研究テーマ

相手を思いやった振る舞いが、全体としてマイナスの状態を導いてしまうプロセスに関心があります。

【ナッジとブースト】

現在、従事しているプロジェクトです。人々がより意思決定を行うための手法としては、選択アーキテクチャに対して介入すること(ナッジ)や意思決定者の能力を高めること(ブースト)などが挙げられます。ナッジは意思決定者に選択肢を用意しながら「適切な」意思決定を招くという点で有効な手法である一方、その適切さが誰にでも当てはまらない可能性、また悪意のあるナッジが設定される可能性があります。そうした背景のもと、現在はブーストに着目し、バイアスなどの影響を下げる上で有効な介入方法について認知科学的な側面から検討を行っています。

【多元的無知】

自分はある規範に従うべきだとは思っていない場合でも、規範に従っている他者の様子を見て、嫌々ながらも本心に反して規範に従うことがあると思います。さらに、このプロセスはここでとどまらず、規範に従う(あなたの)様子を他の人が見て、その人も本心に反して規範に従い、その様子をまた別の人が見て…と連鎖する可能性を秘めています。そして、その連鎖の結果として、多くの人が本心に反して規範に従っているという事態が発生することがあります。この状態を多元的無知と言い、私は社会的認知・社会環境(関係流動性)・社会階層などの点から多元的無知がいかにして維持されるかについて研究を進めています。