「動作規格」
①身体は真南に向け、足幅は肩幅で左右平行にします。
②持剣
剣首を下方に虎口を開き人差し指を下方に剣把(チェンパ)を親指と中指、薬指、小指で掴み、人差し指の腹部分で剣把(チェンパ)押え掌心に剣把(チェンパ)を当てる。
③剣指
右手剣指は人差し指と中指を揃えて真直ぐ伸ばし下方に向け、親指腹を使って内側に折り曲げた薬指と小指の爪の部分をしっかりと押える。
「動作要領と注意点」
①32式太極剣の動作には、正式には開歩の動作が含まれません。最初から肩幅に開いたところから始めますが、一般的な太極拳では開歩の動作が入ります。昔は開立歩から始める事は当たり前だったそうですが、多勢の人が一緒に動作を行う事が増えたり、大会等で始まりからの時間の計測などが必要になり、開歩の動作が取り入れられたのだとも聞いています。
②持剣の注意は手首の力を抜き、剣把(チェンパ)と手首内側を浮かせてしまわないように注意しましょう。剣首(チェンショウ)の位置を極力下げて、左手指先で軽く引掛けるように浅く持ち、最初の動作“並歩点剣”の際に、右手虎口に軽く深く当てられる様にします。
③剣指は剣の動作の中で大切な役割を持っています。人差し指と中指を自然に伸ばし、離す事なく左右にずらさず、きちんと作る習慣を付けるように練習します。
④32式太極剣の起勢動作は6種類の動作によって構成されています。一つ一つの動作を明確に行う事がとても大切です。
⑤-①“両臂前挙(リャンビーチェンチー)”
剣指を作った右手と剣を持った左手、各自の速度に合わせて両肩を沈める事で身体前方(南方向)に張り出し、両手首を肩の高さに合わせます。眼法は真南に合わせます。
⑤-②“転体屈蹲(ヂュワンティーチートゥン)”
右脚跨の“Aの動作”で体重を右脚に移動させ、同時に右手剣指は小指側の外旋で右跨傍から弧を画き手首を右肩前に合わせ、右斜め45°方向(南西45°)に、左手は小指側の内旋で左肩前から身体の正中線に手首の位置を合わせます。左足は軽く右脚に寄せます。眼法は右剣指を通して右斜め45°(南西45°)に合わせます。
⑤-③“弓歩前指(ゴンブーチェンヂー)”
身体を左に廻しながら左脚を真東45°に上歩し、左手は身体の動きに合わせて身体正中線に沿って下方に押え、右剣指は指先を右耳方向に合わせて肘を曲げます。剣は剣尖(チェンチン)を真上に向け、膝前を払うように左腰横に動かします。重心を更に左脚に移行し左弓歩を作り、剣指は軽く手首を曲げ、指先を東方向に向けます。右足踵は重心の移動に伴い蹴り出して左弓歩になります。眼法は剣指を通して真東に合わせます。
⑤-④“盖歩穿剣(ガイブーチュワンヂェン)”
左弓歩からやや左脚に重心を移し、右足先は外に開き(土踏まずを身体の中心線に合わせる)右足踵を着地させます。右手剣指は外旋して掌心を上向きにし、左腕は胸前に持ち上げて右の下腕の上を通して前へ差し出す(掌心下向き)。両腕は胸前で交差しながら、左手は前に、右手は下ろして開き始めます。
身体をわずかに左に廻した後、両脚中間点に重心を置き、胸向きを東南45°に合わせます。
⑤-⑤“転体坐盤展臂(ヂュワンティーゾウバンジャンビー)”
右剣指を人差し指の外旋で掌心を上向きに変化させながら、右跨脇から右肩を開きながら上方に挙げ、斜め後方(南西45°位)に手首を肩の前に収め、左手の東方向への突き込みに協調させます。胸向きは東南45°位に収めます。左弓歩から盖歩への歩型の変化の際に、大きな起伏を起こさない様に注意しましょう。腰は少し落として、歩型は半坐盤になります。
⑤-⑥“弓歩接剣(ゴンブーヂェヂェン)”
左足を一歩進めながら、斜め後方に開いた右手を肘を曲げながら指先を右耳傍に合わせ、更に東方向肩前に虎口を充分に開き、左手首に軽く合わせて左手から右手に剣把(チェンパ)を握り変えます(接剣ヂェヂェン)。右手で剣を握る時に、左手を胸前に近づけ過ぎない様に出来るだけ小さい動きで行い、左弓歩と接剣(ヂェヂェン)の動きは一致させましょう。