「夢オチします」(100kb祭り/2015新春)
(作者:River様)
幾人もの血を吸った槍が、今自分を滅ぼそうと突進してくる。
恐ろしい光景ではあったが、見切れないほどではなかった。
あえて交差するようにして、カジはそれを難なく避けた。
――そういえば、本気でアダムと刃を交えたのは初めてではないか?
「――ハッ! 暢気だなカジ、考え事か?」
アダムは今までに見せたことの無い顔をカジに向けていた。
それはおそらく、邪悪を滅ぼす時の心の底から愉しそうな笑顔だ。
「敵がいて、武器があって殺意があって、おまけにこんな良い月夜だ! 殺し合うのは当然だろう!?」
「!!」
――狂っている。
全てを狂わせた張本人が、月の下、やはり狂気に踊っている。
だが、アダムの言葉は『俺』の心を強く揺さぶった。
それは共鳴だ。
自分の神のために、悪を滅ぼす。
こんな狂った舞台の上で唯一つ、二人の役者に共通することだった。
そんな殺気を向けられている今、『俺』は確かに高揚している。
――狂っているのはお互い様だ。
「おいおい、お喋りしてる暇があるのか?」
カジは嗤う。
「お前らしいな、敵の心配か?」
「そうじゃねえ、……そうじゃねぇんだよ」
青銀の剣を抜き放つ。
それはいっそ場違いに、宝石のように美しく煌いていた。
「せいぜい足掻いて、少しはこの俺を楽しませてくれよ、アダム!」
闇に沈む大地を蹴る。
カジの剣とアダムの槍とでは、リーチの面でアダムのほうが有利だ。
だが、取り回しやすさではカジに軍配が上がるだろう。
カジはアダムに肉薄する。
「はぁっ!」
逆袈裟懸けに放った一撃を、アダムは柄で受け止めた。
「ぬっ……!?」
重い一撃だったはずだ。
カジは畳み掛けるようにして突きを放つ。
それはアダムの左の肩口を浅く裂いた。
「速くなったな……!」
「てめぇが遅くなっただけだろ!」
二つの法力が――何故か――反発しあう。
それが肌を焼くのか、夜だというのにやたらに暑く感じていた。
「はぁあああっ!」
続けざまの攻撃はすんでのところで防がれる。
至近距離で見つめ合うアダムの顔には笑顔が張り付いていた。
しかし、焦りが見える。
抗えない老いが見える。
「さっさとくたばりやがれッ!!」
雷鳴によく似た法力の光が刃に乗る。
アダムが一瞬怯んだのが分かった。
カジは純粋な殺意でもって、その体に刃を叩き込む。
「……ヌゥ……ッ……!!」
闇夜に飛び散る、命の欠片。
アダムは膝をつき、咳と共に大量の血を吐き出した。
この傷では立ち上がれまい。
「終わりだな、アダム。今のあんたじゃ、俺には遠く及ばない」
切っ先を突きつける。
「"聖歌隊"は終わったんだ」
「……」
アダムは無表情だった。
その心中に流れる感情を、今の『俺』が汲み取ることはできない。
「強いな、お前は……。本当に、強くなった。身体能力、技術力、判断力……、どれをとっても適わなかった。お前はまだ底を見せていないというのにな」
長く戦ってきた相手だ。こちらのポテンシャルを見誤ることはないのだろう。
だが、手を抜いたわけではない。ただそう、最後までギアが上がりきらなかっただけだ。
アダムはそれをどう感じたのか。
「まったく……」
徐に、親父は立ち上がった。
――立ち上がった?
カジが与えた傷を触り、その手に着いた己の血を見つめている。
――動けるような傷じゃないはずだ。
血が抜けた顔は蒼白で、傷を負った体の動きはぎこちない。
そんな親父の姿に――『俺』は今宵初めての、戦慄を感じた。
「やめておけ、苦しんで死にたいのか」
傷は致命傷だ。このまま動けば意識が途切れるまで苦しみを味わうだけである。
だというのに、『俺』の言葉は精一杯の強がりでしかなかった。
そう、常識で考えれば悪夢はこれで終わりのはずだ。
――バカな、悪夢に常識などない。
「これで終わり、か……」
常識など、ない。
「ふざけるなよ、カジ……!」
激昂する、目の前の男。
――見知らぬ男。
「この『俺』相手に、手加減だと……許せん、許せんぞ……!」
ゆらり、と。
法力ではない、何かが。
「こんなはずじゃなかった! こんな弱者が……抜け殻が、神の最愛の使途の最期だというのか!」
目の前で、歪んで。
現実を――いや、悪夢を?――侵していく。
「これほどの屈辱を……! これほどの無念を……! 抱えたまま死ぬくらいなら、そんな惨めな最期でしかないなら、」
そしてアダムはその手に掬い上げた血を――人にあらざる漆黒の血を、
「やめろ、アダム――!」
「『俺』は…………! 俺は、人の世など、捨ててやる……!!」
暗黒の血を口へと運び、飲み込んだ。
刹那、カジの体は自分の意識よりも早くアダムと距離を取っていた。
純然たる恐怖で。
――変化は直ぐに訪れた。
「フフフ……ハハ……ハハハ……!!」
じっとりとした嗤い声が闇に響く。
「なん……だと……!?」
「フハハハハハハハハッ!!!」
闇の中、爛々と赤い目を輝かせているアダム。
「力が漲る! 甦る!! そうだ、そうだよ!! これが『俺』だ! これこそが、真の神の使途だ!」
その赤髪は逆立ち、自らの体を掻き抱きながら獣のような高笑いを上げている。
別人のようで、紛うことなく、その男はアダムその人であった。
奇術か? 否、今のカジの眼を欺くなど不可能だ。
では幻術か? 否、中身の無い幻に蹴落とされるなどそれこそ非現実的だ。
間違いない、この現象の正体は。
「若返った……だと……!? アダム、一体何をしやがった!!」
"聖歌隊"として、数多くの不可思議を目の当たりにしてきた。
だというのに、一瞬で人が若返る方法など見当もつかなかった。
カジの少し上――青年と言って差し支えない顔、身体、声。
四肢は鋼の如く研ぎ澄まされた筋肉で覆われ、眼光は肉食獣のそれだ。
まるで、伝え聞く地獄の業火のようだ。
「些末だ」
「何?」
「道程など些末だ、といった。今ここに相対する猛者が二人、俺にはその結果だけがすべてだ」
若々しく、それでいて歴戦の戦士の如く狡猾に、アダムは嗤った。
「さあ、構えろ。先ほどのようにはいかんぞ」
法力とは違う、粘度の高い力が場を席巻する。
「お前に、神の御業を見せてやる」
静かな一言であったはずなのに、カジは体の震えを止められなかった。
ただただ純粋に、目の前の男が恐ろしい。
「全力のお前との殺し合いだ……俺も相応の準備をしなければな」
強い魔力の本流。
その中心に、アダムが在る。
「炎魔煌々、神滅焦土、火焔招来、黒王紅蓮……出番だ、ヴィレティス」
耳慣れぬ呪文。
途端、アダムの右手から濃密な魔力が溢れ出した。
現れたのは、剣。
赤と黒に彩られた、魔を成す刃。
「久しいな、我が戦友、ヴィレティスよ」
それを月下に掲げ、アダムは満足そうに頬を歪めた。
「今宵はお前に相応しき戦月夜だ。久方ぶりの血の味、存分に味わうがいい」
万物を切り殺す、死神の刃。
神話で語られる類の魔剣。
だが真におそろしいのは、そんな代物を二言三言の文言で呼び出したアダムの技量だ。
彼は聖職者ではなかったか?
「ハッ、なんて悪夢だ。最低だぜ……」
――なにせ、血が騒ぐのが止められない。
「さあ、お前もその聖剣を抜け!! 俺はその上で、お前を殺して見せる!」
「……!!」
『二本目の剣』は先ほどから酷く震えている。
だが、抜けなかった。
『これを汚すわけにはいかない』。
「うおおおおおおおっ!」
答えず、カジは己の剣を構えた。
しかし、次の一歩が踏み出せない。
まるで何かに絡め取られているような。
――否、足を鈍らせているのは自分の心だ。
この身に残っていた心が、今自分を追い込んでいる。
「ふッ!」
振り落とされた一撃を、剣の腹で受ける。
的確な角度であったはずなのに、カジの剣は甲高い悲鳴を上げた。
びりびりとした炎のような魔力が肌を指す。
「今日初めてその顔を見せたな、カジ」
アダムの目が魔物のそれのようにカジを見ている。
「いいぞ、いいぞ! 恐怖しろ、焦燥して見せろ! それが俺の望みであり、神の望みだ!」
「狂人め……!」
粘つく魔力を、己の法力で押し返す。
油断すれば飲み込まれてしまいそうだ。
「はっ。そんな法力で、俺を焼くつもりか?」
まるで枝を扱うような軽さで、神代の魔剣が振られる。
一撃一撃が重く、確実にカジの輪郭を削り取っていった。
「……くっ!」
こちらの攻撃といえば、避けられもせず剣でいなされるだけだ。
先ほどとはまったく違う。
動きも、頭の冴えも、立ち上る気迫さえ。
「ああああああああっ!!」
自分を鼓舞するために吼える。
そうでもしないと、一方的にいいようにされてしまうだけだ。
渾身の力でもって相手を弾き飛ばし、斬りかかる。
アダムは笑っていた。
はしゃぐ子供を見守る親のように。
「流石だな。この魔力の影響下でもそこまで動くか」
その声ははっきりと耳朶を叩いた。
気がつくとアダムの剣が――こちらの想定していた動きよりも随分速く――目前にまで迫っていた。
「!」
瞬時に頭を切り替える。
――避けきれないのならば!
「これでぇっ!」
剣に法力を乗せる。
邪を滅ぼす雷の力。
それがカジの体を切り裂いた刃から伝わって、アダムの全身を内側から切り裂く。
「うおおっ!」
短い悲鳴。
カジは大きく切り裂かれた左腹をかばいながら転がった。
――こちらも大きく傷ついたが、アダムだってただではすまないだろう。
痛みに顔をしかめ、血を流しながら立ち上がる。
アダムは驚いた表情でぼたぼたと血を流す己を見つめていた。
「……へぇ。斬るだけじゃあなかったんだな。とんだ予想外だ」
ざまあ見ろ――そう口を開きかけた刹那、異変に気づく。
アダムから流れ出る血が――自然に止まるはずのないほどの傷なのに――止まっている。
それどころか、傷口は微細に蠢き、急速に復元していく。
「まあ、お前には剣の方が似合うよ。残念ながら、な」
闇に輝く赤い瞳が、こちらを見ている。眺めている。
半月状に歪んで。
「はっ、はは……」
自分の喉から冷たい笑いが落ちた。
「吸血鬼」
『二本目の剣』を意識する。
目の前のその男は、今、吸血鬼に変貌していた。
しかもこの前対峙したそれよりも、ずっと強い。
邪の者を判断するカジの感覚をも欺くほどに。
悪い夢だ。
――地獄の使者の足音が、すぐ傍に聞こえている気がした。
だが、ここで簡単に死んでやるつもりもなかった。
「そうなら――尚更、ここで、俺が殺してやらなきゃな……」
「大した傲慢だな。しかも、まだその聖剣を抜かないときた」
もうすっかり治ってしまった傷を見せ付けて、アダムは「それで?」と告げた。
「向かってこないのか?」
「……」
剣を構える。
傷の痛みで集中できないなどという愚かな事は無い。
ただ、目の前の男が圧倒的な力でカジを捻じ伏せようとしている事実が、手を震わせていた。
「ああ、懐かしいな。昔はこうしてよく模擬戦をしたものだ、今なら良く思い出せるよ」
「そんな記憶は無い」
「だろうなあ」
アダムは軽く地を蹴る。
その姿はまるで霧のように、音も無くカジに肉薄してきた。
「ほら、上だ!」
振り下ろされるヴィレティスをすんでのところ受ける。
「左! 右! どうした、足が遅れてるぞ!」
「くっ――!」
まるで騎士候補生と騎士団長のように、力の差は歴然であった。
追いつけない。
先ほどまではカジの方が随分高みにいたというのに。
「そこだぁっ!」
わざわざ宣言されたにも関わらず、カジはそれを防ぎきることは出来なかった。
手首こそ免れたが、彼の剣はもぎ取られるようにして地面に落ちる。
「はっ……!」
次の行動が遅れた。
――避けなければ。
刹那の逡巡の後、カジは地を蹴ったが、ヴィレティスの魔力が篭った切っ先の方が幾分早かった。
刃で切られる痛みとそれとは違う魔力に焼かれる痛みとが身に走る。
「――――!!」
それが、自分の喉から出た悲鳴だと気づくのに数瞬かかった。
カジの体は吹き飛ばされて闇に転がる。
冗談のような量の赤が、湿った音を立てて地に広がった。
「はっ……はぁっ……!」
体が焼ける様に痛い。
息をする度に体内で火が燃え上がる錯覚がした。
「やれやれ、随分流れたなあ。渇くじゃないか、カジ」
アダムの声。
それが、歪んで脳に反響する。
「……な、に……?」
「血だよ、血。分かってるんだろう?」
近づいてくる、赤い、吸血鬼。
――冬の日。赤い色。
なびく赤。土に汚れた自分の手。
赤い、赤い、跡。
自分を呼ぶ、赤い髪のそれ。
――同じだ。
今、『あの日』が再現されている。
違うのは、月が煌々と照らしていることと、目の前の吸血鬼。
ただ、それだけ。
「勝負は決した。後はお前が死ぬだけだ」
夜風に赤い髪がなびく。
その足が、カジの青銀の剣を硝子のようにいとも容易く圧し折った。
「ただこのまま死ぬのも味気ないだろう?」
近づいてくるのが分かっていながら、逃げられない。
起き上がる事ができず、爪で土を掻く。
「失うなら、もう少し面白い方法でな」
月を隠す、赤い瞳。
アダムはカジの前髪を掴んで乱暴に引き上げる。
熱と痛みに霞む目に、確かに相手の狂気が映りこんでいた。
「――まだ、そんな顔をするか」
自分が今どんな顔をしているかよく分からない。
でも、それをアダムが快く思っていないのは、よく分かった。
今、世界は自分の前髪に隠れてはいない。
「絶望しろよ、カジ。それじゃあ――面白くないじゃないか!」
不愉快さを込めて、地面に頭から叩きつけられた。
衝撃で一瞬息が止まり、世界が止まる。
――気がつけば、その赤い瞳がすぐ近くにある。
否、最も近くにあるのは、牙だ。
「なっ……!」
思わず逃げ出そうと身を捩る。
人間の根本に訴える恐怖。
だが、アダムの腕がカジの身体を逃がすまいと組み伏せていた。
「その顔だ」
鋭い痛みと共に、その牙が首筋に突き刺さる。
だがそんな痛みよりも精神的な苦痛の方が遥かに勝っていた。
吸血鬼に血を吸われている。
それが、己にとってどんな恐怖と苦しみか。
逃げようとするも動けず、血を失っていくことで着実に自分が死に近づいている事を認識せざるを得ない。
恐怖かと問われれば――
否、と答えるのだろう。
この心が、最後まで折れずにいられるのは。
そこに思い出がちゃんと残っていて、
それを穢される事に、怒りを感じているからだ。
一瞬の熱の膨張の後、アダムの姿は宙に投げ出されていた。
「な、んだとぉ……!?」
着地したアダムが驚愕に顔を歪ませる。
カジが吸血鬼の怪力を振り払うほどの技を見せたことに。
「掌破――!?」
確かにそれであれば、剣も法力も必要ない。
しかし死に掛けの身から放たれたにしては、あまりにも精度の高いものであった。
「そんねもので、俺を……!?」
「そんなもの?」
カジは『立ち上がる』。
「お前を滅ぼすには――余るくらいだよ」
踏み出す。
痛みはもう感じなかった。
「馬鹿な……そんな、そんなことがあってたまるか……!」
アダムは明らかに狼狽していた。
まだ、実力差が埋まったわけではないのに――?
「お前一体、何を宿している……!?」
「は?」
言われて気づく。
『傷が徐々に治りかけていることに』。
「……」
――吸血鬼にでもなってしまったのだろうか?
しかし体に変化は無い。
何よりも、吸血鬼であるアダムが、こんなにも焦っている。
「……そんな、馬鹿な! どうして、俺じゃない――俺じゃないんだ!」
「アダム――?」
「俺こそが、真に神の僕だというのに!!」
激昂し、飛び掛ってくるアダム。
烈火のごとく、凄まじい気迫。
だが、精細を欠いていた。
――チャンスは一度、今しかない。
「もう二度と、自分を奪われるわけには、いかない……!」
カジは腰の剣を抜いた。
マテルの聖剣――
それを左手に逆手に持ち、腰を落とし、右手を『敵』に突きつける。
――炎には、それ以上の炎を。
この技が持つに相応しいものは、相手を"殺す"意思だけだ。
「はぁああああああっ!!」
吼える。
カジの中に存在していた『気』が高密度に圧縮された炎弾となってアダムを打ち据えた。
骨の砕ける鈍い音と、不浄の燃える轟音。
その合間に響くアダムの絶叫。
それが、不意に止まる。
どさりと黒焦げになったソレが地面に落ち、ぼろぼろと崩れていく。
「…………」
今度こそ、手加減などできるはずもなく、間違いなく『俺』はアダムを滅ぼした。
最後の最後に得た物でもって。
そこにあるのは、喉の奥から溢れる熱と、数え切れぬ傷の痛み。
そして腕に残る最後の一撃の余韻だけだ。
惨めなまでに満身創痍。
しかし、立っているのは『俺』の方だった。
「…………フゥ……」
疲労のあまり立っていられず、俺は丘の上に体を横たえた。
傷は遅々とではあったが確実に治っている。
これなら、ぎりぎりのところで生き残ることが出来るだろう。
濃い夜だった。
それでいて、いまだかつてなく熱く。
しかし、それらは過ぎ去った。
今の『俺』には何も無い。
難敵を屠った喜びも、恩人を殺した悲しみも。
「……あー」
空っぽの心で月を眺める。
遥か高みから『俺』を見下ろす、夜の王様。
――悪いな、今宵の茶番はさぞ退屈な仕上がりだっただろう?
月は応えない。
風の音のみが、『俺』の体の熱を融かしていく。
――やべぇ、眠……。
瞼が落ちる。
これから先のことは分からない。
今はただ、この夜に身を任せよう……。
……最後の瞬間。
月を背負って俺を見下ろす、見覚えのある女を見たような気がした。
「ふふ、ざぁんねん。せっかく私の血を分けてあげたのに、カジを殺せなかった、なんて」
「炎の獅子も、冒険者カジの前ではかわいいかわいい子猫、ということかしら?」
「ああ、カジ、カジ! あなたって本当に素敵……!」
「私がどんなにあなたを手に入れようとしても、あなたは必ず逃げ切ってしまうのね。ああ、なんて強靭なニンゲンなんでしょう!」
「愛しいカジ……! 私はあなたが欲しい。あなたの血、カラダ、魂が欲しくて欲しくて、たまらないの!」
「でも今夜はダメ。今夜はあなたの勝ちよ、カジ。すべてを忘れて、元の日常にお帰りなさい」
「ああ、でもね……?」
「いつか必ず、あなたの血を飲み干してみせる」
赤い髪が闇夜に流れる。
細く冷たい手が、眠るカジの頬を撫でた。
「だって貴方こそ私の本当の伴侶(アダム)なんだから……!」
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あとがき。
今回はRiverさんの「夢オチします」を書かせてもらいました。
前半後半に分けさせていただいたのも、アダムが宿の親父だったのも全てこのシナリオあってのことです!
というかこのシナリオに感動して聖歌隊を書き始めたのです。
Riverさんにはいくら感謝してもしきれません。
本当にありがとうございました!!
足向けて寝れません!!
しかしこの敵は強い!!
最初に勝つまでは本当に苦労しました。
スピードや状態異常、よく考えないとすぐにゲームオーバーですから。
快くリプレイ小説をご許可してくださったRiverさんに感謝を。
本当にありがとうございました!!!!
同作者様の隠しスキルにお世話になっております!!
アレです、アレ。
あのルートを通った理由がそこにありました…!