第二十三回「左下勢独立から転身右下勢独立」

「動作規格」

①左下勢独立の定式から、右手挑掌を前方に張り、腰をゆるめて右脚を自然に降ろし、足先を着地させる。

②右足先を着地させ、左脚前足底(足指の付け根)を軸にして踵を引込む(蹍脚ニェンジャオ)。足先の方向は南東45°~30°位に合わせる。

③ ②の下半身の動作に合わせて、左掌は鉤手に変えて左肩前(足先と同方向南東45°~30°)に挙げる。同時に右掌はわずかに外旋させながら肩前を通り、左胸前で指先を左鉤手の手首方向に合わせる。右掌手首の位置は、正中線に合わせる。眼線もしっかりと左鉤手方向に合わせる。

④左鉤手を張り出しながら腰をゆるめて下げ、右足首を引き上げる(提脚ティージャオ)。

⑤引き上げた右脚を、西方向に開歩。足先着地。

⑤の動作以後は、左下勢独立の左、右を置き換えて同じ動作を行なう。

「動作の要領と注意点」

①左下勢独立の定式から、右足先を降ろす時に、降ろす位置を足先で探してはいけません。

提膝で引き上げた足先の状態そのまま、自然に降ろしましょう。

②左足踵を引き入れる時には、右脚に少し重心を移行して、左踵の動きを軽くする事は問題ありません。

但し、踵を入れる時に重心を浮かせて入れる事はよく有りません。

③踵を引き入れて、足先を南東45°~30°に合わせる動作は、眼法、眼線が作り出します。右足先を降ろして転身の動作に入る時に、一番先行して動くのは眼線です。45°の左足先の方向を決めるのは眼法です。南東45°を求める時には、先行する眼線を南東45°に合わせる事で、左足先の方向を定める事が出来ます。同様に30°の足先を求めたい時には、南東30°に眼線を合わせてください。

太極拳の根幹の動きは、眼、手、身、歩の絡がりに有ります。この様な動作を体感する事はとても大事な事なのです。

④右脚を張り出す(開歩)歩法は、相手に攻め込む歩法です。足首を引き上げる(提脚ティージャオ)は、軽快さと迅速さの表現です。足先を接地している状態から開歩をしてはいけません。だだ、混同してはいけないのは、提脚と提膝。提脚(ティージャオ)と提膝(ティーシー)の区別は、はっきりさせましょう。独立歩を作る時に、使うのは膝頭を引き上げる提膝です。

“剣の套路の中には、活性の有る剣法を表現する為に、提脚の歩法が使われる事が多くあります。”

⑤簡化二十四式太極拳の五組と六組では、上がる下がるの上下の大きな変化で構成されています。

四組までの太極拳動作は、基本歩型、歩法、手型、手法が組み入れられています。

五組、六組と上下動の大きな動きの中で、体力を強化する流れになっています。この後の、七組、八組は、少し難度の高い手法、歩法を合わせて技術力のアップを図る構成です。