119.「葉桜と葉隠」

らんぞうです。

今年は気溫が低かったせいか、桜が隨分と長く咲いておりましたね。

花は散ったけれども「葉桜」の青々しさがことのほか眩しく感じますな。

さて先日のこと、新橋の例の安い飲み屋でいつものようにビールをせっせと摂取しておりましたところ、隣の席に新入社員とおぼしき男子数名、賑やかに盛り上がっております。

ワシらオッさんのしみったれた愚痴のお酒と違って、まだまだ学生のノリ!

うるさーいっ・・とも思いましたけれど、まさに葉桜のように元気な事この上なし。

羨ましいことでありますよ。

そんなハイテンションな彼らを見ていましたら、らんぞう ○十年前の若かりし新入社員時代に想いは飛んでいきました…。

当時配屬されたのは地方の営業所。

数人しか社員のいない中で、新入社員は自分一人だけ・・。

社会人生活の始まりとしてはかなり寂しいスタートでしたよ。

当時はもちろん、今のように過重労働やコンプライアンスが問題になる時代ではありません。

土日も深夜も関係なし!もちろん残業代など一円も貰えんかったとですよ。

倒れても這ってでも働けー!的な感じで、まじで超ブラックやん!

当時のらんぞう、まさに馬車馬の如く健気に働いておりましたなー・・。(泣)

実は当時のらんぞう、対人恐怖症でありました。(今もだけど)

赤面症と吃音に悩んでおりましたよ…。

マジでコンプレックスでしたわ。

何せ対人恐怖症の営業マン、成績は良いわけなし。

毎日毎日、得意先と上司からの説教&罵倒三昧のツラーイ日々でこざった。

どんどん出世していく同期達を尻目に、いつも劣等感に苛まれながら、らんぞうのうらぶれたハートはいつもdukkha(苦)にまみれておりましたよ。

(なんでこんなクラい話してるんやろ・・)

そんならんぞう、たまの休みには逃げ込むように山に登っておりました。

でも山に入っても1人・・。

テントの中で、風の音で消え入りそうなトランジスタ ラヂオの声を聴きながら、ぽつねんと膝を抱えて幾多の眠れぬ夜を過ごしたことでございますよ。(うわ~っ)

らんぞう若き日々にこんな毎日を送ってしまいましたもので、おかげでキッチリとこんな不良中年と相成りましてございますよ。(笑えませんな)

おそらくさっき飲み屋の彼等のようにキラキラした社会人生活をスタートしている人ばかりではないでしょうな。

当時のらんぞうと同じように、ウツウツとした青春を送っている若者も実は沢山おるのではないでしょうかね。

しかし心配ご無用!捨てる神あれば拾う神あり!

捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ。

弱点を素直に自分自身に受け入れて、開き直ってからのらんぞう、

劇的V字回復ストーリーはまたいずれの日に!(えーと・・そんな大したことではないです。)

という事で、当時のらんぞうに読ませたかった、心に残る書をご紹介!

◎「葉隠」(はがくれ)

「武士道といふは、死ぬ事と見つけたり」で有名な江戸時代中期、武士道の書。肥前(佐賀)鍋島氏の家臣山本常朝さん(たぶん頑固ジジイ?)のつぶやき。

「若き內に立身して御用に立つは、のうぢなきものなり。発明の生れつきにても、器量熟せず、人も請け取らぬなり。五十ばかりより、そろそろ仕上げたるがよきなり。その內は諸人の目に立身遅きと思ふ程なるが、のうぢあるなり。…」

・・・「出世は遅いくらいが良いのよ!50過ぎてくらいからが、ちょうどええっ!」

という意味ですな。

うむ。分かってますね!山本のジイさん!うん!

他にもこんなんもありました。

「大酒にて後れを取りたる人数多なり。別して残念の事なり。」

はいっ!現代語に訳すまでもなし。気をつけまーす!

この「葉隠」という書物、最近流行りのジェンダー論的(衆道)な話も出てきますが、リアルに生々しいのでここでは触れませんよ。

さて最後にもうひとつ!

「若侍供の出會の話に金銀の噂、損得の考、内證事の話、衣装の吟味、色戀の雑談計りにて、此の事なければ、一座しまぬ様に相聞こえ候。是非なき風俗に成行き候。・・」

・・・まったく最近の若いやつらときたら、お金とか服とか女子の話ばっかりで、どーしよーもないなー(怒)

とまぁ、若者とそれに愚痴をいうおじさん達。

現代も300年前も変わらぬものでありますなぁ・・。

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今年は改元もあって巷ではGW10連休。季節も良いし、山とかキャンプとかに行きたいなぁ・・・と思って書きだしたこのつぶやき、当初の意図とは大幅に変わってダークな方向に行ってしまいましたよ。

でも、まぁチョットだけ話を盛ったかもしれないです・・・!すませんっ!

らんぞう