ナビゲーション(空間認知)
ナビゲーションとは,ある地点から目的地まで移動する行動を指す.生体が生きていく上で,迷わずにナビゲーションできることは重要な能力の1つである.
ナビゲーションに関わるプロセス
現在地がどこであるかという認識
目的地に到達するために,次に取る行動
地誌的失見当(topographical disorientation): よく知っている土地でも道に迷ってしまう
街並失認:現在地がどこであるか分からない.海馬傍回(parahippocampal cortex)と関連
道順障害:目的地に行くために次にどう行けばよいか分からない.頭頂葉内側部(medial parietal cortex)と関連
空間認知を考える上で,対象となる空間の規模と手がかりの利用可能性は重要である.
空間の規模
大規模空間(large-scale space):現在地から見えない目的地へ向かう自己の移動を伴う事態.記憶が必要である.
中規模空間(middle-scale space):移動は伴うが,現在地から見える場所に対して行われる事態
小規模空間(small-scale space):移動を伴わない事態.視野内の位置が対象となるので,場合によっては記憶を必要としない.
場所同定のための外的手がかり
遠位手がかり:当該環境内のどの場所からでも利用できる手がかり
近位手がかり:限定された場所でしか利用できない手がかり
大規模空間においても,遠位手がかりが利用できる場合は記憶を必要としないことがある.