第十八回 「高探馬から右蹬脚」

「動作規格」

① 高探馬の定式から右肩を開き右掌をやや右方向に引く。右脚胯関節はAの運動が起きる。

② 左掌を右前腕部内側に差し込む。掌心上向き、この動作で右脚胯関節にB⁺の運動が起き左脚は右脚軸に寄る。

③ 差し込んだ左掌を橈骨側で内旋させながら目線を東北30°方向に向け、右胯関節にB⁺の運動を起こし左脚東北30°方向に上歩し、踵を着地させる。両掌心は外向き。

④ 両掌を分け開き始め、目線は右蹬脚の方向東南30°方向に向ける。左弓歩の完成と同時に東南30°方向に開く両掌手首の高さは肩の高さ。

⑤ 分け開いた右掌を見ながら下方に押え始め、目線を水平に左軸脚先左方向に向ける(北方向)。下げ始めた両掌は肩の高さから45°位下げた所から、肘を張りながら指先を身体の中心に合わせ続ける。左脚胯関節にAの運動が起き、右脚踵が上がる。

⑥ 両掌を身体の中心に合せ続け、右掌を左掌の内側に、両掌手首を交差させる。この時左脚胯関節にB⁺の運動が起き、体軸が左脚に乗る。

⑦ 腹前で交差した両掌は尺骨側を使って外旋させながら、掌心内向きに胸前に上げる。この動作で掌手首と同時に膝を引き上げて左独立歩を完了させる。目線は合わせた両掌手首方向に向ける。

⑧ 目線を東南30°方向に向け、同時に右胯関節も開き、蹴り出す方向に合せる。

⑨ 胸前に交差させた両掌を胸の中心から開き始め、右脚・足首をつま先を上げる様に曲げて、蹴り出す準備をする。

⑩ 両掌を分けると同時に右脚を蹴り出し、踵に力点を意識して右蹬脚を完了させる。

「動作の要領と注意点」

1. ①、②の動作では肩を開く事をせず、最初から左掌を差し込む人が多くみられます。肩を開く事で腰をゆるめ、左膝が前方に張り出され円襠が強まります。それにより、その後の左掌の差し込みで左脚も引き寄せるのでは無く寄って来ます。

2. ③の動作では左掌の内旋で右胯関節のB⁺の動作をはっきり作り、東北30°に上歩ます。その時、左脚が右脚と交差してしまったり、適切な横幅が取れないと安定した独立歩を作る事が出来ません。過渡動作であっても弓歩の歩型は正しく作る事は大切な事です。

3. ⑤の動作では下方に押えながらの手法です。両肘関節を伸ばした状態で交差させると脇がつまり、胸前に挙げた時に、胸前が詰まり、独立歩を安定させる事が出来ません。

4. 独立歩で立ち上がり右膝を引き上げたら、胸前に交差させた両掌をわずかに内旋させ、肩を沈め、腰をゆるめ、上方に上がった気を落し、独立歩を安定させます。

5. 右脚を蹴り出す時は、立ち上がる時に吸った息を軽く吐いて息を止めて蹴り終わる迄この状態を保ちます。蹴り終わったら自然呼吸に戻しましょう。

6. 右脚は各自の体力、能力に合せて高さも決めましょう。一般的な動作規格では蹴り出した踵は胯関節より上にとありますが、各自の能力に合わせましょう。しかし目線・右掌と右脚は必ず同じ方向に合せます。膝関節は伸ばし足首は曲げて、踵に勁点を合わせましょう。