東京大学:物理学特別講義B X(2025年度集中講義)

講義タイトル:量子多体系の非平衡物理量子多体系の非平衡ダイナミクスと制御

講義内容:近年の実験技術の発展により、高い制御性をもって量子多体系を実現し、その非平衡現象を観測することが可能になった。これによって、ミクロな量子力学を用いてマクロ系のダイナミクスを理解・制御しようという試みが急速に進展している。特に、孤立した量子多体系の量子力学のみを仮定して平衡統計力学の法則がどのように正当化されるかという、von Neumannに遡る基本的な問題が再び注目を集めている。さらに最近では、ハミルトニアンのミクロな自由度を操作したり、外部からエンジニアされた散逸や測定・フィードバックなどを加えることで、マクロな量子系やそのダイナミクスを制御しようという試みも行われている。このように、量子多体系の非平衡物理は現在の量子物理学のホットなトピックとなっている。この集中講義では、孤立量子多体系の熱平衡化に関する基礎的な理論から始めて、非平衡量子多体現象の理解や制御などに関する最近の話題まで解説する予定である。


[以下準備中]