京都大学:物理学第一分野特別講義5(2024年度集中講義)
講義タイトル:量子多体系の非平衡物理
講義内容:近年の実験技術の発展により、高精度に制御された量子多体系を実現し、その非平衡ダイナミクスを観測することが可能になった。このことにより、ミクロな量子力学を用いて統計力学を理解しようとする試みが理論・実験の両面で急速に進展している。特に、孤立した量子多体系が長時間後に熱平衡状態に緩和するかという熱平衡化の問題は、平衡統計力学の基礎付けに関連する話題として注目を集めている。さらに最近では、散逸のある量子多体系における新奇な非平衡現象が発見されるなど、量子多体系の非平衡物理は現在の量子物理学のホットなトピックとなっている。この集中講義では、孤立量子多体系の熱平衡化に関する基礎的な理論から始めて、非平衡量子多体現象の最近の話題まで解説する予定である。
Part I(孤立量子系の熱平衡化):講義ノートに基づいて行います。
Part II(開放量子多体系の物理):物性若手夏の学校での集中ゼミで用いた資料をベースに行います。
講義は特にPart Iの話が中心になる予定です。固有状態熱化仮説を中心として、この分野の基本的な理論をお話ししていきますが、ここ5年強で理解の進んだ熱平衡化の破れについても解説する予定です。
Part IIについては時間の許す限りお話しします。
11/26の物理学第一教室談話会では、講義では扱わない測定誘起相転移(開放量子多体系の新奇な動的相転移の一種)について、我々の最新の研究成果をお話しします。
日 時:2024(令和6)年
11月26日(火)
10:30~12:00
13:15~14:45
15:00~16:30
11月27日(水)
10:30~12:00《注》11/27(水)10:30-12:00のみ4階・413号室で実施
13:15~14:45
15:00~16:30
16:45~18:15 物理学第一教室談話会 「測定誘起スペクトル転移」
11月28日(木)
10:30~12:00
13:15~14:45
15:00~16:30
場所:理学研究科5号館 5階・第4講義室(525号室)
《注意》11/27(水)10:30-12:00のみ 4階・413号室で実施