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白井裕泰

代表取締役所長

ものつくり大学名誉教授

ものつくり大学特別客員教授

中国・北京・紫禁城太和殿(1697年再建)

日本・東京・瑞聖寺大裕宝殿(1757・宝暦7年再建、1989年修復)

韓国・ソウル・昌徳宮仁政殿(1405年)

白井裕泰自邸(2014・平成26年4月)

ベトナム・ハノイ・タイフォン寺(1794年)

白井裕泰自邸 格子壁構法

ベトナム・フエ・阮朝王宮隆徳殿(1804年創建、2008年修復)

会社の使命

空間文化研究所は、これからの木造建築のあり方を研究開発をしています。これまで日本をはじめとする東アジアの伝統的木造建築の調査研究をしてきました。その結果、中国の木造建築を起源とし、韓国と日本、ベトナム北部の木造建築が中国木造建築を受け入れ、それぞれ独自に発達をさせて今日に至っています。中国周辺の韓国、日本、ベトナムの木造建築にはそれぞれ差異が見られます。韓国の木造建築は、中国古代の木割(たとえば柱間に対する柱径)のように太く、後世まで継承しました。また軒は太い丸垂木、を扇状に配置し、軒反りは総反りに近いものでした。その性格は、ベトナム北部の木造建築と相似しています。しかし日本の木造建築は、中国の木造建築から脱却して固有の発展を遂げました。軸部に貫構造が採用され、柱の木割は柱間の1/10程度と細くなりました。軒は、平行垂木で、軒裏に拮木を入れたことによって垂木が細くなり、軒の反りは両端が穏やかに反ったものとなっています。ところで、ベトナム中南部の木造建築は、19世紀初期に成立した阮朝木造建築が主流となりました。この建築は、柱の木割が柱間の1/10程度と日本の木割に近いものの、軸部は日本の柱・梁構造とは違って、柱と登り梁(ケオ)によって組み立てる柱・ケオ構造を採用しています。軒反りは、垂木が伍平(垂木幅が垂木成より大きい)で、反りは日本の反りよりは強いが、中国、韓国より、穏やかです。

木造住宅建築は、社寺・宮殿建築の性格を踏襲していますが、民家の屋根は、茅葺きのため叉首組構造であり、軒反りはほとんどありません。武家の住宅の屋根は、瓦葺きであり、社寺建築と同様に和小屋(小屋梁に束を立てし貫に小屋貫を通す)となり、軒反りは共通しています。

現在の木造住宅は、戦前までの伝統構法から戦後の在来構法に変化しました。これは昭和25年の建築基準法の制定によって、貫構法が否定され、筋違構法が一般化したことによるものでした。またツーバイフォー(2×4)工法の導入によって、構造用合板による耐力壁の採用が一般化し、さらに現在では、集成材や人工乾燥された部材にプレカットによって簡単な仕口が施され、それらの部材が組み立てられ、金物によって補強された金物構法が一般化しました。

私たちの研究所は、現在の金具構法による住宅は、長期耐力に問題があると考え、住宅の長寿命化を目指して、新しい住宅建設のための技術開発を行っています。現在、格子壁構法を基本とするゼロエネルギーハウスの建設を提案しています。この考え方は、日本の伝統的木造建築およびその関連技術(伝統的な仕口技術、左官技術)を生かした住宅づくりを意味しています。