学部ゼミについて
最終更新日:2024年2月28日(22:15)
オンライン面談の予定を追加しました。興味のあるかたは「3」をご覧ください
「2. 求める学生と選抜方法(2024年版)」が確定しました
現在の情報に基づいてゼミ試に向けて準備を始めてください!
(その他の部分は随時UPDATEする可能性があります)
若森ゼミを検討していただき、ありがとうございます!
このページでは、若森ゼミ(学部)の概要や選考方法について解説しています。右に各項目へのリンクを記載しておきますが、選考方法以外にも重要な事項を多数含んでいますので、参加を希望する人は全て読んでから応募して下さい。
また、ゼミ生によるWebsiteはこちらをご覧ください。
1. 二年間のゼミの目標とスケジュール
もし皆さんが政府の方から「Yahoo!Japan が PayPay との合併を無条件で許してもいいでしょうか?」、もしくは、メーカーの方から「この新しく作った製品に価格をつけたいのですが、どのような価格が良いでしょうか?」などの質問・依頼を受けたら、どのように答えるでしょうか?
若森ゼミで扱う実証産業組織論(Empirical Industrial Organization)とは、上のような問いに対して、データを用いてある一定の回答を導き出す分野です。そのように聞くと、今はやりのデータ・サイエンティストと一体何が違うのだろう?と思われるでしょうが、私は明確に違うと考えています。と言うのも、(経済学で扱う)経済のデータは、実験できないという意味で自然科学のデータとは異なりますが、決してランダムに生成されているわけではなく、(消費者や企業という)経済主体が「効用最大化」や「利潤最大化」といった最適化という意思決定を行った結果として生成されています。よって、経済のデータには癖があり、それをうまく読み解くためには、背後に存在している経済主体がどのように意思決定を行っているのか?まで深く考える必要があります。
例えば、上の例の前者の問いであれば、Yahoo!Japan が PayPay が合併する際に、「誰が」「どのような」影響を受けるかをモデルを用いて考える必要があり、さらに、その影響をどのようなデータを用いて定量化するのかを考えなければなりません。後者であれば、目的関数(利潤の最大化)は明確なものの、その製品の業界ではどのような競争が行われているのか(価格競争なのか?ライバル企業はどの程度いるのか?競合している製品は何か?新商品の投入でライバル企業は価格を変えてくるのか?)などを理論的に考察し、データを用いて定量化する必要があります。
そのようなわけで、実証産業組織論を正しく理解するためにはミクロ経済理論(特に産業組織の理論)と計量経済学の深い理解が必要不可欠です。そこで、まず3年次には(と言っても、1年でマスターできるものではありませんが)、理論と実証分析の基礎の習得を行うことを目標に活動を行ってもらいます。ただ、それだけだと、筋トレだけを行い続けるのと変わりがない味気のない作業になってしまうので、まず夏合宿では経済学の一流の実証論文を読むことに挑戦してもらいます。その上で、3年次の後半には、(習得した理論と実証分析の能力を発揮できるような)論文をグループで執筆してもらい、12月か1月のインゼミで発表してもらいます。
ただ、社会に出ると(もしくは研究者になると)問題意識やテーマを自分自身で設定する必要が出てきます。そこで、4年次にはそのような能力を高めるために、自分でトピックやデータを探して卒業論文を書いてもらいます。夏合宿で中間報告、年末には卒論発表をしてもらおうと考えています。
ゼミでの学習・研究スケジュール(2年間)
3年次4月~7月:基礎準備期間
産業組織論(理論)の基本を習得するために教科書の輪読を行う
実証分析のためプログラミング言語の最低限度の習得
3年次8月~9月(1泊2日程度):夏合宿
3年時前期で培ってきた基礎体力(ミクロ経済学と計量経済学の理解)をもとに、一流誌に掲載されている論文を読む
3年次9月~12月:応用
3年時前期で培ってきた基礎体力(ミクロ経済学と計量経済学の理解)をもとに、論文を輪読する
グループで論文を執筆しインゼミで発表する(2024年度は2025年1月20日を予定)
4年次4月~7月
卒業論文執筆のためのトピック選定とデータ探し(夏休みに中間報告を行う)
4年次8月~9月(1泊2日程度):夏合宿
4年次9月~12月
卒業論文の執筆を行う(年末から年明けに最終報告を行う)
と、ここまでかなり硬く書いてきてしまいましたが、学習・研究だけではなく、飲み会(2カ月に1回程度)・合宿(年1回)・社会科見学(年1回)を通じて親睦も図っていければと考えています。上記のようなことを大学生活後半の目標に設定してみたい、という皆さんと楽しく一緒に研究をして行ければと思います。
2. 求める学生と1次選考の選考方法(2024年度の新3年生向け、確定版)
実証産業組織論を究めるようと思うと、ミクロ経済理論と計量経済学の手法を幅広く学ぶことが要求されます。それらを本当の意味で習得する(自由自在に使いこなせるようになる)ためには、質の高い学習だけでなく時間もかかります。これは、スポーツやゲームで繰り返し練習するのと同じで、経済学も自分の頭を使いながら繰り返し練習する必要があるからです。最終的に(研究者を目指さないにせよ)高いレベルでそれらを習得してもらいたいので、ゼミ活動に対する強いコミットメントを期待します。
そのようなことから、以下のような観点で総合的に選考を行います:
経済学的な思考を既に身に着けているのか?(大学の2年次までの成績、特に基礎ミクロ経済学と基礎計量経済学)
データを扱ったことがあるか?(プログラミングなどの経験、コンピューターに関する知識)
成績が微妙だとしても、それをカバーできるエネルギーがあるのか?(今までの人生で何にどのくらいの情熱を傾けてきたのか?)
リーダーシップを発揮した経験(部長や生徒会長や、起業の経験など)
また、上述の観点のバランスよくあることも重要ですが、どれか(もしくは複数)突出したものがあることも重視します。特に、3番目のエネルギー(何かに打ち込んだことがあるか)は面接の際に重要視しているポイントです。
具体的な選考方法ですが、「2つのレポートと面接」です。まず、レポートですが、レポート1・レポート2をそれぞれ1つのPDFファイルにして、2024年3月21日(木)午後5時(締切りを過ぎると自動的に受付できなくなるので、時間に余裕をもって提出してください!)までにCELS内にあるgoogle formのリンクを利用して提出して下さい(もしgoogle formのリンクから提出できない方は、私に直接メールをしてください。メールアドレスもCELS内に書いてあります)。
レポート1「エッセイ」
「今まで(高校時代でも大学時代でも可)に打ち込んできたこと」と「将来/進路の希望」をA4・1頁程度で書いて下さい。
レポート2「論文の要約」:以下にリストする経済学やマーケティングの論文の中から1つ選んで読みんだ上で、解説文をA4・2頁程度で書いて下さい。できる限り最初の2個のうちのいずれかの英語論文が望ましいです(が、もし英語がどうしても読めない場合は3個目の日本語の論文でも構いません)。
解説文は以下の全ての点を含み、経済学をあまり知らない人でも理解できるように書いてください:
この論文における問いは何か?
なぜその問いが重要なのか?
どのようにその問いに答えているのか?
主な結論は何か?
論文の結果が持つ、政策的への含意、ビジネスへの含意、学術上の含意は何か?
理解できなかった点、疑問点、論文の改善点など
現段階で100%完璧にできる必要はありませんが、このような(もしくはもっと難しい)論文を読みこなせるようになるのが3年次の目標になります。1年間の進歩を測る一つの目安として利用する予定なので、現段階で100%の力を出して取り組んでもらえればと思います。
面接は3月22日(金)9時半頃から対面にて行う予定です。一人当たり20-30分程度を予定していますが、時間については3月21日午後7時までに連絡します。午前・午後どちらになるのかはわかりませんので、できる限り1日の予定を空けておいてもらえればと思いますが、どうしてもやむを得ない事情で時間が制約されている場合は、応募の際のgoogle formに記入して下さい。
2次選考・3次選考については、その前の選考までで人数が7名に満たない場合にのみ行います。副ゼミナールも行う予定です。それらの場合は、1次選考と同じで上記の「エッセイ」「論文の要約」および面接を行う予定ですので、準備をしっかりとしておいてください。
4. ゼミの進め方・使用する教科書(2024年版)
ゼミは基本的にゼミ生の発表で成り立っています。4年生(5限)と3年生(4限)の2コマありますが、どちらの学年も両方のゼミに参加してもらいます。この背後には、3年次に4年生のゼミに参加することで、卒論の取り組み方・執筆過程を見ることができま、また4年次に3年生のゼミに参加することで、産業組織や計量経済学の一次元高い理解が得られるためです。
2024年度の教材は以下を予定しています:
春夏学期
(3年生):TBA
(4年生):自分の卒業論文に関係ありそうな(できる限り)英語の論文の発表
秋冬学期(3年生)計量経済学は未定(現在選定中)
(3年生):TBA
(4年生):自分の卒業論文に関係ありそうな(できる限り)英語の学術論文の発表、卒論報告
過去の教材:
また、ゼミだけでは学習時間が不足しますので、「サブゼミ」など自主的な学習も強く推奨しています。サブゼミの教材については、開催されることが確定した段階で、どのような教材が良いかのおすすめをします。
さらに、実証産業組織論では、一つの産業を詳しく知ることも非常に大切な要素になってきます。ということで、2022年度はコロナ2019のために開催できませんでしたが、年に2回程度工場見学や社会科見学を実施したいと考えています。2023年度は、府中にあるサントリーのビール工場見学をしました。2024年度は、証券取引所・豊洲市場・日本酒工場見学などを考えています。卒業論文執筆のための一つの動機づけになることを期待しています。
5. 過去のゼミの記録
教材
2023年度:「計量経済学」(西山・新谷・川口・奥井著)、「産業組織のエッセンス」(明城・大西著)
2022年度:「計量経済学の第一歩」(田中隆一著)、「産業組織 理論と実証の接合」(石橋孝次著)
夏合宿
2023年度:河口湖(9月4日~9月5日)
2022年度:奥多摩(8月30日~8月31日)
社会科見学
2023年度・秋冬学期:サントリー<天然水のビール工場>東京・武蔵野
卒業論文(ゼミに所属した年度)
2期生
TBA
1期生(2022年度・2023年度)
久木元勇仁:YouTube における動画の収益の推定
田嶋友:TBA
仲川竜也:テキサスホールデムポーカーにおいてブラフを行うことでチップを稼ぐことはできるのか
南向祐吾:カードショップにおける価格決定の要因分析
藤井達也:ロジット分析による日本の一般家庭の 金融資産の保有に対する要因分析
穂岐山統裕:歯科診療所の参入分析
山本修平:TBA
安田公大(宇井ゼミから編入):シェアサイクル導入の都市部通勤・通学者の 交通手段選択に対する影響の分析
市川周(杉田ゼミから編入):地政学的リスクが及ぼすアジア・太平洋地域経済への影響分析
伊藤崇仁(杉田ゼミから編入):富山市のコンパクトシティ政策の評価 ~他都市と比較してどれほどの成果を収めているのか~
カオアインミンニャット(杉田ゼミから編入):技能実習制度から特定技能制度への変更による効果分析
角田悠悟(杉田ゼミから編入):SNS 上での迷惑行為の拡散が飲食店に与える影響の分析