らんぞうです。
結果はともかく(汗)大会も無事終了し、ホッとしている今日この頃。
套路練習にあてていました早朝の「ZAZEN TIME」をまた復活して、暑いながらも穏やかな朝のひと時を楽しんでおりますよ。
暑さを感じつつもゆっくりと呼吸を味わいながら、肌に触れる微細な風を感じておりますと、そこからスーッと涼しげな空間が広がりはじめます。
それがふわっと体を包み込みこんでとても良い心持ちになってまいります。
やがてココロに不規則に浮かんでは消える思考の波を追いかけ始めますと「暑さ」をフックにして昔の記憶にアクセス、過去の夏の思い出が蘇ってまいりましたよ。
らんぞう、今から十数年ほど前にいっとき「ムシ」に取り憑かれていた時期がありました。
いわゆるカブトムシ・クワガタの「ブリード」(繁殖)にハマッておりましたよ。
当時、転勤先での仕事に行き詰まっていたらんぞう、とある夏のキャンプ場で子供達と捕ったミヤマクワガタ。こいつがらんぞうのムシ魂に火をつけましたよ!
これをきっかけにして国産クワガタからレア物へ、そして外国産ドでかムシの繁殖へと、今思えば仕事のストレスから逃れるためだったのでしょう、ココロのコントロール方法など知らない当時のらんぞう、どんどんエスカレートしていきました。
先ずブリードの基本は「オオクワガタ」、過去には大きさによって100万円を越える値段がついたとか、別名「黒いダイヤ」とも言われておりましたね。
大クワ、半端ないって!
しかし規制緩和によって外来種が輸入されますと、大きさでは海外勢に勝てない国産オオクワくん、市場価格は大幅に下落。
まあそれでも大きさによっては一頭5,000円位の値がついておりましたな。
(カブクワ生体は“匹”ではなく“頭“で数えます)
当時夏場は毎週金曜日、会社が終わりますと福島、栃木の山奥に入っては、ポイントにトラップ(バナナの焼酎漬け!)を仕掛けたり、林道の外灯下をグルグル見回ったりしながらWILD(野生)大物を狙います。
あるいは伝説の「ブリード・マスター」蟲師(むしし)(誰?)に教えを請うて、繁殖のコツを伝授。
我が家のムシ数は無視できないほど急速に増加、多種多様のカブクワで一時期は幼虫・成虫を合わせて400頭くらいまでになり、もはやムシ部屋と化した寝室は完全に異空間。
しょっちゅう脱走するやんちゃクワガタをタンスの裏で発見、保護したりと、誠にガサガサと賑やかなムシ天国(地獄?)になっておりましたよ。
ある時、部屋に入ると天井が真っ黒に・・。
うわ!天井全体にコバエが大量発生! コバエも家族のバッシングも半端ないって!
またある熱帯夜、ふと・・ムシの知らせか?何やら悪い予感。
おそるおそるムシたちの様子を見てみたところ、なんと!卵から手塩にかけて育てた可愛いオオクワ(女子)20頭が全部ひっくり返って動かない!まさかこの暑さでみんな逝ってしまったのかぁー?ごめんよー!
蒼くなって慌ててエアコンの冷風で冷やしてみましたところ、おおっ、一斉にワサワサと動き始めてくれました。やれやれ、ホッといたしましたよ。
さて当時育てたカブクワの中でもダントツに圧巻だったのは「ヘラクレスオオカブト」
世界最大級のカブトムシです。
体長が150mm位になるオス♂、見事に伸びたツノにはフワフワの前髪が生えていて、湿度や空腹さによって背中の色が変わるのも魅力。
血統のいい幼虫5頭を入手、一頭ずつプラケースで大事に飼育します。
はじめは直径1cmに満たなかった小さな幼虫くんたちも高級特製腐葉マットをモサモサ食べて、見る見るうちにどんどん大きくなっていきます。
幼虫最大時には手のひらに乗せると、ほぼローソン塩ムスビ位の大きさに成長します。
どうみても客観的にはキモイんだけれど、そこは手塩にかけておりますので(おムスビなだけに・・)可愛い事この上なし。ヨシヨシ。
ほどなくサナギになったヘラヘラ君たち(学名:Dynastes hercules hercules通称ヘラヘラ)が快適に過ごせるようにガーデニンググッズで楕円形の蛹室(サナギ部屋)を作ってあげます。これで寝返りしてもOK。
つねに霧吹きで水分を切らさず、体の色が薄い茶色が黒くなって、やがて羽化するのを心待ちにしております。
そんなある時、サナギ♂一頭の長いツノが途中でポキリと折れていて、なんと中から水分が流れ出しているのを発見!どうやら寝返りの時にツノを引っ掛けたらしいのです。
クネクネ動くたびにピューピュー吹き出る液体に、どうしたらよいかわからず考えたあげく、とりあえず折れた部分をゆっくり戻して、クルクルとバンドエイドで巻いて様子を見ることにしましたよ。だいじょうぶか?ヘラ太郎!
やがてらんぞうの献身的な看護の甲斐あって、♂2頭、♀2頭は無事に成虫になりました!
心配していたツノの折れたヘラ太郎も今や立派なツノに前髪フサフサな凛々しいイケカブトになりましたよ。トーサンさん嬉しいよ!
・・そんな楽しい「ムシライフ」もやがて終わりはやってまいります。
とある夏の日、子供が喘息で入院してしまいました。問診でアレルギーの原因究明。
「何かお家で動物を飼ってる?」(お医者さん)
「カブトとクワガタがいっぱいいるー!」(子供)
「あー、それだー・・!」(アホ医者!)
えっ、まじですか。カブクワのせいですか。空気清浄機だってつけてたんですけど・・。
・・やっぱダメですか・・。 _| ̄|○ ガクッ
泣く泣く我が家の数百頭全部を里親に出すことに・・。
特にあの「ヘラ太郎、ヘラ男、ヘラ美、ベッキー」の4兄弟との別れは切なかったけれど、ナンと、里親(マニア)から一頭○万円で引き取ってもらえることになりました!
・・そこそこ儲かったなーなどと密かにほくそ笑んでおったのですが、息子の入院の責任!ということで、結局売れた全額をお代官様に没収されてしまいました・・・。
はぁ~っ・・“夏虫や 兵どもが 夢の跡”
その後はムシさんとはスッパリ縁を切りましたよ。
そしてこの黒歴史はアホな一つの記憶としてココロの奥の方に封印されました。
思えばムシさんたちにも申し訳ないことをいたしました。
ムシだって生きとし生けるもの、人間の趣味や都合の為に生きているわけではありませんからね。本当にごめんなさい。
暑い最中のZAZEN中に頭に浮かんだ過去の思い出・・。
えーでも、これって、ただの雑念じゃね?
・・さーて今日も暑かったし、今夜も水分(泡アリ)補給しなきゃだしね。
(らんぞう)