Ⅰ.これまでの取り組み
身体活動の奨励に関する健康政策立案のエビデンスを提供するための研究
Ⅰ.身体活動量の客観的な指標である体力(心肺体力)と健康(疾病罹患や寿命)の関係を、スポーツ疫学研究によって明らかにしています。
下記の研究は、厚生労働省の「健康づくりのための運動基準2006」や「健康づくりのための身体活動基準2013」を策定するためのエビデンスに引用されました。
心肺体が高い人は、低い人と比較して高血圧罹患率が低い(Clin Exp Pharmacol Physio, 1993)
心肺体力が高い人は、低い人と比較して総死亡率が低い(日本公衆衛生雑誌, 1999)
心肺体力が高い人は、低い人と比較してがん死亡率が低い(Med Sci Sports Exerc, 2003)
心肺体力が高い人は、低い人と比較して2型糖尿病罹患率が低い(Diabetes Care, 2003)
心肺体力が増加した人は、低下した人と比較して2型糖尿病罹患率が低い(Diabetes Care, 2010)
Ⅱ.今後の政策立案に利用されることを目的に、さまざまな体力や身体活動と「健康アウトカム」の関係に関する論文を発表しました。
筋持久力が高い人は、低い人と比較して2型糖尿病罹患率が低い(J Physical Act Health, 2010)
心肺体力が高くてお酒を飲む量が少ない人は、そうでない人と比較して2型糖尿病罹患率が低い(運動疫学研究, 2011)
座っている時間が長い人は、短い人と比較して心理的苦痛レベルが高い(BMC Public Health, 2013)
心肺体力が高くてお酒を飲む量が少ない人は、そうでない人と比較してがん死亡率が低い(体力科学, 2013)
肥満度が高くても心肺体力が高い人は、そうでない人と比較してがん死亡率が低い(BMC Public Health, 2014)
心肺体力が高い人は、低い人と比較して自覚的な生活の質(QOL)が高い(BMC Public Health, 2015)
肥満度が高くて握力の弱い人は、そうでない人と比較して2型糖尿病有病率が低い(J Epidemiol, 2015)
心肺体力が高くてお腹が出ていない人は、そうでない人と比較して自覚的な生活の質(QOL)が高い(Health Qual Life Outcomes, 2015)
心肺体力が高いか肥満度が低い人、あるいは両方である人は、そうでない人と比較して2型糖尿病罹患率が低い (PLoS One, 2016)
肥満度が低い人は、高い人と比較して尿路結石症罹患率が低い(J Epidemiol, 2016)
青少年においてスポーツ活動時間が長い人は、短い人と比較して身体の痛みが多い(Pain, 2016)
20歳の体重を維持している人は、そうでない人と比較して脂質異常症罹患率が低い(J Public Health, 2016)
心肺体力が高い人は、低い人と比較して動脈硬化度が低い(J Clin Hypertens, 2017)
柔軟性が高い人は、低い人と比較して 動脈硬化度が低い(Front Physiol, 2017)
肥満度が低い人は、高い人と比較して腰痛罹患率が低い(J Phys Ther Sci, 2017)
高い心肺体力を維持した人は、そうでない人と比較して2型糖尿病罹患率が低い (Med Sci Sports Exerc, 2017)
心肺体力が高い人は、低い人と比較して長期間にわたる2型糖尿病罹患率が低い(J Epidemiol, 2018)
心肺体力が高くてお腹が出ていない人は、そうでない人と比較して2型糖尿病罹患率が低い (Sci Rep, 2018)
歩数が多い人は、短い人と比較して腰痛有病率が低い(J Phys Act Health, 2018)
歩数が多くて肥満度が低い人は、そうでない人と比較して腰痛有病率が低い(BMC Public Health, 2018)
高齢者において歩数が多い人は、少ない人と比較して総死亡率が低い(BMC Public Health, 2018)
握力や片足バランステストの結果が良い人は、悪い人と比較して2型糖尿病罹患率が低い(J Epidemiol. 2018)
心肺体力が高くて高血圧の家族歴がない人は、そうでない人と比較して高血圧罹患率が低い(J Hypertension, 2018)
心肺体力が高い人は、低い人と比較してNon-HDL-コレステロール症罹患率が低い(J Atherocler Thromb. 2018)
サーキットトレーニングを頻繁に実施している人は、そうでない人と比較して2型糖尿病罹患率が低い(J Diabeetes Investig. 2018)
身長が高い人は、高くない人と比較してロコモ度テスト(片足立ち上がりテスト)の結果が過少評価される(J Phys Ther Sci, 2019)
高齢者が野球観戦すると、観戦しない高齢者と比較して認知機能が向上する(Geriatr Gerontol Int. 2019)
片足で立ち上がれる人は、立ち上がれない人と比較して2型糖尿病罹患率が低い(Phys Ther Sci. 2020)
握力や片足バランステストの結果が良い人は、悪い人と比較して脂質異常症罹患率が低い(J Epidemiol. 2020)
柔軟性が高い人は、低い人と比較して高血圧罹患率が低い(Scand J Med Sci Sports. 2020)
Muscular and Performance Fitnessが高い人は、低い人と比較して緑内障の罹患率が低い(J Phys Act Health. 2020)
Muscular and Performance Fitnessが高い人は、低い人と比較して難聴の罹患が低い(Am J Med. 2020)
身体活動量が多い人は、少ない人と比較して難聴の罹患が低い(Scand J Med Sci Sports. 2022)
身体活動量が多く、座位行動時間が短い高齢者はそうでない高齢者と比較して要介護認定率が低い(BMJ Open, 2022)
心肺体力と脚筋力が高い人は、低い人と比較して糖尿病の有病率が低い(BMC Publis Health, 2022)
筋トレをしている人は、していない人と比較して死亡率や非感染性疾患の罹患率が低い(Br J Sports Med. 2022)
身体活動量が多い高齢者は、少ない高齢者と比較して総死亡率が低い(J Am Med Dir Assoc. 2023)
身体活動奨励を目的にしたガイドラインの妥当性を確認するための研究
「運動基準2006」や「身体活動基準2013」における「最大酸素摂取量(心肺体力)の基準値」を満たしている人たちと満たしていない人たちの死亡率や疾病罹患率を比較し、「基準値」が妥当かどうかを確認しています。
ガイドラインの基準値を満たしている人は、満たしていない人と比較して総死亡率が低い(運動疫学研究, 2012)
ガイドラインの基準値を満たしている人は、満たしていない人と比較して2型糖尿病罹患率が低い(J Epidemiol, 2014)
ガイドラインの基準値を満たし続けている人は、満たし続けていない人と比較して2型糖尿病罹患率が低い(J Epidemiol, 2018)
ガイドラインの基準値を満たし続けている人は、満たし続けていない人と比較して高血圧罹患率が低い(J Hypertens, 2019)
スポーツ応援と健康に関する研究
スポーツ応援は多くの人々に健康や元気を提供すると思われることから、スポーツ応援と健康アウトカムに関する研究にも取り組んでいます。
野球観戦が高齢者の主観的幸福感に与える影響 (Gerontol Geriatr Med, 2017)
高齢者の野球観戦頻度と身体的・社会的・心理的特徴 (生涯スポーツ研究、2018)
野球観戦が高齢者の健康や認知機能に与える影響 (Geriatr Gerontol Int. 2019)
健康政策や公式声明の作成サポート
シンガポール政府「National Physical Activity Guidelines」策定委員(2011)
厚生労働省「健康づくりのための身体活動基準2013」システマティックレビュー研究協力者(2012-2013)
日本運動疫学会 「身体活動を促進するゲームの開発・普及を支持する声明」公式声明委員長(2017)
アメリカ心臓病協会「医療現場における体力測定と測定結果の活用に関する声明」 作成委員(Circulation, 2016)
日本運動疫学会 「日本動脈硬化学会の『動脈硬化性疾患予防ガイドライン2017版』を支持する声明」公式声明委員長(2017)
横浜市「よこはまウォーキングポイント共同事業者選定等委員会」委員(2017-)
日本運動疫学会 「スポーツ庁の『FUN+WALK PROJECT』を支持する声明」公式声明委員長(2018)
厚生労働省「標準的な運動プログラムの作成」研究代表者(2017-2019)
埼玉県「埼玉県健康長寿計画推進検討会議」委員(2018-)
厚生労働省 厚生科学審議会 専門委員(2018-)
厚生労働省 健康日本21(第二次)推進専門委員会 委員(2018-2021)
厚生労働省「e-ヘルスネット」情報評価委員(2018-)
厚生労働省 国民健康・栄養調査企画解析検討会 構成員(2018-2021)
日本運動疫学会「新型コロナウイルス感染症流行下の身体活動不足・座りすぎ対策」公式声明委員長(2020)
厚生労働省「アクティブガイドの改定」研究代表者(2020-2024)
スポーツ庁「スポーツ実施率の向上に向けた総合研究事業(スポーツによる社会課題解決推進のための政策に資する研究:Ⅲ健康スポーツ事業)」検討委員(2023)
厚生労働省「健康づくりのための身体活動基準・指針の改訂に関する検討会」構成員(2023)
厚生労働科学研究費補助金による研究(循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究事業)
2017年度 健康増進施設の現状把握と標準的な運動指導プログラムの開発および効果検証と普及促進(1年目)
2018年度 健康増進施設の現状把握と標準的な運動指導プログラムの開発および効果検証と普及促進(2年目)
2019年度 健康増進施設の現状把握と標準的な運動指導プログラムの開発および効果検証と普及促進(最終年)
2020年度 最新研究のレビューに基づく「健康づくりのための身体活動基準2013」及び「身体活動指針(アクティブガイド)改訂案と新たな基準及び指針案の作成(1年目)
2021年度 最新研究のレビューに基づく「健康づくりのための身体活動基準2013」及び「身体活動指針(アクティブガイド)改訂案と新たな基準及び指針案の作成(2年目)
2022年度 健康づくりのための身体活動・運動の実践に影響を及ぼす原因の解明と科学的根拠に基づく対策の推進のためのエビデンス創出(1年目)
2023年度 健康づくりのための身体活動・運動の実践に影響を及ぼす原因の解明と科学的根拠に基づく対策の推進のためのエビデンス創出(2年目)