33.『中国太極拳事典』ベースボールマガジン社

まず値段は¥7,000-プラス消費税、ちょっと高い。

編著者略歴:余功保(よこうほ)

武術文化研究家。太極文化学者。1964年生。北京大学物理系卒。中国の大学で初めてとなる北京大学武術協会を創立し主席となる。積極的に武術の科学化と武術文化の発展に取り組む。長らく国家の武術主管部門で重要な職務を歴任。“中華武林百傑”“第一回世界太極拳健康大会”“全国人民健身気功交流大会”など多くの国際的に影響を持つ大型の武術、太極拳活動を企画実施。また多くの太極拳学術交流、シンポジューム活動とテーマ検討を行う。著作に太極拳、武術、健身気功、中国伝統文化など数十種あり、新聞雑誌に発表した文章は百万字に近い。

訳者:渡辺義一郎(わたなべ・ぎいちろう)

1945年新潟県生まれ、ベースボールマガジン社出版部で主に中国武術、気功、日本武道、健康書などを担当。また中国との出版交流を進める。中国室長、出版部長などを歴任。定年後は恒文社を経て現在はフリーの編集者。著者に『古代越後奴奈川姫伝説の謎』。訳書に『中国歴代西域紀行選』、中国古代の格闘技文献『角力記』。共編著訳書に『アムネマチン初登頂』写真集『アムネマチン』『中国登山ハンドブック』(ベースボールマガジン社など)、『敦煌壁画仏教物語』『雨飾山と海谷山塊』『万里の長城』(ともに恒文社)などがある。

訳者の渡辺義一郎氏と加藤老師とのご縁は30年程前からである。当時来日していた李徳印老師が出版された『48式太極拳』や『楊式太極拳』などもベースボールマガジン社でお世話になっている。

特に『48式太極拳』の套路分解の写真については、若かりし頃の加藤老師が李徳印老師と一緒に写っている。最近では太極拳雑誌『タイチライフ』の編集にも携わって居られたので、私も加藤老師の記事や掲載写真の事で良く打ち合わせをさせていただいた。

著者の余功保(よこうほ)氏については、残念ながら私の勉強不足で良く存じ上げない。

日本には太極拳の解説本で良いものは少ない。巷間、人気の著作でも手に取って見ると実用性に欠け、作者の感性の低さを窺わせるものが多い。現代は調べたい事はインターネットで検索すればおおよその答えは得る事が出来る。しかし、そこにも危険が潜んでいる。答えが一つとは限らないからだ。この事典の良いところは、一つの語で答えが三つほど有る。

例えば、『左顧右盼』を引くと

1.左へ動くを顧、右へ動くを盼という。

2.形が動くを顧、意識が動くを盼という。

3.動を顧、静を盼とする。太極拳の対立統一の運動を指す。

“顧” “盼” は太極十三勢の一つである。その項目を参照のこと。

となっている。太極拳指導者に限らず、真面目に太極拳に取り組んでいる人達必携。

私の事だが、『結構無駄使いが多い』のだ。この一冊は安くはないが、無駄使いにはならないと思う。

最後に念のため詳細を以下にご案内する。

書名:中国太極拳事典 定価(本体 7000円+税)

編著者:余功保

監修者:楊進

訳者:橋逸郎/渡辺義一郎

発行者:池田哲雄

発行所:株式会社ベースボールマガジン社

印刷・製本/共同印刷株式会社