50歳のレーシック

今年50歳を迎えると言うのに、年甲斐も無くLasikによる視力回復手術を受けました。体験者は非常に多いと思われるので、記録するほどの事ではないのですが、50歳の手前で踏み切る人は少数派かと思い、やっぱり書いておこうと思った次第です。

◆眼鏡は友達

私は確か9歳位の時に視力が急激にダウンしたようです。はっきり覚えていないのですが、学校のプールで感染性の結膜炎にかかって熱出したことがきっかけだったとか。(そんな話聞いたことないし論理的ではない気がしますが)

で、イヤイヤ眼鏡をかけ始めたのが小学校5年か6年。以来実に40年間近く、眼鏡のお世話になっていました。 実は大学生の頃からハードコンタクトに切り替えていました。社会人になった頃もコンタクトだったのですが、職業柄、鉄粉やら砂埃が舞うことが多く、かつ野外での夜間作業も多かったため、眼を傷めそうで眼鏡に戻したのです。一般に近視は、ある年齢層で止まると言われますが、私はどんどん悪くなり、ここ数年は老眼化もmixされ、夜の高速道路を走るのが恐ろしい状況となりつつありました。 一言で言えば、眼鏡は友達 だった訳です。

◆きっかけ

そもそも私が進んでLasikを受けようと思ったわけではありません。私の次女が、私同様に眼が悪く、二十歳になったらLasikを受けさせようと以前から話していて、神戸に説明会に行ったのです。その席で、70歳近い人も受けたとの話があって、”オッサンは不可”の前提が覆されました。加えて、やっぱり娘の眼の事ですから心配で、”このオッサンが先に受けて、上手く行ったら安心して娘も受けられる”という不思議な?理論も成り立ち、受けることになったのです。ですから、クリニックからの問診ではしどろもどろになりました。

”今回、どうしてLasikを受けようと思われたのですか?”

”あー 実験台 ではなく、うー ちょっと水辺でよく遊ぶんでー、えー 沈没したときに おー・・・”

”スポーツで不便と言うことですね”

”はあ”

◆心構え

同年代で受けてみようと思われている貴方、クリニックは決して差別しません。でも、周囲ではほぼ確実に、一番年長です。受付のお嬢さんも、にこやかに案内してくれます。でも眼科医は言います。 ”老眼、すぐ来ますよ。覚悟いいですか。” 結構冷ややか。事実、本当にすぐ来たので眼科医は嘘つきません。いいですか貴方、ホントにすぐ来ます。でも不思議なのは、私が受診したクリニックの眼科医は4名ほど居ましたが、うち三人は眼鏡でした。一人は「適合しなかった」そうですが、後二人は何だろ。Lasik後の老眼鏡か?

◆事前検査(適合検査)

受けられるかどうか、まず検査があります。年齢はノー審査。内容的には非常に念の入った人間ドック眼科部門って感じ。あのみんなが嫌いな眼圧測定もあります。勿論視力も測ります。私は多分20年以上振りに裸眼視力を測りました。0.05と0.06。未知の世界ですね。0.05と0.03がどれほど違うのか見当つきません。それ程時間がかかるわけではありませんが、帰り道は気をつけて下さい。瞳孔開く目薬をさされるので、世界が超眩しい。私はスキー用のゴーグルかけてJR乗りましたよ。それでも晴れたアスファルトの道は下を向いて歩かざるを得ませんでした。

私の場合、検査結果は△で、1週間 ヒアロン酸の目薬をして再検査でした。理由は聞いたのですが、モゴモゴ判りませんでした。再検査の結果、条件付でOKとなりました。条件というのは、私の角膜は後ろ側の曲面に一部歪な(滑らかな曲面でない)部分がクレーターのようにあって、Lasikで角膜を削ると角膜の強度がこれまでより弱くなり、その結果歪な部分に内圧が集中し、角膜の前面も歪に押し出される可能性があると言うものでした。そうなったら乱視になるそうです。クレーターが曲面センターならば×らしいですが、私は少々ずれていました。と言っても良く判らないので、単刀直入

”五分五分ですか?”

”そんなんやったら薦めません”

と笑われたので決行としました。

◆手術室

手術と言っても、歯医者みたいなもんで気持ちもカジュアルです。原理を考えると結構恐ろしかったりするのですが、私の眼ですから、まあ後20年保てばオーライと考え、緊張もありませんでした。術前に簡単な検査があります。で、手術エリア?に入って点眼麻酔etc。結構沁みますね これは。定番のキャップを被りいよいよオペ室へ。一人10分位で次々にUPしてきます。機械化の成せる業ですね。

”ここに座ってそのまま寝てくださーい”

黒いリクライニング式?の手術台に寝ます。手術は片眼ずつやります。まず、左目。小さい器のようなものを眼の周りにギュギュッと押し付けられ、恐らく目玉オヤジ状態に。引導してくれたお嬢さんが手を握ってと言うか添えてくれるのですが、ここで握り返すなんてスケベ心出しちゃあいけません。何しろ相手はレーザー光線持ってますから。ウルトラセブンの怪獣並です。私が受けたのはi-Lasikという最もポピュラーなものなので、一旦角膜上にフラップという蓋?を作ります。ま、詳しいことは専門ページが山ほどあるのでそちらへどうぞ。

まず、銀色の雲が目の前に現れます。と、次の瞬間目の前は宇宙空間のように・・・。暗黒に雲母の如くキラキラと、まるで星間旅行ですね。実際、何をどうやってるのやらさっぱり判りませんがフラップはこうやって作られるのです ☆☆。

終わったら手術台がガーと動いて、今度はオレンジ色の小さい明かりが見えます。と、突如それが上下左右にUFOのように揺れ出して、目の前にビターッと止まったかと思えば、「バチバチバチ・・・・」と何かがショートしているような断続音。

”はい やってますからねー もうちょっとですからねー”

いつも思うのですが、こういう場合、返事したほうが良いのでしょうか?それどころではない事も多いし、返事して動いて変な事になっても困りますし。 結局、”うー”とか ”あー” とか呻くだけです。バチバチ終了まで、推定5分。その後目の前を清流が流れます。川底から四万十川を見てる感じ。で、多分フラップを閉じる感じがあって白いガーゼ?らしきものが拭き拭きして一眼落着。段取りとっても宜しい。

この後右目に同じ事をします。両眼で10分未満だったと思います。終わると起こしてもらって、”お疲れ様でした~” の嵐。 ”いや どうもどうも ありがとござんした” とペコペコして出ます。目の前はやや霧がかっていますが、なんか見える予感が・・・。そのまま休憩ルームへ。

◆終了

ここはひんやりしていて暗くて、リクライニングシートで、快適。10分くらいでしょうか、じーっと寝てるとお嬢さんが呼びに来てくれます。そのままヨタヨタ診察室へ。でも何か見える予感! good! 正直この段階では視界はクリアではありません。眼に薬を入れてボヤーっとした感じで曇っています。診察室ではドクターが見てくれます。

”うーん 右のフラップ ずれてますねー。やり直しします!”

”へ??”

思いがけぬ展開。ちょちょいと修正してくれるかと思いきゃ

”もう一回手術室入って下さい”

えーー またやるのおー?

◆手術室(2)

と言うわけで、再び麻酔点眼からやり直し。 ”今回はすぐですよー。時々あるんですよこういうの” と明るくお嬢さんは仰る。ま、上手くいくまで何回でもやります ってのがこのクリニックの「売り」なので、別にいいんですけどね。今回は大きく「右目」と書かれた紙をおでこに貼り付けられました。再度入場。

”たびたび すんません”

”ここに座ってそのまま寝てくださーい”

再び目玉オヤジになって、銀河系を見て清流を見て、本当にすぐ終わりました。”お疲れ様でした~” に送られてまたまた休憩ルームへ。

◆終了(2)

勿論休憩も同じなのですが、今度は時間がやや長く、思わず寝そうになってしまいました。ようやくお呼びがかかって、またフラフラと診察室へ。今度はドクターが若い兄ちゃんになっていて、何と大きなドクロを描いた黒いTシャツ姿。(後で考えたら ワンピース のキャラクタTシャツ?) 休日の緊急トラブル出勤には私もそんな格好してますので、良いんですが、今までだったらドクロもヒトダマも、ぼやっーとした白丸にしか見えなかったのに、凄い識別能力!早速ここで効果を確信した次第です。この日はこれでOK。眼には流石に違和感があって(コンタクトしてるいたいな)、ヨロヨロ帰ってきました。ドクターも ”今日はおとなしくして、早く寝てください” と言ってましたし、本当に大人しくしてました。そしてこの日、日本代表は、オランダに 0-1 で敗れました。 (見てたんやん!)

◆翌日

翌日に検査があって、フラップOK、クリア・ザ・テイクオフ みたいな感じで一旦終了。検査したら 右1.0 左1.2 でした。奇跡ですね、実際。その後はケアのための目薬に溺れそうになる毎日です。(何種類もあるんですわ)しかし、ここでいきなり予言的中。

見えないのです・・・ 近くが。

「 翌朝目覚めたら視界がクリアに」とよく言われるのですが、それは正解です。40年ぶりにそのままで世の中がピカーっと見えたことは感激もの なのですが、 ”新聞読めないー、携帯見えないー。これがウワサの真正老眼かーっ” でした。近視の場合は、ボヤーっとなって見えないのですが、老眼はどっちかと言うと2重3重になって見えない感じ。微妙に違いますねえ・・・。

と言うわけで、一夜にして仲間入りした私は、翌日 百均に老眼鏡を買いに走ったのでした。視力が安定するには暫くかかるとの事なので、遠近両用?はもう少し先になりそうです。やっぱり 「眼鏡は一生の友達」 だったです。うーん。そうそう、いろんなものが「大きく見える」のにもびっくりです。スーパーで売ってる牛乳パックも初め、”これって1.5Lパック?”と疑った位です。 もう一つ。

眼鏡を変えたとき(度を強くしたとき)、初めは何だか世の中が歪んで見えてクラクラ・フワフワしますよね。あれが起こりました。要は、慣れてないんですねえ、見えることに。私の場合、見え過ぎて、翌日は偏頭痛にまでなりました。何でも「急に変える」といろんな摩擦が起こります。

◆まとめ

もうしばらく様子を見ないと何とも言えませんが、今のところ順調です。仕事になるかどうか・・・はまだ未知数です。ただ、少なくともカヤックで沈没したときに、眼鏡の心配はしなくて済みます。足し算 引き算 いろいろありますが、人間の基本機能を取り戻す話なので決して損はないなあ と思う次第です。是非トライしてみて下さい。因みに私が受けたのは業界?では大手のK戸K奈川クリニックです。生涯保障のキャッチフレーズに引っ掛かりました。料金(の安さ)だけで決めるのはどうかと思いますので別に何の見返りも頂いていませんが、お勧めできると思います。

さて、眼が良くなった事で・・・ 私は実はパイロットになりたかったのですね。よっしゃー行けるか キャプテン? と思ったのですが、駄目なんですってね・・・Lasik受けてると。何でも、角膜削るので正常体と見なされないそうで・・・。同じ希望をお持ちの方にはコンタクトをお勧めしておきます。

◆ 追補 :1ケ月後

1ケ月(弱)後の状況です。老眼は少しマシになりました。 術後すぐは年齢とは関係なく、近くが見えにくくなることがあるそうです。この1ケ月は毎日見え方が変わって、 どうなるんだろ・・・ と思った事もありますが、3週間を過ぎて、徐々に見え方が固まってきた感があります。 やはり遠近両用を作るのは、1ケ月以上経過してからが良いようです。現視力は、1.3~1.4の間くらい?。じっとみていると1.5も見えるのですが瞬間では1.0程度と思われます。夏を迎え、普通のサングラスをかけられるって、なかなかのものです。

◆ 追補 :6ケ月後

ほぼ安定したと見られる6ヶ月後の状況です。老眼はすっかり治り?ました。どうやら6ヶ月経っていろんな調整機能が調節したらしく、見える範囲が近くに寄ったって感じです。従って視力としては、恐らく1.0くらいと思います。手術後より明らかに遠くは見えなくなりました。代わりに近くは見えるようになりました。不思議ですねえ。よく見ると?、右目(利き目)は遠くが比較的見えます。クリニックの視力検査では1.5とか出ますので。でも右だけで近くを見ると老眼です。ボケてます。対して、左目は遠くを見ると恐らく視力は1.0以下です。クリニックの検査では1.0と判定されますが、実際はそんなに無いと思います。(クリニックの視力検査は、比較的好条件下で検査することと、一所懸命、時間かけて見るから、良く出るのですね)その代わり左目は近くが見えます。だから両目で見たとき老眼は感じません。ドクター曰く、「左は近視が残ってるけど生活上不自由ないのなら、再度触らないほうが良いのでは」との事でした。もう一回手術は可能のようですが、また同じことの繰り返し になる可能性があると言うことです。一説では、脳が「よく見る範囲」を判定して調節していると言うことも他所で聞きました。

恐らくこれで安定すると思いますので、結果1.0と言うことです。Lasikを受けて間もない皆さん、安定せず焦るかもしれませんが、半年は我慢しましょう。落ち着く所に落ち着くと、何やら禅問答みたいですが、自然とそうなります。Lasik報告は以上で完結です。ご清聴?有難うございました。

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