128.「台風一過」・・・「そして落雷」

今回千葉県を襲った台風15号によって、恐ろしい自然の脅威を目の当たりにした。

千葉県民みな、風速57mなど想像すら出来なかった。身近なところで大木や鉄筋コンクリートの電柱が折れ、倒壊するなど聞いた事もない。

未だに停電で復旧が遅れている地域の方を想うと心が痛む。

幸い我が家の被害はいたって軽微なものであった。テレビアンテナだ。

屋根の上に設置してあるアンテナが強風で動き、テレビが映らなくなった。普段当たり前のように見ているテレビだが、見れなくなると何とも不便だ。ニュースも朝ドラも天気予報も、毎週楽しみにしているBSのドラマも見れない。当たり前の日常からテレビが欠落すると、こんなにも喪失感を感じるとは意外であった。早速、以前頼んだことのあるアンテナ工事屋さんに電話をした。案の定、アンテナの被害が多いらしく補修工事が立て込んで、すぐには来れないらしい。仕方なく修理日時は業者さんの日程に任せる事にした。以前も台風でアンテナの具合が悪くなり修理を依頼している。聞いてみると2013年の事であった。今年が2019年だから、6年前だ。6年間は無事に過ごせたと言うことか。一寸先は闇と言うけれど、誠にその通り。人間には風速57mがいつ来るかなど、分かりはしない。誰しも自分だけは大丈夫と言う、全く根拠の.無い安堵感を何故か持っている。

二日ほどして、アンテナ工事屋さんは来てくれた。屋根にハシゴをかけて、颯爽と登っていく。素人の私は『高所恐怖症』でもあるし、出来る事はと言えば精々ハシゴを支えるお手伝いをすることだ。

補修工事は30分程で完了した。すべてのチャンネルが綺麗に映ることを確認した。地上デジタル放送は多少の方向のズレでは映らなくなることは少ないらしい。ところがBSアンテナは少しの方向のズレで、すぐに映らなくなるとの事。

そこで聞いて見た。

「地上デジタルの電波は、何処から来るの?」

アンテナ屋さん曰く「スカイツリーからですよ!」

言われて見れば、成る程そうだったのかと思う。東京都墨田区押上1丁目のあの『東京スカイツリー』か!

残念ながらまだ一度も行ったことはない。昔、京成線の押上には仕事で良く行ったことがある。今では浅草の観音様のお参りに行く時に通る駅の一つだ。往時に比べて混雑の度合いが比較にならない程の人波。スカイツリーが出来てから、全く違う街になったようだ。年間に400万人以上の人が訪れる一大商業施設らしい。

でも、私は昭和32年、私が7歳の時に出来た『東京タワー』に哀愁と懐かしさと愛情を感じるのだ。

次に、「BSの電波はどの方向から来るの?」聞いて見た。

「BSの電波は、人工衛星から来ます!」

これもまた、「成る程そうだったのか〜!」と思う次第だ。

でも、昭和25年生まれの私には、どうもしっくり来ない。宇宙から電波が飛んで来るとはね。話の筋としては理解出来るが、どでかい金属で出来ている旅客機が空を飛ぶのと同じくらい不思議な現実だ。

ちなみに我が家の近所は古い家が多いので、アンテナはほとんどが屋根の上に設置してある。ところが最近の住宅は屋根の上ではなく、地デジアンテナもBSアンテナも建物の壁面に付けるタイプが主流となっているらしい。世の中どんどん変わって行くので、もう何がなんだか分からなくなりそうだ。芝公園の東京タワーが懐かしい。

台風15号が通過して翌々日の夜、今度は激しい落雷が30分ほど続いた。落雷のために瞬間停電も起きたくらいだ。

ピカピカゴロゴロドカーンだけで済んでくれれば良かったのだが、残念ながら電話が通じなくなった。

NTTの電話故障係りに電話をしてもお話中で全く通じない。二日間かけ続けてやっと話しが出来た。色々とNTTの係りの人の指示に従って電源や配線を抜き差しした結果、『無停電電源装置』なる器械がこわれたらしい。そのお陰でNTTの機材は無事であった。こわれた器械から線を外して、直接電源に繋いだ結果、電話・FAX・インターネットの全てが復旧した。Wi-Fiのルーターも雷の一撃で破壊されたようだが、近々、新しいものと交換しようと思う。あとBluetoothも不具合が出ているので、落雷でやられたかも知れない。落雷時にちょうど充電中であった。

雷サージ対策のコンセントやテレビアンテナの屋内設置対策など、色々自然災害に対する手段はあると思う。これは追い追いに実施するにしても、自分自身の命がいつまで持つかが問題だ。器械は新しくすれば問題無いが、この命はとっくに耐用年数が過ぎている。

中国の古い言葉に『命長多辱』と言う言葉がある。「命長ければ、辱(はじ)多し」、今でも生きている上で辱は多いけれども、何とか日々お陰様で暮らせている。人生100歳の時代と言われているが、私は出来れば適当な所で世を辞することが出来ればと密かに願っている。私のささやかで大切な志(こころざし)の一つでもある。