函館市におけるアメシロの増加

近年、函館市やその周辺でアメリカシロヒトリ(略称アメシロ)の害が増えています。

この理由として、気温の上昇が考えられます。

かつて道南は気温が低く、アメシロが2回発生できる気温がありませんでした。

より正確にいえば、2回目の幼虫が蛹になる前に冬が来てしまうので、冬を越して、翌年に生き残れる数が非常に少なかったのです。

蛹になれるのは、よほど状況が良い少数の個体だけでした。そのため、大した数は増えなかったのです。


しかし近年、気温が上昇しています。それによって、アメシロが2回発生できる年が増えてきました。

特に気温が高い年だと、すべてのアメシロがしっかりと蛹になり、翌年にたくさんの成虫が生まれます。

これがアメシロが増えた原因の1つだと思います。


あるいは、アメシロのほうも低い気温に耐えられるように進化した可能性もあります。

また、世界的に見れば、函館よりも気温が低いところで増えているところもあるので、そういったアメシロが侵入してきた可能性があります。


いずれにせよ、函館では近年アメシロが増えてきて、その害が大きくなっています。

こも巻きによる駆除

私は鳥の研究者なので、当初、巣箱でアメシロを駆除しようとしました。

シジュウカラやスズメはせっせとアメシロの幼虫や成虫を食べてくれるからです。


その効果がないとは言いませんが、アメシロが大量発生すると焼け石に水のところがあります。

そこで、こもを巻いて駆除をするという方法を考え付きました。


こも巻きとは本来は、マツの害虫マツカレハを駆除するために秋冬に巻かれるものです。

それを、アメシロにも使えないかと考えたのです。

アメシロは蛹になるために、暗く湿った場所を探しまから、こちらで快適な場所をこもで作って、そこに誘導して、捕まえてしまおうということです。

実際に巻いて、調査をしたところ、高いコスパで駆除できることが分かりました(下の論文参照)。


詳しくは、学生が作ってくれた以下のサイトをご覧ください

アメシロ駆除隊@北海道教育大学函館校


なお、こも巻きですべてが解決するわけではありません。

アメシロを見つけたら、剪定したり、叩き落したり、薬剤を巻くいて、少しでも数を減らすようにするとよいでしょう。ただし、これらは道具もいります。対して、こも巻きは、「こも」さえ用意すれば巻くだけですので、誰でもできるところが良いところです。

研究成果

 函館市におけるアメリカシロヒトリの発生状況

 伝統的な「こも巻き」でアメリカシロヒトリを退治する

 Repurposing a traditional Japanese method of pest control for wintering pine moths, Komo-trap, for use against summer and winter populations of fall webworms