金属単原子触媒
「原子一粒」の力を極限まで引き出す、次世代の触媒テクノロジー
単原子触媒(SACs)は、金属原子をナノ粒子化せず、担体上に1個ずつ孤立して固定した「究極の分散形態」を持つ触媒です。貴金属等の原子利用効率を100%に高めるだけでなく、従来の固体触媒では困難だった「均一な反応サイト」の構築により、極めて高い活性と選択性を実現します。不均一系触媒の「回収のしやすさ」と、均一系錯体触媒の「精密な反応制御」を併せ持つこの新材料は、透過型電子顕微鏡等の分析技術の進展により近年急速に注目を集めています。水素エネルギー製造や排ガス浄化など、持続可能な社会を支えるキーテクノロジーとして期待されています。 独自に見出だした技術によって、担体や金属種に依存しないSACsの創製が可能になっています。
代表的論文
J. Mater. Chem. A 14, 23005-23014 (2026). Adv. Funct. Mater. 33, 2303321 (2023)
金属クラスターの原子精度設計 「原子の数」で物性を操る、精密クラスター設計
金属クラスターは、数個から数百個の原子が集合したナノサイズの物質です。バルク(塊)とも単原子とも異なる「第3の形態」であり、原子が1つ増減するだけで、触媒活性や発光特性が劇的に変化します。これまでに、幾何構造や電子状態を原子レベルで精密に設計(ボトムアップ合成)し、既存の材料では到達できない高度な機能発現を達成してきました。
代表的論文
Nano Lett. 26, 9177-9184 (2026). Chem. Sci. 17, 6931 (2026). J. Am. Chem. Soc. 147, 23733 (2025). Small 26, 2500302 (2025). Nanoscale 17 3721 (2025). J. Phys. Chem. Lett. 15, 1539 (2024). Angew. Chem. Int. Ed. 60, 21340 (2021). Nanoscale, 12, 9969 (2020).
環境・エネルギー触媒
水分解 電極触媒/光触媒
「水から水素へ」―高効率なエネルギー変換を支える触媒設計
持続可能な水素社会の鍵を握るのが、水を分解して水素を製造する電極触媒および光触媒です。我々は、水素発生反応(HER)と酸素発生反応(OER)の両面から、反応の障壁(過電圧)を最小限に抑える材料設計を行っています。ナノ構造の制御や異種金属の複合化により、エネルギー損失を抑えた高効率な水電解・人工光合成システムの構築を目指します。 反応の活性点を原子レベルで制御することで、太陽光や余剰電力からクリーンな水素を効率よく取り出すための、新奇なナノ材料を創出しています。
代表的論文
J. Am. Chem. Soc. 148, 26489-26498 (2026). J. Mater. Chem. A 13, 12124 (2025) J. Am. Chem. Soc. 146, 26808 (2024). Energy Adv. 2, 1148 (2023). Small, 19, 2208287 (2023).
燃料電池触媒
原子レベルの表面設計で、酸素分子を瞬時に解離させる
水素と酸素から電気を取り出す燃料電池において、正極側で起こる酸素還元反応(ORR)の加速は、デバイスの高効率化に不可欠です。 酸素分子(O2)は結合が非常に強く、電気化学的に反応させるには高いエネルギー障壁が存在します。私たちは、単原子触媒(SACs)や金属クラスターの電子状態を精密にチューニングすることで、酸素分子の吸着と O-O 結合の解離をスムーズに進める「活性サイト」を設計しています。白金を超える性能を持つあるいは白金に依存しないナノ複合材料の創出に挑んでいます。
代表的論文
Small Sci. 6, e202500632 (2026). ACS Appl. Energy Mater. 7, 10137 (2024). Nanoscale 13, 14679 (2021).
環境・エネルギー触媒
二酸化炭素還元 電極触媒/光触媒
CO2を資源へ――人工光合成によるカーボンニュートラルの実現
排出された二酸化炭素(CO2)を、エネルギーを用いて有用な化学原料や燃料へと変換する「CO2還元触媒」の研究を行っています。太陽光を利用する光触媒や、再生可能エネルギー由来の電力を用いる電極触媒により、多電子移動が関わる複雑な還元反応を制御します。一酸化炭素(CO)やギ酸、メタノール、多炭素化合物(C2+)へと選択的に変換する、高効率な触媒プロセスの構築を目指しています。 我々は、単原子触媒や金属クラスターの電子状態を精密に制御することで、特定の生成物のみを選択的に得るための「活性サイト」を設計しています。ミクロな反応メカニズムの解明を通じ、効率的かつ選択的なCO2資源化技術を追求しています。
代表的論文
Small 21, 2570126 (2025). Small Sci. 5, 2400465 (2025). Nanoscale Adv. 7, 1518 (2025). Nanoscale,15, 7272 (2023). Nanoscale, 15, 5201 (2023). J. Am. Chem. Soc., 141, 8402 (2019).
硝酸塩還元電極触媒
負の遺産を資源へ――硝酸イオンからアンモニアを創る電極触媒設計
地下水汚染の原因となる硝酸塩(NO3-)を、電気化学的に還元して有用なアンモニア(NH3)へと変換する研究に取り組んでいます。これは、環境負荷の大きな従来のハーバー・ボッシュ法に代わる、常温・常圧での「グリーンアンモニア合成法」としても期待されています。私たちは、多段階の電子移動が関わる複雑な反応経路を制御し、高い選択性と耐久性を兼ね備えた電極材料の創出を目指しています。
代表的論文
発光性金属ナノ粒子のバイオ・デバイス応用
極微小領域の光を操る――ナノ粒子による革新的デバイス設計
金属ナノ粒子の発光特性は、原子数や表面の配位子、周囲の環境によって精密に制御可能です。この「色(発光波長)」を自在に操る技術を応用し、高純度な色再現を可能にするディスプレイ材料や、次世代の光通信デバイスへの展開を目指しています。固体状態でも強い発光を維持するクラスター設計や、外部刺激に応答して発光が変化するスマート材料の創出に取り組んでいます。 特定のタンパク質や細胞を識別する高感度なバイオセンサーや、体内での動きを可視化するバイオイメージング剤としての設計・開発も今後進める予定です。
代表的論文
Nat. Commun., 10, 406 (2019). J. Phys. Chem. Lett., 8, 3637 (2017). J. Phys. Chem. Lett., 8, 1961 (2017). ACS Nano, 9, 4165 (2015).
データサイエンスを利用した材料創製
TBA