<質問>
手法の要点て何ですか?いつも手法が硬い、断勁している等と指導する先生から注意を受けます。
<答え>
以前にも似た質問はありました。太極拳の動作で、手法は大変重要な部分です。しっかり理解することが大切です。
太極拳の動作目的は手法で表現する事が大変多く、殆どと云っても過言ではありません。簡化24式太極拳を例に取っても、起勢から左右の野馬分鬃の動作についても手法を意識に置かずには動作は出来ません。身体の前方に張り出す動作・下方に押さえる動作・抱球動作から始まる野馬分鬃・手法の動きを考えて動作を覚えて行きますよね。
初心者の頃は、手を如何に動かすかを考えながら動作を作り、套路動作を覚えて行きます。套路を覚えてからが、太極拳の入門であり、始まりです。
太極拳の動作は三型五法で構成されると言われます。三型は手型・歩型・身型です。五法とは、手法・身法・歩法・腿法・眼法です。いずれも重要な項目ですが、今回は“手法について”の質問ですので、手法を重点にお話ししましょう。
手法は肩・肘・手首の部分が動く事ですが、実際にこれらの部分を動かす時、胸や背中に絡がりが無くてはなりません。腕全体を一本の棒のように動かしていては、手法の内容を理解する事は出来ません。肩の動きは胸や背の筋肉と密接に絡がっていなくてはなりません。肩の動きは同時に肘と絡がりを持ち、これが肘から先の前腕に伝わらなくてはなりません。胸や背の動きは腰と絡がり、脚に伝わって行きます。
正しい手法内容は、身法・歩法と絡がっているのです。
ならば【身法・歩法と絡がるためには】どうすれば良いのか?
まず腕全体を一本の棒のように考えない事。腕を裏表(陰陽)の二極に分けて考える事です。手の甲側を表とするならば、掌心側を裏と考えましょう。肩から肘までの上腕部と、肘から手首までの前腕部が、肘を支点に動きの内容が違う事の理解をしなくてはなりません。四文字熟語の『沈肩墜肘』が意味する事です。手法は常に沈肩が必要です。
動作の内容によって沈肩の効果は、肘から先の前腕に異なった動きを作り出します。例えば摟膝拗歩の摟掌は、沈肩が前腕に下方に押さえる動きを感じさせます。野馬分鬃の分掌は、沈肩が上方に持ち上げる動きを感じる筈です。
二つの動きの違う点は、前腕の向きにあります。前腕が下方に向いている時は、押さえる力。上方に向いている時には、持ち上げる力が働くのです。
手法を、腕を二極に分けて使う事。肘を支点に動いている事。前腕の向きによって働く力の方向が違います。
これらの事を理解して手法を考えれば、余分な力を使わなくなります。強張った・途切れる等の状態をクリアー出来るでしょう。
文章では中々うまく説明しきれませんが、私の『レベルアップ講習会』では、手法や歩法等を詳しく講習します。開催の際には、是非おいでください。