第十五回「単鞭から雲手・単鞭」

「動作規格」

① 単鞭の定式から左掌を肩の高さから胸の高さ位に下方へ下げる。

② 左掌を胸の高さからやや内旋させながら、掌心を身体に向け腹前に降ろし、左脚先を南方向へ扣脚し、右鉤手をゆるめる。

③ 重心が右脚に移り始め鉤手は掌に変え、右斜め 45°位に掌心を向け張り出す。腹前に降りた左掌は重心の移動に合せて右掌が右斜め方向に張り出す時に腹部前の正中線に合せる。雲手の始まりの手型を作る。

左雲手

① 右掌の掌心を下方に向けて押えるこの動作で左掌は外旋しながら上がり始め、右掌と左掌はほぼ水平に並ぶ。

② 左掌を胸前・前方に張り始め右脚から重心の移動が始まり肘の位置を変えずに左掌を上方へ。手首を肩の高さに上げ、前腕を 45°位の角度に合せる。移動を始めた重心は両脚の中間点に達し、腰向きは南方向に向く。

③ 左掌は前方に張り続け、重心が左脚に移り、正中線と共に移行した左掌は橈骨側を使って内旋させ南東方向に張り出す。右掌は左掌の動きに合わせ左に移行し、腹部前の正中線に合わさる。同時に右脚は左脚近くに脚先を着地させる。

右雲手

①左掌の掌心を下方に向けて押える。この動作で右掌は外旋し始め、左掌と右掌はほぼ水平に並ぶ。

② 右掌は胸前・前方に張り始め左脚から重心の移動が始まり、肘の位置を変えずに右掌と上方手首を肩の高さに上げ、前腕を 45°位の角度に合せる。移動を始めた重心は両脚の中間点に達して右踵は着地し、腰向きは南方向に向く。右掌は前方に張り続け、重心が右脚に移り、正中線と共に移行した右掌は橈骨側を使って内旋させ南西方向に張り出す。

③ 左掌は右掌の動きに合わせ右に移行し、腹部前正中線に合わさる。左雲手で左脚近くに脚先を着地させた右脚は左脚からの重心の移動に合せて両脚の中間点に達した時、踵が着地、一瞬全面着地となる。更に右脚への重心移動で左脚踵は床面から離れる。

套路の中での雲手は全体で左雲手と云われます。ここでは左に動く雲手を左雲手と、右に向かっての動 作を右雲手と分けて説明しました。套路の中では右脚を左脚近くに寄せる回数で三回と数えます。

「動作要領と注意点」 ―その１―

① 単鞭の定式から雲手に移行する時の手法は、左掌を下方に押えて始まりますが、弧線を画く様に腹部前を通り、南西に向けた上体の正中線に合せる事。重心が中間点に達し、鉤手はゆるやかに解いて、掌に変えます。重心が右脚に移行してから急に開いたりしない事です。

② 左攬雀尾から右攬雀尾への移行の際に左脚先扣脚の歩法がありましたが、単鞭から雲手への移行にも扣脚動作があります。ここでも同様に左脚先の扣脚動作があります。

③ 扣脚は動作の方向の変化の際には必ず表われる動作です。弓歩型からの扣脚要領は皆同じです。定式から次の動作に移行し始める時、手法の変化が腰をゆるめます。この腰のゆるみは重心を両脚中間点に移します。重心の移行に合せて弓歩前脚の全面着地した足裏を踵に集めます。負荷が無くなった脚先は先行する眼法にあわせて、腰向きの変化と同時に脚先に扣脚の変化が表われます。

④ 扣脚の要領は腰をゆるめると同時に前脚踵に重心を集め、眼法が先行します。 90°の扣脚は眼の方向 135°で、この眼法に腰と同時に脚先が随って正確な扣脚が完成します。

搬攔捶では眼法は 180°です。

《続く》