ST microという会社をわたしが知ったのは、STM8S-Discoveryが秋月電子や通販で目立つようになってからです.
ヨーロッパの半導体メーカーなんですよね.
STの名前の由来はというと、イタリアのSGSと、フランスのThomsonが合併した名前です.SはドイツのSiemensかと思ったら違うという.
SGSは知らない会社ですけど、Thomsonはトムソンのテレビで知ってました.
韓国のサムソンが有名になった2000年頃、トムソンの子会社かいな?と思った技術者は多数居たのではないでしょうか?
それよりも前、1990年台初頭の時期にヨーロッパへ出張すると、ホテルのTVはPhilipsかThomsonばかりでした.
日本のTVはあまり見かけなかったです.
SD解像度で4:3のアナログTVだった時代、USが発明したNTSC規格を日本も採用しました.
西側ヨーロッパ諸国は、NTSCを真似たPAL規格を採用しました.
しかし、西側でもフランスだけはプライドが在ったためか、SECAMという出来の悪い独自規格を採用していました.
SECAMの回路を触ったことがありますけど、できれば関わりたくない回路でした.
SECAMはベルフィルタというBPFのサイドバンド特性でカラー信号の変復調を行う原理で、回路は簡単なのですが性能が不安定でいまいちなんです.
NTSCとPALは真空管の時代によくもあんな規格を定めたものよ、と思うAMPM変調でカラー信号を伝送するので回路は複雑ですが高性能でした.
そのSECAMがフランス独自規格で、フランスのTVメーカーはThomsonということで、ThomsonのTVビジネスは構造的に有利だったのでしょう、巨大なPhilipsに互してThomsonのTVをよく見かけました.
当時の記憶では、東側諸国ではSECAMの採用例が多かったと記憶しています.
HD放送が始まり、液晶TVの時代になってからは、ホテルでThomsonのTVを見かけたという記憶はありません.
トムソンという名前も忘却の彼方へと過ぎ去ってしまいました.
だがしかし、STMの中にトムソンは生き残っていたのですね.
と同時にSECAMの苦い思い出も蘇って来るわたしなのです.