<質問>
日本連盟の検定試験の講習会で、膝をつま先方向に張り出す動作は膝つぶれとの指摘を受けました。初心者なので検定委員の先生にそう言われると、とても迷います。歩法について、どういう整理の仕方をすれば良いでしょうか?
<答え>
確かに日本連盟では、膝をつま先方向に張り出す動作を膝つぶれと云っているようです。その動作はさせないと言う指導方針です。何故か?一時期、太極拳愛好者のみなさんの膝の故障が続出したからです。膝の故障防止対策の一環で膝に多少でも負荷のかかる動作を禁止している訳です。残念ながら、このような方針を取っているのは、太極拳基本技法の良し悪しと言う観点からでは有りません。この動作は太極拳の重要な基本技法の一つで有り、膝に悪影響が出る根拠も有りません。むしろ膝にとっては正しい動作と言えるでしょう。
とは言え、検定試験では合格のためで有るならば、不本意と云えどもその方針に従うしか無いでしょう。
ただ、本来の正しい太極拳運動と言う観点からすると、普段の稽古では正しい歩法練習をしなくてはいけません。
例えば、起勢から野馬分鬃に移る動作で、右脚胯関節を引込む事により重心を右脚に移動し、右軸脚の膝をつま先方向に送り出す事によって体軸が完成し、腰がゆるみ左脚が軸脚に寄って来ます(収脚)。続いて左脚上歩に際しては、右軸脚の膝をつま先方向に張り出す事により、胯が開き、同時に上体も45°左方向に開きます。体軸の位置を変える事なく腰向きを変化させ、スムーズに上歩する事が出来るのです。太極拳の基本歩法において、膝をつま先方向に張り出すと言う動作は大変重要な技術の一つです。この点をしっかりと理解してください。