第三十一回「十字手から収勢」

「動作規格」

①十字手の定式から組み合わせた両掌を、「人差し指の内旋」(橈骨側)で両掌心を下方に向ける。

②左掌の掌心で、右掌の掌背を払う様に横に開き、両掌の手首を両肩前に置く。

③両掌掌根に意識を置き、下方に押さえ始め、両掌手首の位置を左右両跨関節前に収める。両掌坐腕、掌心床面と平行に合わせる。

④両掌坐腕を解いて指先を下方に降ろし、収勢動作を完了させる。

動作の要領と注意点」

①収勢の動作では、両掌がほぼ同じ動作で行ないます。両掌の内旋、両肩前に開く、跨関節まえに降ろす、と左右の違いがあっても両掌の動きは同じです。両掌に虚実の意識は必要ですが、あまり強く表現する必要はないでしょう。

②両肩前に合わせた両掌は、前方に張り続ければ両肩は“0”になり、下方への落手の動きが生まれます。

③落手での意識は大変に重要です。掌根に集めた押さえ続ける意識は,両掌が両胯前に到達するまで継続させます。起勢で始めた勁の運用は、この動作の終了までしっかり継続させなくてはなりません。動き続けた“勁”を丹田に収めて太極拳動作を完了させる大事な項目です。

④動き続けた勁を丹田に収めるのは、指先を下方に向ける時に意識します。

競技大会等の時間的制約の有る場合を除いて、掌根を胯前に収めて、動いた勁を穏やかにして、静かに指先を降ろす時に、勁を丹田に収める意識を持ちましょう。それぞれの動作に3秒ないし5秒位は時間を掛けましょう。