第十八回 加藤修三の 『太極拳レベルアップ講座』

【手法、身法、歩法と四字熟語】

今までは歩法・手法・身法を中心に解説して来ました。

今回は、手法、身法、歩法と絡げる為にはどのようにすれば良いか、関連する四文字熟語を通して練習して見ましょう。

『虚実分明』

虚実をはっきりと分ける。言葉の意味そのままですが、虚と実は動きの中にも、型の中にも存在し、太極拳動作を考える為には、大変重要です。身体的には上虚下実と言われ、上半身は虚であり、下半身は実である事です。掌も掌指は虚であり、掌心部は実です。腕全体も肘を支点に、肘から上肩までは実であり、肘から手首先は虚となります。動作の中では重心移動に伴う軸脚の実、反対の脚の虚、非常にはっきりしているので、虚実を理解するには、一番分り易い動作でしょう。手法に於ける虚実は、動作の内容、目的を表すのに大変重要であり、虚実を取り違えて、正しく動作をする事は出来ません。手法の開合の内容に依り、胸、背部にも虚実・開合が表れます。動作練習の中でも、虚と実の転換は常に意識して行なう事が大切です。

『双手協調』

実の掌を動かせば、虚の掌に動きは伝わります。双手協調と言われる状態です。実の手の動きは肩から胸、背を通して虚の手に絡がると考えている人は、案外多くいます。

実の働きをする手首、肘、肩が動く手法内容は肩の動きが胸・背に絡がり、腰にゆるみとして絡がり、胯関節、膝、足首を通して足裏に達します。上方から降りてきた負荷は重さとして足裏に降りて来て、降りて来た重さの負荷は勁力として、足裏、足首、膝、胯関節、腰、背、肩と戻って来ます。実の手の動きから始まった動きは、足裏まで降りてから戻って来て、初めて虚の手に動きが伝わります。

双手協調と言うのは、単純に左右の手が絡がるのでは無く、全身の絡がり、協調から生まれるものなのです。双手協調は全ての動作の、協調の元になるものです。

『一動全動』

太極拳の運動は、身体の一ヶ所が動く時、その動きは全身の動きとして表れると言う事です。と言っても、身体の絡がりを無視して全動は起きません。自分の身を守るのが武術であれば、一瞬の内に意が働き、全身の絡がりが生まれる筈です。しかし、手法が身法に絡がり、歩法の変化を造り出す為には、まず立身中正と言う太極拳運動の根幹に有る条件を満たす事が必要です。

“沈肩墜肘”、“含胸抜背” 、“松腰松胯”、“尾閭中正”、最後に下方に沈んだ負荷が上方に勁力で登って来て“虚灵頂勁”が生じて立身中正です。

首筋を上方に伸ばそうとしたり、アゴを引いたりしても、立身中正の状態は生まれません。

“一動全動” 私は、“一意全動”がよりぴったり来ると思っています。

歩法の“A・B・B+”。手法の前面系・側面系の条件。

それらの基本を大事に繰り返す練習が大切です。私自身の造語や説明の入り方などに違和感が有るかも知れませんが、どんどん質問をして下さい。

受けた講習で生まれた疑問は、遠慮なく質問して下さい。

?“クエッションマーク”を持ち帰らない様にしましょう。

2013年8月3日 加藤 修三