‪重心移動 A、B、B+の実践‬

胯関節の運動A、B、B+を理解して頂きましたか。套路の動作で考えて見ましょう。

今回は起勢から左野馬分鬃で行なう軸脚つま先から90°方向に上歩する歩法が有ります。この動作と同じ様に、軸脚つま先から90°方向に上歩する動作は、左攬雀尾から転身右攬雀尾への移行の時、右攬雀尾からの単鞭、雲手からの単鞭、左右穿梭の斜め方向への上歩等に使われます。左右の方向の違いはあっても、どの動作もAの動作から始まり、B+の動作で軸脚を完成させ、更に重ねてB+の動作で90°方向への上歩をし、軸脚先から90°方向への弓歩を完成させます。ここではB+の運動を二つ重ねて使う事にポイントが有ります。①Aの運動で軸脚に体軸を移動させる ②B+の運動で軸脚を完成させる ③更にB+の運動を用いて90°方向に上歩する為の腰向きを開く ④適切な横幅を保ち上歩する ⑤軸脚のBで中間点 ⑥上歩した脚に重心を移動させるA ⑦重心の移行した軸脚に掛かる重心を脚面に落し込み弓歩を完成させる。

B+を二つに重ねて歩型を作る動作は、跟歩から虚歩型に移行する歩法にも使われます。左野馬分鬃からの白鶴亮翅、単鞭からの高探馬、左穿梭からの海底針等に使われます。左摟膝拗歩からの手揮琵琶は勁の方向が前面に有り、右半身になるのでB+は一回だけ使います。

前述の三つの動作は身体の向きが進行方向正面に向く違いが有ります。あと一つ倒捲肱の退歩にも二回重ねて使います。掌を開く時は、軸脚の胯関節はA、次に軸を作るB+、更に身体の向きを正面に向け前脚を寄せる動作にB+が使われます。三つの退歩の場面にB+の重ね使いが有ります。それぞれ動作の内容は違いますが軸脚の膝をつま先方向に強く張り出して胯関節を開くB+の運動としては全く変わりません。

これらの歩法はAの動作から始まりB+、B+と動作しますが、それぞれが連動して作る歩法です。Aの動作が不正確であれば、次のB+は正しく行なえません。AとB+が正しくても二度目のB+が行なわれなかったり、不正確であれば軸脚の膝頭がつま先より内側につぶれてしまいます。この様な動作が膝関節を痛める一番大きな原因となります。是非正確なB+の重ね使いを理解して練習して下さい。