〈質問〉
太極拳のリズムについてお尋ねします。
24式など、套路ごとに違うのですか?
それとも、淡々と平坦に行うものなのでしょうか?
〈答え〉
太極拳のリズムについての質問です。
これは仲々レベルの高い質問だと思います。
24式、88式太極拳には発勁(明勁)の動作はありませんが、一つ一つの動作には蓄勁と発勁(暗勁)の動作があります。
単式動作は、
①聴(ティン)・・・相手の力を聴く。
②化(ホア)・・・・相手の力の方向を変える。
③拿(ナ)・・・・・相手のバランスを崩し、相手をコントロールする。
④発(ハ)・・・・・相手の力を利用し、倒したり飛ばしたりする。
の内容が存在します。
たんたんと平坦な動作では、これらの内容を表現する事は出来ません。しかし、あまりにも過激な表現をしては、穏やかさ・豊かさ・伸びやかさ等の太極拳の持つ特性が失われてしまいます。外側の動きや型を作ろうとすると、強張った動きになってしまいますね。
逆に力を抜いて萎えた動作では、全く平板な動きになり、穏やか、伸びやか等の動きは失われてしまいます。意念が働き、型を作り出すような太極拳の内容を心懸ける事が大切です。
手法の一つ一つに、自然な身体使いが出来る様に。その為には、重心移動が正確で下半身が安定している事が大切です。この様な太極拳の運動の内容が充分に出来るように訓練をし、起勢で始まる勁の運びが収勢まで綿々と絡げられる事を目指しましょう。
このように技術の積み上げをする事によって、自分自身の感性が表れるリズムが、自然に生まれ身に付くのではないでしょうか。リズムを意図的に作ろうとしているうちは、太極拳のリズムを理解する事は難しいでしょう。
「また、套路ごとに違うのですか?」の質問ですが、
それぞれの流派の太極拳は、それぞれの技法が有り特徴があります。それぞれの套路の動きによるリズムは有りますが、套路の構成要素が持つリズムと、演じる人の感性から生まれるリズムが相俟って、その人なりのリズムが生まれて来ます。同じ套路でも、人によってリズムが違うものです。
やはり、内容の良い練習を沢山する事が、自然な良いリズムを作り出す一番の近道だと思います。