第十三回「左攬雀尾から転身右攬雀尾」

「動作規格」

①左攬雀尾の前按から両掌の位置を変えずに、更に前方に推すと胸がゆるみ肩前が開き、両掌の真っ直ぐ上を向いていた人差し指が内側に倒れる。

② ①の動作で腰はゆるみ、体軸が両脚中間点に移行する。

③左掌は同じ場所に固定して、右掌を肩から開き始め、起勢と同じ南から見て南西方向45°に開く。この動作は眼法が先行し、右掌が開き始め左足先の扣脚に絡がり、左足先は起勢の方向と同じ南正面に向く。(転体分手)

④右前方45°に開いた右掌は、更に右方向に少し開き、引き続き下方にやや押さえる。右脚重心を中間に戻し、右掌は腹部前位に戻る。左脚が重心を移行するのに合わせ、左掌は肩の高さに移り左斜め前方に張る事で左脚胯関節にAの運動を起こし、身体の中心に戻って来た腹部前の右掌を尺骨側の外旋により、南方向正面に対して抱球収脚の状態になる。左脚AからB+の運動で、軸を作る抱球収脚が完成する。

「転身の注意点」

⑴按の動作から直接分手の動作に入ると、左軸脚が崩れ、右脚胯関節が詰まり、右膝が内側につぶれてしまいます。このような状態で、右脚に正しい重心移動をする事は出来ません。無理に重心の移動を行なえば、膝関節を痛めてしまいます。

⑵ ①の動作を行なっても分手動作を行なわずに、重心を右脚に移動させてしまう人がいますが、重心の移動の後に、分手動作を行なうと、重心の位置がずれて右足小指側に片寄り、足裏がねじれてしまいます。

⑶ ③の動作で分け開いた右掌を、45°方向から直接左方向に合わせようとすると、左脚への重心移動が、Aの運動を起こさなくなります。この為、左脚の重心移動が不正確になり、軸脚としての役割が果たせず、右脚の正確な上歩が出来ません。必ずやや右方向に開き、体軸がUターンする状態を作る事が重要です。右方向に身体を廻して、抱球収脚すれば、左軸脚の膝は内側につぶれます。特に注意したい動作です。

⑷抱球収脚の状態で、腰向きは南方向正面に向きます。左掌を少し下方に圧力をかけるようにして、抱球に内側から外に膨らみを感じながら、左脚のB+の股関節運動による膝の張出しによって、右方向に身体が開き、安定した右上歩動作へとつながります。

右攬雀尾

「動作規格」

①転身の動作が完了したら、右脚の上歩の着地と同時に、左掌の掌底に勁を集めます。左掌は右掌手首の内側を通して下方に押さえ、右掌の掤の動作を完了させます。

②以後の動作は、左攬雀尾の手法、歩法を反対に置き換える事で、右攬雀尾の動作を行なってください。