「武術家が唸る指導者」

剛柔流空手道七段 師範

星野 青宇

私が剛柔流空手道の修行を始めてから凡そ49年目を迎えようとしています。武術家としては凡庸で、どちらかと云えば不器用な方であったと思います。『何故ここまで続けて来れたのか?』自問してみると、『それはやはり恩師のお陰だ!』と云う心の答えが返ってきます。自分もそれなりに頑張って来たが、やはり恩師の導きが無ければ此処まで来れなかった。素直にそう思います。

太極拳の世界でも、加藤修三先生のような方を師として選ばれた人は、中々の目利きと云えるでしょう。全くの素人が偶然生徒になれたとしたら、何とした幸運でしょう。我々プロの武術家から見ると、一般の太極拳指導者の太極拳と加藤修三先生の太極拳は全く違います。套路の美しさ、定式の見事さ、勁の充実、理論の確かさ等々。そして決定的な違いは、加藤先生の太極拳は武術として実際に使えると云う事です。全てを通して使えます。武術を長年やっていると、眼には見えないものが見えて来ます。一般の方には考えられないでしょうが、ある一定以上の腕が有れば必ず見えます。その眼をもって世の中を見渡せば、加藤先生の太極拳は光輝く本物です。中国の著名な老師が『加藤先生は日本で一番の太極拳指導者だ。』と云われたそうですが、私も武術家として『その通り。』だと思います。

吉田松陰先生の遺訓に『妄(みだ)りに人を師とするべからず、真に学ぶもの在りて師とすべし。』『妄(みだ)りに人の師となるべからず、真に教ゆるべきもの在りて師となるべし。』とありますが、正に加藤修三先生の太極拳は『真に学ぶもの在り』『真に教ゆるべきもの在り』の太極拳です。世に軽佻浮華な太極拳が流行する中、『武術家がうなる見事な指導者』として、心から加藤修三先生を推薦する次第です。

剛柔流空手道七段 師範 星野青宇