194.『太極拳対練102式のすすめ①』

【脳レーニングに最適!】

年々歳々とても残念ではありますが、頭も身体もあちこちが壊れてまいります。私などは幸運にも太極拳にご縁をいただき、超低空飛行ではありますが何とか日々普通の暮らしに有り付いて居ます。何もしていなければ今頃どうなっていたか分かりません。とは言え、目は結膜弛緩症、耳は加齢性の耳鳴り、口は3ヶ月に一度の歯周病予防治療、腰は脊椎間狭窄症、膝も加齢性の変形性膝関節症と色々取り扱っています。そう言う弱みに付け込んで、テレビをつければやれ「コンドロイチン」だ、「青汁」だ、「すっぽん」だと攻め込んできます。しまいには30分以内に申し込めとか、ありゃ半ば脅迫ですね。70代になってから「ふらつき」が出て来ました。これは明らかに「三半規管」の衰えによる現象です。何とか死ぬまで「健康寿命」守りたい。誰もが持つ切なる願いです。家族に迷惑をかけたくない。立派な心がけだと思います。昭和を生き抜いてきた仲間の想いです。高年齢になると努力なしでは、健康の維持は難しくなります。元気を続ける為には、それぞれ個々人が自分に適した方法で心身を鍛えて生きて行くしかありません。自分に適したものであれば、別に太極拳でなくても良いと思います。


日常生活を今まで通り続けて行くためには、太極拳を通してご自分を鍛えていただきたい六つのポイントがあります。世の中でよく言われていますが、改めて並べて見ましょう。

①一番目は「筋力」です。筋力は何もしないとどんどん衰えますが、意識して鍛えれば驚くほどよみがえります。40代から運動を何もしていないと、80代では筋肉の半分が脂肪化すると言われています。

②二番目は「骨力」です。特に高齢女性に多いのが骨粗鬆症が原因の骨折です。骨折から寝たきりになる恐れもありますから、しっかりと骨力を付けましょう。太極拳やかかと落とし運動などで鍛えることによって骨力もよみがえります。

③三つ目は持久力です。疲労に負けない強い持久力は日頃の太極拳鍛錬で養われます。特に伝統楊式太極拳85勢はおすすめです。丁寧に套路を通すと23分かかりますから効果てきめんです。

④四番目は「バランス感覚」です。歩法の重心移動や蹬脚、下勢独立などの片足立ちはバランス感覚を磨くだけでなく、筋力や骨力も鍛えてくれます。

⑤五番目は柔軟性です。柔軟性もストレッチ運動などを通して太極拳動作に活かしているみなさんは多いと思います。身体に柔軟性があるという事は、怪我をしにくいという事にもつながります。

⑥六番目は「瞬発力」です。瞬発力は瞬間的に大きな力を発揮することです。跳躍や幅跳び、太極拳で言えば発勁動作がそれにあたります。簡化24式太極拳には表面上は発勁動作は出て来ませんが、すべてにわたって発勁動作は隠されています。太極拳対練はその見えなかった発勁動作を実際の動きの中で再現する練習法と言えます。


太極拳対練は簡化24式太極拳をある程度経験を積んだ皆さん向けに、丁度良い題材と思います。甲と乙二人で動作を交互に出しあいます。距離感や同調性、連綿性など対練を通して学べる事はたくさんあります。またその要求も上級者になればより高度なものが求められます。

しかし、何よりも始めは気軽に楽しむ意識を持って取り組まれる事が一番大切な事だと思います。


動作名称と動作を少しづつ覚えましょう。102動作で構成されていますが、二人で割れば一人は51動作の割り当てになります。抱拳礼から1式の起勢、2式の攬扎衣、3式の開合手、4式の単鞭まではお互いに技を出し合う動作ではなく二人で同じ動作を繰り出す序章の様な動作になります。5式から甲乙二人の技の出し合いが始まります。まず、甲が右足を大きく一歩踏み出しながら右拳にて乙の胸部を打ちます(5式・上歩進捶)。乙は左足を退げ、右足を一歩出して右虚歩になり、右掌にて甲の攻撃をうけます(6式・退歩提手)。

始めは一つか二つづつ位で練習を進めて行けば、比較的簡単に覚えられるはずです。動作名称は紙に書いて覚えると、比較的覚え易いでしょう。書いて覚える事は、その漢字の持つ意味にも触れる事になりますから是非試してください。動作練習で身体を使い、動作名称を書く事によって脳に適度な刺激を与える事ができます。また、その日に練習した動作のイメージを頭の中で再構築する事は、脳の活性化に大きな効果をもたらします。


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