ご挨拶

校長よりご挨拶


補習校で学ぶということ


補習校と日本語学校とはどこが違うのでしょうか。

イタリアで生まれ、イタリアの学校に通い、この先ずっと日本国外に住むであろう子供に日本語を覚えてもらうためだけならば、言葉を教えてくれる日本語学校が、そして「日本人らしさを植え付けておきたい」のならば補習校が良いでしょう。

補習校の卒業生が別れの言葉で「私はハーフでなくダブル」と言いました。「半分の日本人や半分のイタリア人でなく、ともに1人前、二つを足した倍のものを持っている」という意味だと思います。

補習校では日本の子供たちと同じ国語の教科書を使い勉強し、高学年になると古文や漢文も勉強します。

言葉だけでは人格は形成されません。翻訳だけならAIがやってくれます。

イタリアの学校ではギリシャ、ローマから中世、ルネッサンスの歴史や哲学、詩や文学などを勉強します。

日本の学校では奈良時代、平安時代から江戸時代の古典や和歌、俳句なども教えます。

そこでギリシャ、ローマに始まるヨーロッパ文明と中国に始まる漢字圏の文化の違いを感じ取ることができます。

こういった文化のバックグラウンドを持つことによって、子供たちの個性が育ちます。

これは語学学校で出来ることではありません。

子供を日本人でもあることに誇りを持つ『ダブル』に育てるのならば補習校に通わせることを奨めます。

 

ローマ日本語補習授業校 校長 

茜ヶ久保徹郎



運営委員長よりご挨拶

補習校という場所は、日本語を日常で使用しない国においても日本の児童・生徒と同じ教材を使用して同じ勉強ができる、貴重な日本語学習の機会を得られる場であるだけではありません。「日本人でもあるし他国の人でもある」と同時に「完全なる日本人でもないし完全なる他国の人でもない」という特殊なアイデンティティを持ついわゆる「ハーフ」「ダブル」と言われる子どもたちや、日本国外でマイノリティとして生活する日本人の子どもが、「日本」という共通点を持つ仲間に出会える貴重な憩いの場でもあると考えています。


この貴重な場はこれまで、子どもたちの学習努力に加えて、保護者らの多大な尽力によって支えられてきました。過去にはバザーをはじめ、様々な行事に伴い保護者の皆様にご協力いただきました。ただし、こういった活動や運営への参加が負担となり、補習校への入学や継続に不安を感じられたり、また実際に断念したりするご家庭もあると伺っています。

私たち2024年度の補習校運営委員会は、そのような事情で子どもたちがこの貴重な憩いの場を得る機会を失うことがないよう、保護者の負担を減らすための見直しを今年度かけて行います。子どもにとってより素晴らしい貴重な学びと憩いの場となること、そして保護者にとって子どもを通わせやすい補習校を目指すことで、児童・生徒の増加を図り、より安定した補習校運営を続けていけることができればと願っております。


ローマ日本語補習授業校 運営委員長

小幡 真弓


2023年度運営委員長からのご挨拶


親愛なる保護者の皆様、


2023年度ローマ日本語補習授業校運営委員長を務めます、ビアンキ卓爾レナートです。

1980年代に同校に通ったイタリア系日本人の1人として、皆様にお伝えしたいと思います。


私がローマの補習校に在籍していた時代は、国際結婚の数も今ほど多くはありませんでした。

当時の私がイタリア人の友人たちとの相違を感じながら、ローマで生活する中で日本人としての側面を受け入れるのに大変な苦労をしたことは、まぎれもない事実です。

毎週土曜日、現地校が終わると補習校に行くのが習慣でしたが、私は学校へ行くことも宿題をすることも億劫でした。

補習校に通うことを私に薦めた母とは、これが原因でよく口論になりました。


大人になった今、私は補習校に通っていた当時のあの経験が、人生における避けられない問題や難題を乗り越えるための、大きな糧となったことを実感しています。

いかなる問題も、2つの視点から考え実践し、解決へと至る。

それは、補習校での体験を経たからこそ可能になった気がします。


これはひとえに、イタリアと日本の血を引く私のアイデンティティの確立のために、母が忍耐強く補習校に通わせてくれたおかげです。

ときにはその母のやり方を強引に感じることもありましたが、補習校に通うことで、私のアイデンティティを確立するのに必要な文化的・社会的基盤を構築することができました。


最後にもうひとつ、お伝えしたいことがあります。

補習校は「似た者同士」が集まり、同じような境遇の友だちと過ごせる、数少ない、あるいは唯一の場所である、という点です。

日本人とイタリア人の両親を持つ子供たち、あるいは日本人であってもイタリアで暮らす子供たち、いずれにしても日本とイタリアという文化のはざまで生活する子どもたちが相集い、長く深く続く友情を築くことができる貴重な場所であるということを、それを体験した一人としてお伝えしたいと思います。


現在は、私の子どもたちが補習校で学んでいます。

補習校は、そこで学ぶ子どもたちだけではなく、親たちにとっても情報や感情を共有できる場として、なにものにも代えがたい存在です。


成長期の子どもたちに多くの経験を与えてくれる補習校の重要性を、皆様にご理解いただけることを願っています。

皆様、土曜日の補習校でお待ちしております。


ローマ日本語補習授業校 

2023年度運営委員長

ビアンキ 卓爾レナート


Carissimi Genitori,

vi parlo come ex alunno italo-giapponese della Scuola Giapponese di Roma che ha frequentato la scuola negli anni '80. A quel tempo c'erano molte meno coppie miste rispetto ad oggi e non posso negare che avevo una grande difficoltà ad accettare la mia diversità e la mia parte giapponese. Ogni sabato, terminata la scuola italiana, insieme a mia madre ci recavamo alla scuola giapponese ed era puntualmente motivo di litigio perché non volevo andarci e nemmeno fare i compiti i giorni precedenti.

Ora che sono adulto e che nella vita ho dovuto, come tutti, affrontare i problemi e le domande che essa ci pone, ho sempre avuto il vantaggio di avere due punti di vista su come risolverli e cercare le risposte ai quesiti.

Questo, grazie alla pazienza che ha avuto mia madre nello spingermi e a volte costringermi a frequentare la scuola giapponese in modo tale di avere la base sia culturale che sociale su cui poi costruire e sviluppare la mia identità di sangue misto.

Infine, la scuola giapponese di Roma è uno dei pochi posti o forse l'unico al mondo dove i bambini italo-giapponesi possono stare insieme ai loro "simili" e magari iniziare un'amicizia che possa durare nel tempo con qualcuno che può capire tutto ciò in maniera profonda.

Ora sono i miei figli che studiano presso la scuola giapponese.

Essa è tuttora un posto insostituibile dove si scambiano le informazioni e si condividono le emozioni, non solo per i bambini ma anche per i genitori.

Spero di avervi trasmesso quello che considero sia l'essenza dell'importanza di frequentare la Scuola Giapponese di Roma.


Takuji Renato Bianchi