第二十九回「転身進歩搬攔捶から如封似閉」

「動作規格」

①転身進歩搬攔捶の定式から右拳を前方に突き込む様に少し伸ばし、同時に左掌を右肘下に差し込む。左足小さく「Aの動作」。

②突き込んだ右拳を引き戻し、同時に右肘下に差し込んだ左掌を尺骨側(小指の外旋)の外旋で掌心斜め上向き、左掌が右手首に達したら拳を解き掌に変える。左足「Bの動作」、掌に変えた両掌は左右横に膨らます様に張る。両掌心は内向き。

③張り続ける両掌で腰がゆるみ、重心は左足から右足に移行“后坐”。両掌は重心の移行にあわせて緩やかに胸前に引き寄せ、尺骨側の内旋で掌心を前面に向ける。

④両掌“掌根”に勁を意識して前面に按の動作。手首を肩の高さに合わせる。前按の動作に合わせて左弓歩となり、如封似閉の定式となる。

「動作の要領と注意点」

① 動作規格①の項目で特に注意したいのは、始まりの動作で左掌を右肘下に差し込む動作から始めてしまう事です。進歩搬攔捶の定式は、右拳が実の動作です。総ての動作の始まりは、前の動作の実の手から始めなくては成りません。右拳を前方に張り出す動作に合わせて、左掌を肘下に差し込む事から始める事が肝要です。この右拳の動作で左足に「Aの動作」が生まれます。

②引き続き右拳を引いて、左掌が前方に張り出され、右拳を掌に変える時一度掌心を上向きにして、両掌の橈骨側の内旋で外側に張り出しますが、胸前で両掌の内旋動作までしっかり張り続ける事で腰をゆるめます。この腰のゆるみが正確な后坐動作を生み出してくれます。

③胸前に引き寄せた両掌の次の動作は前按です。攬雀尾の動作のように下按をする内容はありません。両掌の内旋の際に、両掌がやや下方に下がりますが、下按の意識は不用です。