Fukuoka Seminars on Convexity

1. Masataka Shibata (Tokyo Institute of Technology), 凸体に関するMahler予想について, January 25th, 2020, 14:00--15:30, +30 min discussion.

n次元ユークリッド空間内で, 原点中心に対称な凸体とその偏極体を考え, それぞれの体積を掛け合わせたものを, volume product と呼ぶ。

原点対称な凸体全体の中で, volume product を最大化・最小化する問題を考えると, 最大値は具体的に求まっており, それは, Blaschke-Santaló の不等式として知られている。

一方, 最小値の具体的な値が, Kurt Mahler によって1939年に予想され, 2次元の場合は Mahler 自身によって証明された。

これが Mahler 予想である。

その後, 凸幾何学における未解決問題として多くの研究がなされ, 凸体にさらなる対称性などの制限を課した場合など, 予想を肯定する様々な部分的な結果が得られてきた。

本講演では, 3次元の場合に予想を肯定的に解決した [Iriyeh and Shibata, to appear in Duke Math. J.] を中心に解説する。

なお, 本研究は, 入江博氏(茨城大学)との共同研究に基づく。

2. Yoshiki Jikumaru (Kyushu University), 非等方的エネルギーに対する変分問題とその離散化, January 25th, 2020, 16:00--17:30, +30 min discussion.

十分小さな塩の結晶などの表面張力が向きに依存する対象は, 「非等方的エネルギー」の囲む体積を変えない変分に対する臨界点としてモデル化される。

その臨界点は非等方的平均曲率一定曲面として特徴づけられ, シャボン玉をモデル化する平均曲率一定曲面の一般化である。

一方で離散微分幾何学は, 離散的な対象を微分幾何学的な手法で研究する分野であり, 近年はコンピューター上での可視化とも関連し, 特に変分原理に基づく離散化はベルリン自由大学の Konrad Polthier らのグループによって活発に研究が進められている。

本研究では, 離散曲線・曲面の非等方的エネルギーに対する変分問題を考えることにより, 変分原理によって非等方的平均曲率一定な離散曲線・曲面を定式化し, それらの基本的性質や安定性について調べ, さらに可視化を行った。

本講演では, 特に安定性に関して得られた結果を紹介する。