壁をつくります。
五輪への参加に条件をつけたのです。『義足が有利に働いていないことを選手自ら証明せよ。』
レームさんの躍進の一方で、健常競技者選手たちからはレームさんの好記録は「義足のバネの効果では?」「技術ドーピング」という声もあがっているそうです。
それ以前にも、義足をつけて陸上競技に参加したオピンピアンはいましたが、選手自身による証明義務はなかったそうです。
そこで今回、NHKはレームさんと他のアスリート(健常者7名、義足2名)との動作を比較検証することによって『義足が有利に働いていないこと』を検証すると同時に、レームさんの身体能力を科学的に分析したのです。
番組では走り幅跳び競技のポイントが2つ挙げられていました。
①短時間での速い助走スピード(秒速比較) ②強い踏み切り(特殊機器で左右脚差バランスと力の大きさを計測)
すると、
①は秒速でおよそ1m以内差で健常者が上回る。
②踏切の強さを、左右バランス共に健常者が上回る。(健常者は自身体重比べ12倍で左右ほぼ均等、レームさんは6.5倍で健常の左足にバランスが傾いてる。)
でした。
しかし、この2つの計測だけでは測りきれないレームさんの特性が判明したのです。
それは
・レームさんは脊柱起立筋が他のアスリートより発達していて、脚の左右差のバランスを取る能力が発達しているので上半身の作業ロストが少ない。結果、助走スピードが速くはないが、パフォーマンスを安定させる能力が高い。
・踏切の際、走るスピードを健常者より落とさず義足側の脚を柔軟に用いる(踏切時、若干地面と義足の接地面を内側に入れていることで跳ぶ直前に接地面と体の重心を一直線にしている)結果、バランスを崩さず踏み込むことで垂直方向への速度が健常者より速い。
番組では、レームさんと健常者アスリートのパフォーマンス中の脳の動きも同時に調べています。
比較すると、レームさんの脳は右ひざを義足と接地させて動く際、健常者の右ひざ使用時の脳の反応域よりはるかに大きく、特に触覚を司る「2次体性感覚野」が発達していることが判明したそうです。それは健常者には足裏、足首にある地面を感じるセンサーが、レームさんには義足をとおして膝で補うことで脳はこれを脚と一体して感覚していることということ。
マルクス・レームさんに関する情報はインターネットで調べるとたくさん出てきます。
少年時代のスポーツ事故により右脚ひざ下から切断をしたが、根気強い独特のリハビリと特異の身体能力と努力で今にいたること。
走り幅跳び競技においては、助走は不利ではあるが、踏切は…類まれなる身体バランスを持っての踏込までのプロセスが健常者と異なり、この点においては有利不利には言及できないこと。
これを受けて、世界陸上競技連盟がレームさんを判断できなくて今後も検証を続けると発表したこと。リオ五輪は健常者と同枠では出場不可となったこと。
レームさんと健常者のアスリートの踏み切り瞬間時の動画をみて、ペイ子は太極拳の蹴脚を思いました。
義足の接地面は凹凸があるものの、まったくの「平面」でした。それを、本当に微妙に内側に接地させることによって、レームさんは重心の上に絶妙に体をのせて跳躍していたように見えました。
また、健常者の方の踏込時は、足裏の着地と脚上の体の調整を足首でやわらかく行っているように見えました。
瞬間に足裏の充実と体の安定をもって、それまでの助走スピードを跳躍に変化させているのですね!
走り幅跳びはすばらしい競技だと思います。世界陸上とオリンピックはいつも楽しみにしています。
ペイ子