第二十一回「双峰貫耳から左蹬脚」

「動作規格」

①双峰貫耳の定式から、両拳をゆるめて腰をゆるめる。

②双峰貫耳の定式方向(東南30°位)にあった目線を北西30°方向に向け始め、同時にゆるめ始めた両拳を掌に変えて分け開く、右脚に在った重心は左脚に移行し、右脚先を北東30°方向に入れ込む(扣脚)。

③眼法と分け開いた掌は北西30°に合わせ、左脚への重心移動は70%位。

④分け開いた左掌を身体の中心に向けて引込むように、下方に引き合わせ始め、同時に重心は左脚から右脚先に移行し始め、右脚にAの動作で腰向きは右脚先から外側30°から45°位に向ける。

⑤右脚にB+の動作で、軸脚を完成させる。同時に引き合わせた両掌は、右掌の内側に左掌を入れ、交差させ掌心を内に向ける。

⑥交差させた両掌を尺骨側の外旋で、掌心を内向き状態で胸前に引き上げる。手首の上方への移動と左脚の引き寄せ、提膝動作を同時に行なう。

⑦ ②の動作で向けた目線、左掌と同じ方向に向けて、左踵に勁点を意識して蹴り出し、同時に左掌も分け開き始め左脚と同じ方向に分け開く。手首は肩の高さに合わせ、左蹬脚の完了型となる。

「動作の要領と注意点」

❶拳を作る時、最後に収めるのは親指です。拳を解く時は、親指・人差し指の順にゆるめて行きます。

“握拳” 拳を作るのは、手法の会わせる動作と同じ。解く時は、手法の開く動作と同じです。手法の“開”の状態が続いている内に握ってはいけません。拳を使っての手法では、“開”の手法、“合”の手法の一番先に表れるのは拳の“開合”です。

❷転身の動作で一番先に使うのは“眼法”。眼の動きです。常に太極拳の動作は、眼法・身法・歩法の順に動作が絡がる事が重要です。

❸“腿法” 左蹬脚の方向、北西30°の方向を正しく守りましょう。眼法の方向が曖昧だと、定められた方向が不十分になってしまいます。

❹左蹬脚の右脚軸を安定したものにする為には、右脚胯関節AとB+の動作を行なってください。

❺この右脚軸を作るのに、右脚への重心移動をB+で行なう人が多くいますが、左脚から右脚への重心移動には、左掌で相手を引込む内容があります。B+の動作だけで軸を作ると、手法の内容が失われてしまいます。

❻左右の蹬脚は、蹴る動作を考える以前に、軸脚の完成度を上げる事を第一に考えましょう。