‪歩法の基本No.1‬

太極拳の運動は三型五法に有ると云われます。正しい型や動きは安定した下半身の状態が不可欠です。下半身の安定は正しい内容を持って行われる歩法、体軸の移動がすべてで有り、曖昧な動きで下半身の安定は有り得ません。私の教室で、生徒さんに伝え要求している方法をお話ししましょう。

簡化24式太極拳に代表される制定拳を基準にお話しします。太極拳の動作は全身の運動であり、歩法だけで全ての動作を説明出来るものではありません。歩法は歩法で考える事が必要です。左右の脚の間を、体軸を移動させる事で歩法が構成されます。右脚から左脚に体軸を移動する時に、両脚の中間点で虚実の転換が行われます。重心の乗っている脚の働きは、中間点までの体軸の正確な移動をさせる事に有ります。体軸の移動に関わる身体の部分は、足首、膝、胯関節です。身法や手法も全体の動きの中では、それぞれの役割が有ります。ここでは体軸の移動に絞って考えて見ましょう。

例えば雲手の動作で行う側行歩は、この合胯の次に開胯で体軸を中間点に運びます。右脚から動いて来た運動の慣性が中間点を越えて、左脚に合胯の運動を起し、体軸を移動させる事が出来ます。胯関節は身体の表面に表われているのは、脚と下腹部との接点にVのラインで表われている部分です。この部分の引き込み送り出しで、体軸の移動が行われます。しかし表面に表われるVラインの動きを、引き込む様に等で表現しても、仲々伝わり難いものがあります。正確な理解の無いままに、言葉だけの合胯(収胯)で体軸移動を行っている人が多く居ます。胯関節の正確な動きを理解し、コントロール出来れば、自然な歩法で下半身の安定が得られます。

ここからが重要なポイントです。重心移動を一般的な収胯、胯関節を引き込む様に、或いは腰を廻す様に等の注意を受けていると思います。私は胯関節の動きをVラインの頂点・腰の外側に表われる点の部分の動きで、正確な胯関節の動きを理解出来ると考えています。軸脚のつま先から踵への直線、腰の外側にある壁面のつま先から踵方向、踵からつま先への水平の直線運動が、胯関節の運動で起きる変化です。体軸の移動、重心移動の正確な運動が、下半身の安定に繋がります。足裏に、捻れが生まれる重心移動をしている内は、正しい動作を見つけることは出来ません。

次に胯関節運動をA、B、B+の三つの記号に置き換えてお話し致します。