‪第十四回「右攬雀尾から単鞭」‬

「動作規格」

①右攬雀尾の前按から左肩を開き、左方向、南東45°位の位置に掌心を外向きで開く。右掌は下方に下げ、左脚への重心移動に合わせて右足先を扣脚する。左脚の重心移動が完了した時に、左掌は掌心外向き南東45°、手首は肩の高さとなる。右掌は掌心を内向きにし、正中線上腹部の前に収める。

②左掌は肩を沈めて下方に押さえ、右掌が左掌の動きに協調して、腹部前から胸前に上がり、左掌と右掌が胸前に水平の状態になる。

③右掌は胸前、前方に内側から膨らむように張り始める。この右掌の動きで、右脚への重心の移行が始まる。右掌の手首は肩の高さに上がり、重心が左脚と右脚の中間点に達した時、腰向きは南に向く。

④更に重心は右脚に移動し、右胯関節にAの運動が起き、右掌は橈骨側の内旋で、掌心は右斜め南西方向の前方に向く。

⑤右掌の指先を揃え、手首を曲げて鉤手を作る。同時に腹部前の左掌は、掌心内向きで胸前正中線に合わせて上げる。この動作で、右胯関節にB+の運動が起きて、左脚は右軸脚の横に収脚する。眼の方向は南正面。

⑥左掌は胸前で膨らむように張り続け、目線が南東方向に移動する時に、右脚股関節にB+の運動が起き、腰向き南東45°となり、東に向けて左脚を上歩する。

⑦左脚の上歩時、左掌は正中線に合わせた状態を保つ。右脚から重心が移動を始め、両脚の中間点を過ぎた左脚に重心がかかり始める時に、左掌は開き始めて、左弓歩になる時に内旋させ、掌心を東南方向斜めに向け、右脚踵を蹴り出し、単鞭の動作を完成させる。

「動作要領と注意点」

⑴ ①について動作の始まりから扣脚までを、正確にする為には、攬雀尾の転身の際の扣脚と同じように、左肩を開く際に腰をゆるめる時、右弓歩の軸脚の状態は腰のゆるみと同時に全面着地の右軸脚の状態を右踵に重心を集めて行きます。脚面にかかる重心を踵に点として集める事が重要です。扣脚をする際の大事な事は、要領として眼・身・歩の運動の根幹の動作として行なわれなくてはなりません。扣脚が不足していても、定式時の蹴り出しで修正すれば良しとするような事は避けなくてはなりません。

単鞭の手法は雲手であると言う事は、多くの人が理解をしていますが、実際の単鞭の動作で意識をしている人は、少ないのではないでしょうか。鉤手を作るまでは、雲手の手法と全く同様でなくてはいけません。

⑵ 鉤手を作って単鞭に移行しようとしない事です。攬雀尾からの転身の動作で、左脚への重心移動から右脚への重心移動の際に、単鞭の動作に入るのではなく、雲手の内容を考えて動作をしなくてはなりません。これは雲手の動作が完了した後の、二回目の単鞭にも言える事です。

⑶ ⑤の動作で胸前に上げた左掌は、左に身体を廻し、上歩する時に胸前で張り続ける事が大切です。胸前から張り続ける左掌が、正中線から外れるタイミングは、右脚から左脚に重心が移行する両脚の中間点を越える時から始まり、左掌の内旋もこの後に起こします。

単鞭の定式時には、右脚踵の蹴り出しも自然に生まれるように、特に左掌の動作に充分な注意を払うべきだと思います。