32.坐禅の呼吸法『数息観』(すそくかん)

坐禅をするにあたって、初心者に指導される呼吸法が数息観(すそくかん)だ。この呼吸法は坐禅に限らず、日常生活の中で心身を調えたい時にとても有効な呼吸法である。

心身が乱れると、呼吸も乱れる。呼吸が調(ととの)うと、心身も調う。普段は気付かず何気なく呼吸をしているが、人間にとって呼吸は、命を支える重要な動作の一つでもある。

呼吸は、呼(は)くを主にして長く、吸うを従にして短くし、呼主吸従で行う。この場合、喉や胸で呼吸をするのではなく、下腹(丹田)辺りまで下ろすような深い腹式呼吸をする。

自分の『息』を数えながら呼吸するのが、『数息観』(すそくかん)だ。

最初は、まず呼(は)くから始める。

「ひと~」で、落ち着いて静かにゆっくりと深く呼く。最後の残気まで呼き切る様に出来る限り長く呼く。そして「つ~」で吸う。一息ごとに全部呼き出せば、吸おうと思わなくても自然に空気が体の中に入って来る。続いて「ふた~」で呼き、「つ~」で吸う。「み~」で呼き、「つ~」で吸う。

これを一から十までやり、終わればまた、一から十まで繰り返す。

数息観の便利なところは、坐禅でなくとも立っても出来るし、椅子に腰掛けても出来る。夜、寝付きが悪ければ仰向けになっても出来る。

息が調(ととの)えば、心も調(ととの)う。1日5分でも効果はあります。

本格的に坐禅を体験したい方は、福井県の曹洞宗大本山『永平寺』で参禅体験コースもあります。

但し、永平寺は作法に大変厳しいとされる禅寺です。