メルマガ第26号「チーム医療」っておかしくない?

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■ 本日のお題目「チーム医療」

先週あった、横浜での日本癌治療学会の簡単な報告をします。なの

で同時進行演題も多くて、とても把握しきれないのはいつものこと。

今回は患者advocateプログラムを重点的に回りました。

毎年行われているがポスター発表は会場の状況も含めて良くなって

るような気がする。

夕方の患者さんたち同士のポスターディスカッションも結構盛んで

よかったと思った。癌治療学会は以前から患者アドボケイドプログ

ラムに重点を置いておりがん治療は患者さんなしでは成り立たない

ということを実感してるようだ。

以前から患者さんを他職種で取り囲むように行うチーム医療は、 当

方は批判的でした。

というのは他職種で患者さんを保護すると、患者さんは受け身になっ

ていくばかりで病院から離れて自立する力がなくなってしまう。な

るべく病院から離れた方がいいのは事実で、必要なときだけ病院を

利用するというスタイルが本当の形でしょう。

従来の診療体系は、主治医が良くも悪くも主導権を握っており、患

者さんの治療はその意向に沿った形で行われていた。主治医の指示

がないと他の医療職も動きにくく自主的な働きかけをしにくかった

し、他の領域については疎かった。

この概念はもちろんいいところもある。たとえば、

・今まで医師の処方や指示がなければコメディカルや患者さん周囲

の方々が動きたくても動きにくかったが、カンファレンスなどで積

極的に提案出来るようになった。

・内科、外科、放射線科で治療方針が違う事も珍しくなかったが、

公の場で討論でき、意見のすり合わせが出来るようになった。

・リハビリ関係者やソーシャルワーカーなどが参加する事で純粋な

医学的問題だけに没頭するのではなく患者さんの非医学的な悩みに

対応出来るようになった。

・お互いの領域については無頓着であったが、患者さん主体に議論

することで視野が広がる。

・内科、外科、放射線科でお互いの目を意識するようになるので、

標準治療から外れた方法は選択しにくくなり、その治療法選択の必

然性を外部に対して納得させる必要が出てきた。

以上のように従来の閉鎖的な診療体系からはずいぶん進歩している

ので確かに実地診療におけるメリットは疑いようもない。

しかしここであえて大きな問題点に触れておかねばならない。

この「チーム医療」当然カンファレンスなどの会議が増える。

ただでさえ忙しく業務が増えているなか、皆が時間を合わせるのは

結構負担だ。特に忙しい医師にとってはカンファレンスに時間を割

いた分、患者さんへの説明時間を短くせざるを得ない場合もあり得

るだろう。

得るものも大きいが失うものも無視は出来ない。

そしてこれだけの職種が一人の患者さんに時間を費やす余裕が現場

にあるかが問題だ。

医療費の高騰はこれらの人件費の影響も大きい。

つまり全てのがん患者さんを対象にするにはコストパフォーマンス

が悪いためこのままの形では普及しないだろう。

したがって課題の多い患者さんに絞って行われているのが現状だ。

これだけの不利な点があっても最初に示した利点を考えると方向と

しては悪くはないと個人的には思っている。

しかし最後の最も大きな問題として「患者教育」がないがしろにさ

れているのは、とても無視できず、大きな懸念だ。

「チーム医療」は基本的に入院患者さんに限定されている。

本当なら外来でも必要なのだがとても手が回らないのが現状だ。

キャンサーボードという各診療科との合同カンファレンスでも今か

ら入院治療開始する患者さんの治療方針決定に活用され、手術施行

後、化学療法あるいは緩和療法開始した後はもはや対象とならない

ことが多い。

その後まで手間暇をかける余裕が現場にないためでもあるが、問題

なのは昔と違って現在のがん治療は外来治療が主体であることだ。

特にstage IVの患者さんは治療関連死が1%前後ある化学療法、緩和

療法を行っている場合は病状進行という不安定な状況に直面しなけ

ればならない。

もちろん在宅治療への支援などはソーシャルワーカーなどの方々が

受け持ってくれるが基本的にみな退院をゴールとしている。

入院中は看護師、薬剤師などが一生懸命内服薬の誤投与などがない

ようにがんばってくれ、患者さんも安心しきっているが、退院後の

問題発生については案外想像力が働いていない。

他の良性疾患ならば決められた薬剤を内服して外来診察日に調節す

れば問題ないが悪性疾患の場合はそうはいかない。

自己調節の必要な薬剤だけでも内服抗がん剤、制吐剤(5~6種類の系

統あり)、医療用麻薬(経口薬、座薬、貼付剤など5種類以上)など本

人の副作用やがん疼痛に合わせた薬剤調節方法を覚えてもらわない

と長期に渡る治療がうまくいかない。

もちろん薬剤師が薬の使い方など説明してくれる場合もあるが大抵

不十分である。

さらにどういった場合緊急事態で病院に問い合わせる必要があるか、

仕事や行動範囲はどんなペースで拡大していけばいいのかなど学習

しなければならない項目はごまんとあるのに、その「患者教育学」

とも言えるシステムが全くと言ってもいいぐらい存在しない。

そして問題の核心は、なぜ勉強しなければならないのかという理由

が患者さんに伝えられない事だ。

全ての医療職が患者さんを中心にサポートする「チーム医療」、そ

の中心に実は患者さんが存在しないという自己矛盾はなぜ問題とさ

れないのか不思議でならない。

その必要性を最も理解しているのはうまくいっていようが、いくま

いが、すでに治療がある程度済んだ患者さんであり、時すでに遅し

である。

その貴重なノウハウはわずか経験者周囲の友人患者さんに伝えられ

るのみで消えてしまう。

現在のチーム医療が外来患者さんに関わっていないためその「患者

教育学」の重要性が認識されてない事が現代日本のがん治療の最も

不幸な点だと考えられる。

■ 編集後記

──

昨日釧路に来たのですが、台風に追われて雪に見舞われるという、

南国育ちには理解不可能な気象(0度)でした(笑)。

後のほうにも書いていますが、

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◎ 第22回東京支部会(NPO法人宮崎がん共同勉強会)

がん患者さんやその家族、あるいはがんについて興味ある人は誰で

もご参加いただけます。

ご自身あるいは当該がん患者さんの診療情報をお持ちください。

セカンドオピニオンほどではなくても、応用の利く助言ができると

思います(ただし個別相談ではなく、出席者全員の前での助言となり

ます)。

なお、人数把握のため、事前にブログ上の開催概要をご確認のうえ、

申し込んでください。

日時:2017年10月29日(日曜日) 9:30 ~ 13:00

場所: 会場:〒141-0031 東京都品川区西五反田1-32-4 サンユー

ビル4階

JR「五反田駅」西口徒歩5分

都営浅草線「五反田駅」A1出口徒歩5分

東急池上線「大崎広小路駅」徒歩5分

9:30 開場(会場準備設定含むので、自由歓談)

10:00~10:30 ミニレクチャー

「これぞ、究極のがん治療!患者提案型がん治療の勧め」

10:40~11:20 自己紹介、近況報告

11:30 ~12:50 質疑応答(Facebookライブ動画配信あり)

13:00終了

なお、今回40人限定となり、事前登録が必要です。先着順で40人に

達すると自動的に終了となります。

当日予約無しで来られた場合、お断りすることがあります。

なお、お申し込みいただいた方には、特典として押川勝太郎より引

き続き、がん治療に有用な情報をメールにて継続的にお届けさせて

いただきます。

以下よりお申し込みください。

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なお、当日会場には行けない方のために....

(1)動画参加を用意しています。

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なお、NPO法人宮崎がん共同勉強会10月例会でも講演し、大変好評を

博しました。

今回さらにブラッシュアップして公開します。

11月2日に動画URLを送ります。(視聴期間11月2日~11月10日まで)

事前登録していただけた方には、2017年10月3日に動画視聴リンクを

送ります。

登録は2017年10月31日AM11:00までです。ご注意ください。

登録はこちらからどうぞ(メルマガ読者は登録不要です)

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(視聴期間11月2日~11月10日まで)

(2)当日Facebookライブ動画配信を予定しています(ただしFacebook

アカウントが必要)。

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にアクセスして、友人申請するかフォロワーとして登録してくださ

い。

当日ライブ動画配信が始まったら、通知されると思います。

今後の東京支部会の予定日

平成29年 11月26日(日) 11:00~15:00 東京メトロ東西線 茅場町駅

近く

平成29年12月16日(土) 11:00~15:00 東京 JR神田駅近く

◎ 宮崎善仁会病院院内がんサロンは10月14日土曜日13:30~15:30で

す。

場所: 宮崎市新別府町江口950番地1 宮崎善仁会病院2F多目的ホール

予約不要です

◎ 第92回宮崎がん共同勉強会

日時: 2017年11月11日土曜日

今回のテーマ:「早期からの緩和ケアは患者会で実現できる!?」

?11:30~13:00 患者さんだけの気軽なおしゃべり会

?13:00~15:00 がん専門医によるレクチャーと質疑応答

?15:00~16:00 FacebookとLINEなどを使ったスマホ勉強会をします。

みんなで教え合いましょう。

初めての方も気軽にご参加ください。

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メルマガ名「がん治療の虚実」

メルマガ送信者 押川勝太郎

連絡先 fwka5644@nifty.com

●このメールは送信専用のメールアドレスから配信されています。

返信され

てもご対応ができませんので、ご注意ください。

発行人: 押川勝太郎

腫瘍内科医、消化器内科医

認定内科医

NPO法人宮崎がん共同勉強会理事長

日頃の活動内容

1、宮崎善仁会病院業務(ただし非常勤)

がん化学療法(外来、入院)

緩和ケア(入院および在宅)

消化器内視鏡検査および治療

2、毎月主催しているもの

・宮崎市郡医師会病院にて月例会

・東京都内で東京支部会とライブ動画配信

・宮崎善仁会病院院内がんサロン

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