矯正治療と費用

矯正歯科治療に用いる装置

顎変形症や口唇口蓋裂、一部の先天異常を有する患者さんの矯正歯科治療は、現在健康保険が適用されます。

矯正装置および器材は、健康保険で使用が認められているものを用います。

自由診療を希望される場合は、装置および器具の制約はほとんどございません。

◇ダイレクト ボンディング システム (マルチブラケット装置)

表側矯正(歯の唇側面にブラケットを装着:治療に用いる最も一般的な装置、保険診療)

当院で外科矯正に用いる装置は、下の写真のようなもので、審美性に配慮したものを使用しています。


【矯正歯科治療に用いる装置】

◇ダイレクト ボンディング システム (マルチブラケット装置)

表側矯正(歯の唇側面にブラケットを装着:治療に用いる最も一般的な装置、保険診療)




裏側矯正(歯の舌側面にブラケットを装着:最も目立ちにくい装置、自由診療)


裏側の矯正装置

矯正治療には主にマルチブラケット装置を用います。マルチブラケット装置とは歯にブラケットと呼ばれる器具を接着し、それにアーチワイヤーを通し矯正力を歯に伝えることにより歯を移動させる装置です。接着剤で歯面に直接接着する方法とバンドと呼ばれる金属の輪にブラケットを装着する方法があります。それ以外にも治療に使用する装置は種々あります。治療を受けるためには毎日通ってくる必要はありません。大体3~6週間に1度の割合の通院となります。

◇可撤式(取り外し可能)の装置

これは一例です。

◇矯正用インプラント(スクリュータイプ)

H26より矯正治療に用いられるアンカースクリュー(小型のネジ)が保険導入されました。自由診療では10年以上前から用いているもので確実な固定源となることから有効的な活用は効率的で短期間に歯を移動させることが可能となります。また、今までできないような歯の移動、外科手術の負担軽減などさまざまな効果が期待されます。

* 当院では相談時におよその治療費の総額をご説明します。

* 相談時や診断時に目安となる治療期間や治療回数を示します。

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【顎変形症の治療費用】

現在、顎変形症と診断された場合には、外科的矯正治療にかかわる矯正歯科治療、抜歯および手術には健康保険が適用されます。

矯正歯科治療費は健康保険の適用により、ご自身の負担はおおよそ20-30万円位ですが、患者さんの症状により変わります。また、口唇口蓋裂の患者さんで発音、そしゃく障害が認められる方は育成医療による治療も可能です。

* 健康保険適用には複雑なルールがあります。当院では、相談時に保険診療についてわかりやすく十分な説明をさせていただきます。

* 患者さんの病態が自由診療である不正咬合との境界と判断される場合には、当院での相談およびその後の精密検査を自由診療とさせていただく場合がございます。


❐健康保険が適用される症例

Ⅰ. 顎変形症

顎口腔機能診断に基づき外科手術が必要と判断された場合

Ⅱ. 口蓋裂や口唇裂、厚生労働大臣が定める先天異常疾患

1) 唇顎口蓋裂 2) ゴールデンハー症候群(鰓弓異常症を含む)

3) 鎖骨頭蓋骨異形成症 4) クルーゾン症候群

5) トリチャーコリンズ症候群 6) ピエールロバン症候群

7) ダウン症候群 8) ラッセルシルバー症候群

9) ターナー症候群 10) ベックウィズ・ヴィードマン症候群

11) 尖頭合指症(アペール症候群) 12) ロンベルグ症候群

13) 先天性ミオパチー 14) 顔面半側肥大症

15) エリス・ヴァン・クレベルド症候群 16) 軟骨形成不全症

17) 外胚葉異形成症 18) 神経線維腫症

19) 基底細胞母斑症候群 20) ヌーナン症候群

21) マルファン症候群 22) プラダーウィリー症候群

23) 顔面裂 24) 筋ジストロフィー

25) 大理石骨病 26) 色素失調症

27) 口‐顔‐指症候群 28) メービウス症候群

29) カブキ症候群 30) クリッペル・トレノーネイ・ウェーバー症候群

31) ウイリアムズ症候群 32) ビンダー症候群

33) スティックラー症候群 34) 小舌症

35) 頭蓋骨癒合症 36) 骨形成不全症

37) 口笛顔貌症候群 38) ルビンスタイン - ティビ症候群

39)常染色体欠失症候群 40) ラーセン症候群

41) 濃化異骨症 42) 6歯以上の非症候性部分性無歯症

43) チャージ症候群 44) マーシャル症候群

45) 下垂体小人症 46) ポリエックス症候群(クライネフェルター症候群)

47) リング18症候群

【矯正歯科治療で用いる主な装置】

❐マルチブラケット装置

矯正用の止め具(ブラケット)を、歯に接着して矯正治療を行う方法です。

顎矯正治療中の注意として、

(1)口の中に装置が入ってから数日間は、口の中が痛くなったり、歯の浮いた感じがしたりすることがあります。それは歯が動きはじめた証拠です。この不快感は1週間位でなくなります。痛みがとれない場合は病院へ連絡して下さい。

(2)ブラケットを1本ずつしばっている細い針金が突き出て口の中を傷つけたり、痛くなったりした時は、割り箸や歯ブラシのうらのような、とがっていないもので押し込んでください。それでも良くならない時は、病院にご連絡下さい。

(3)装置がはずれたり、壊れてしまったときには、できるだけ早く病院に連絡して下さい。

(4)装置を口のなかに装着したことで、どうしても今までより歯みがきがしづらくなります。食後は歯みがきをする習慣をつけ、食べかすを取り除き、いつも口の中は清潔にし、歯肉炎やむし歯を予防して下さい。専門の歯科衛生士による歯みがきの指導を行うことも可能です。

❐リンガルアーチ

奥歯にバンドを固定し歯の裏側にワイヤーを装着します。

顎矯正治療中の注意として、

(1)歯の内側は、食物がつかえやすいので、念入りにみがいてください。

(2)針金が曲がったり、器具がはずれてしまった時はできるだけ早く病院へ連絡して下さい。

(3)装置がはずれかかっていると、虫歯になりますので、おかしいなと思ったら病院にご連絡下さい。また、気付かずに装置が歯からはずれている場合がありますので、通院期間をお守り下さい。

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❐上顎前方牽引装置

上顎に固定されたワイヤーを顔面部よりゴムで牽引する装置です。

顎矯正治療中の注意として、

(1)装着の仕方は担当医に教わった通りにしてください。使用時間は担当医の指示に従ってください。器具を使わなければ、歯並びはよくなりません。

(2)針金が曲がったとき、バンドがはずれたとき、はめにくくなったとき、歯がとても痛くなったときには病院にご連絡ください。

(3)勝手にゴムの本数を増やさないで下さい。

❐床矯正装置

取り外しのできる、主体がプラスチック(レジン)床で構成されている装置です。

顎矯正治療中の注意として、

(1)装置を着脱するときは出来るだけ細い針金の部分には触れないで下さい。針金が変形すると、治療の効果があらわれなかったり、口の中を傷つけたりすることがあります。使用時間は担当医の指示に従ってください。また、器具を使わなければ、歯並はよくなりません。

(2)針金が変形した時、器具があわなくなったときは病院にご連絡ください。

❐顎間ゴム

上と下の歯列にゴムをかけ咬み合わせを緊密にします。

顎矯正治療中の注意として、

(1)担当医に教わった通りにゴムをかけてください。

(2)ゴムが切れたら新しいものと交換し、切れなくても1日1回取り替えてください。

(3)勝手にゴムの本数を増やさないで下さい。

❐リテーナー(保定装置)

きれいに治った歯並びをその位置に落ち着かせるためにリテーナー(保定装置)を使用します。リテーナーの種類は大きく分けて、取り外しの出来るものと、歯に直接接着されて、取り外しの出来ないものがあります。取り外しの出来るものは、最初の1週間程度しゃべりにくくなりますが、必ず慣れますので、必ず指示通りに装着してください。

保定中の注意として、

(1) 取り外しの出来ないリテーナーは、歯磨きをしっかりしないと、むし歯や歯周病になります。

(2) 取り外しの出来るリテーナーを使用する場合も、歯磨きは十分に行って下さい。また、リテーナーもまめに掃除し、清潔に使って下さい。

(3) 取り外しの出来るリテーナーを脱着する場合には、前方の針金にはなるべく触れないようにして下さい。針金が変形し、歯並びが悪くなることがあります。

(4) 取り外しの出来るリテーナーをはずした場合は、破損しないよう必ず所定の容器に入れてください。

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